出産を終えてもまだ続く?!想像出来ない“産後の痛み”とは?

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妊娠中にこんな話を聞いたことはありませんか?…「出産の後が大変だった」「産んでからの方が痛かった」「産後の痛みは陣痛より辛い」。これらの声は実際に出産を経験されたママから、どんどん出てくる体験談でもあります。

しかし、まだ出産を経験していない女性や、もうすぐ出産を控えているという妊婦さんにとっては「え?!産後も痛みってあるの?!」「産後の辛さって一体何?!」と疑問に感じてしまいます。

それもそのはず、妊娠中は、陣痛・出産への恐怖や痛みの想像をすることはあっても、産後までの事は考えたことが無い!と言う女性の方が多いはずです。産後にまで痛みが続くなんて、考えてもみなかった…とビックリしてしまう方は沢山います。

今回は、まだ出産をされていない女性・これからお産を控えている妊婦さんの「産後の痛みって一体なに?!」の疑問にお答えしていきたいと思います。

出産を終えた後にも痛みは続く!

まず出産を終えたにも関わらず産後の痛みが襲ってくる…ということは一体どういう事なのか?あまりに漠然とし過ぎていて、想像すらつきませんよね。

産後の痛みとは、具体的に出産で負傷した下腹部であったり子宮収縮、産後から始まる母乳育児での痛み…などを指しています。

出産で、持っている全ての力を使い果たした…と思うかもしれませんが、産後には産後で過酷な現実が待っています。

しかし、この現実を事前にちゃんと知っておくことで、出来る対策や、心の準備があります。この対策・心の準備が非常に産後の生活には重要になってくるのです。

産後の会陰切開部分の痛みとは?

出産する際、赤ちゃんがスムーズに産まれてくる様、場合によっては陰部に局部麻酔をし、会陰切開をおこなうケースがあります。これは珍しいことではなく、沢山の妊婦さんが経験をしている事でもあります。

切開する瞬間は麻酔が効いているおかげもあり、痛みなど何も気にならないのですが、会陰切開をした部分に痛みを感じるようになるのは産後、麻酔が切れてから…です。

では、一体どんな痛みなのでしょうか?痛みの感じ方には個人差がありますし、切開した箇所や深さ、縫い合わせた時の傷によっても痛みの強さに差があります。

一概に皆がそうだとは言えませんが、「座っても横になっても痛い!」という言葉が最も痛みを表現できているかもしれません。

私たちには、自然治癒力というものがあるので、傷が出来たとしても、自然と傷が修復していく力を秘めています。これは切開した陰部でも同様の事が言え、切開後には、傷が修復していく過程として切開部分が腫れてしまったり多少の炎症を起こすこともあります。

切開部分を縫っているので、糸が引きつっているように感じることもあり、この引きつっている感覚が気持ち悪い・陰部の腫れによって糸が引きつられ痛みを感じる…といった“会陰切開特有の痛み”が存在するのです。

これがなかなか耐え難い痛みで、立っていても痛む・座っていても痛む・横に寝転んでいても痛む…と、どんな体勢であっても股間がすれ、糸が余計に引きつられ、強い痛みを感じるようになります。

ドーナッツクッション(円座)を使うと楽になるかも!と思い、円座を使う方もいますが、円座に座ったところで、糸が引き突っ張っている感覚に変わりはなく、痛みから逃れる方法が見つけられない!というママも多いようです。

助産師さんに相談をすれば痛み止めの薬を処方してもらえますが、問題ないと言われても「母乳に影響があるのでは?」と薬の服用に抵抗がある方もいますし、薬では到底効果が感じられないという方もいます。

対策としては、陰部に負担をかけず、最も楽な体勢を見つけることしかありません。切開した部分がある程度回復しなければ抜糸は難しいですし、産院によっては抜糸をせず、自然と溶けていく糸を使用している産院もあるほどです。

股に圧迫感をかけない様、上向きでベッドに横になる体勢や、横向きで、股部分に抱き枕などを挟み、股間に空間をつくってあげる体勢などが比較的痛みを感じにくい体勢かもしれません。一度試してみてください。

この切開部分の痛みは、抜糸する事で楽になったり、いつの間にか意識すらしなくなるほど、日に日に良くなっていきます。

人間がもつ回復力とはとても驚異的で、産後4・5日にして抜糸しても問題ない!という事がほとんどです。それだけ回復がはやいと言えます。

産後にやってくる乳房の痛み!

産後にやってくる新たな痛み…それが乳房の痛みです。出産をするとママの体は赤ちゃんに与えるための母乳を作り始めます。母乳が沢山作られるママはお乳を出さないと、どんどん乳房の中に溜まっていき、おっぱいが硬くパンパンになってしまいます。

このパンパンな状態の乳房は、想像も絶するほどの痛みを感じ、「もうどうにかして!!」と叫びたくなるほどです。

赤ちゃんが母乳を飲んでくれれば、多少おっぱいにも、溜まっていた母乳が出るので乳房が楽にはなりますが、それでも赤ちゃんの飲む量と、乳房で作られる量のバランスが合わず、すぐにパンパンに…。

赤ちゃんはある程度飲めば、お腹いっぱいになって眠ってしまったり、飲む事に疲れて眠ってしまったり…こんな時ママとしては「まだ飲んでほしい!お乳を出さないと辛い!」と必死になってしまいます。

あまりに痛みが強いと、夜も眠れなくなってしまうほどです。痛みを緩和させるためには、搾乳をしましょう。

搾乳した母乳は冷凍保存することも出来ます。冷凍保存をしない場合、母乳がどんどん作られていくママには、少し勿体ない気もしますが、搾乳したお乳は一旦捨ててしまい、おっぱいの張りを緩和させる事に重点をおきましょう。

乳房が張ってしまって痛い!という場合には、乳房を温めてはいけません。

よく、産後の授乳をスムーズに行うため、乳房にはホットタオルを乗せ、マッサージを行い、母乳の出を良くさせてから授乳させる!という方法がありますが、乳房を温めると、痛みも増したように感じてしまいます。

また、マッサージも、無駄に行わないようにしてください。ただでさえ、張っていて揺れるだけでも・触るだけでも痛みを感じるのですが、そこに「母乳を良く出すために」とマッサージを力任せにおこなってしまうと、ただただ痛みを強めるだけです。

母乳を与える際の乳頭のマッサージ程度であれば、良いでしょうが、痛みを感じる乳房に更なる痛みを与えても、苦痛なだけです。痛みを緩和させるためには、搾乳・マッサージを控える・赤ちゃんにしっかりと飲んでもらう事です。

恐怖の大便・小便!

産後、沢山のママが「恐怖だ」と言うお手洗い。出産で負傷した下半身で、便・おしっこをおこなう事は、ママたちにとって非常に過酷なものです。

とくに、会陰切開をおこなったママであれば、切開した部分が気になってしまい、便やおしっこがうまく出せないという方も沢山います。

おしっこであれば、まだかろうじて出せたとしても、便は力をいれるだけでも怖い…切開した部分が裂けてしまうのでは?などの恐怖から、ついつい我慢をしてしまうママもいます。

しかし我慢をしてしまうと、便の水分がどんどん体へ吸収されていき、便が硬くなります。

硬くなってしまうと、尚更排出させるには困難になります。そして、そのうち便秘になってしまう…という事は、よくある話です。恐怖に感じ不安でたまらないかもしれませんが、排出すべきものは、ちゃんと排出させなければなりません。

痛みも感じますし、もちろん出血もあります。出産という一大仕事を終え、まだまだ傷が回復していないのに、便・おしっこをするだけで痛みを感じるなんて、とてもではありませんがママたちにとっては残酷な痛みでしょう。

しかし、この痛みもいつの間にか忘れてしまうほど、陰部の回復は早いです。産後1ヶ月もすればすっかり元通り…という方が多いです。いつまでも続く痛みではない!ということを胸に、産後すぐの痛みには“耐える”しかありません。

それでも、恐怖に感じるのであれば、助産師さんに相談し、尿道に管を通してくれ排尿することも出来るので、相談を持ちかけてみてください。

ただ、尿道に管を通す事、それすらも痛みを感じるケースが多いので、普通に排尿した方が感じる痛みは薄いかもしれません。

子宮収縮の痛みは出産経験を重ねれば重ねるだけ痛い!

産後の痛みに、もう1つ産後特有の痛みがあります。それが“子宮収縮”です。

赤ちゃんが10ヶ月間過ごした子宮は、赤ちゃんも胎盤もなくなってしまえば、あとは収縮するだけです。元の大きさに戻ろうと、子宮が縮んでいくのですが、この時の痛みが、それはそれは想像を絶するものです。

初産であれば、まだ痛みは軽く、中には「子宮収縮の痛みなんて感じなかった」という方もいます。

一般的には、収縮剤を利用したり、子宮収縮の点滴を打つなどの対処がされ、子宮収縮を促していくのですが、収縮していく時の痛みは、腹部に大ダメージを与えるほどの痛みが伴います。

特に、出産経験を重ねれば重ねるだけ、この収縮の痛みは強くなるといわれています。痛みの強さにも個人差はありますが、2人目の出産・3人目の出産…となればそれだけ子宮への負担も大きくなり、回復にも時間がかかってしまうのです。

子宮収縮の痛みには、やはり痛み止めを処方してもらうか、下腹部を温めてできるだけ痛みを緩和させる方法を探すしかありません。

背筋を正して下腹部をしっかりと伸ばすよりは、下腹部を守る(抱える)かのように前屈体勢になった方が痛みは感じにくくなります。

退院前の抜糸時にも痛みが…

もうすぐ退院!という頃になると、一度内診を行います。この際に、傷口の回復がどのようなものか、内診して産道や子宮の異常はないかどうか…などを診てもらいます。退院前に抜糸をするスタイルの産院であれば、このタイミングで抜糸を行う産院が多いです。

退院前ともなると、切開した部分の皮膚は修正をし、薄くではありますがくっついている事が殆どです。ここで、抜糸を行います。

抜糸をすることで、突っ張っていた糸が無くなり縫い合わせの締め付けが解放され、一気に痛みが無くなった!という方もいれば、抜糸しても変わらず陰部が痛い…という方もいます。

ここでお伝えする痛みとは、主に“抜糸する瞬間”の痛みを指しています。局部麻酔などはおこなわないため、何もしない状態で抜糸をおこないます。

診察台に乗り、開脚し抜糸にとりかかるのですが、糸を切るためには、多少、糸を引っ張ったり切開した部分に器具が触れてしまう…なんて事もあります。

この切る作業でさえ、傷を負い負傷している陰部にとっては過酷で耐え難い作業です。そして切った糸を引っぱり抜いていく…これもまた言葉では言い表せられない痛みを感じます。

陣痛や分娩での痛みに比べれば、抜糸の痛みなんて小さなものかもしれませんが、陰部が腫れていたり出血している中での抜糸なので、ママたちはヒヤヒヤしてしまうでしょう。

抜糸への痛み対策は“ありません”。痛みを緩和させる方法も、抜糸時にはどんな方法も通用しません。一瞬のものなので、我慢我慢で乗り切りましょう。

産院を退院!産後の痛みはどうなるの?

ここまでは出産後スグの痛みを紹介してきましたが、それも産院を退院する頃には、かなり良くなっています。

痛みを感じている真っ最中の時には「この痛み…いつまで続くの?」と不安になってしまう事もあるでしょう。しかし退院時にはすっかり痛みも治まり、少し違和感はあるものの私生活には問題ない程です。

ママたちは長い妊娠生活・出産の中で、妊娠中の過酷さや、分娩時の凄まじい痛み・産後すぐに不慣れな育児がスタートして精神的にも浮き沈みが激しくなり、負傷だらけの体のケアもしなければならない……「もう出産はこりごりだ!!もう妊娠なんてしない!」と固く決意するママもいるかもしれません。

それでも数年もすれば次のお子さんが誕生する、といったママは多いですよね。そう、出産の痛みなど、時間が経過してしまえば忘れてしまい、全てが良い思い出となるのです。

出産の痛みよりも感動の方が大きく、育児をする充実感の方が生き甲斐になるので、また子どもが欲しい・妊娠したい…と望むのです。

先々の事はさておき、産院を退院した後は、とにかく育児をしながらの生活になります。

毎日が新しいことの発見で、赤ちゃんのお世話は、朝から晩まで。いえ、深夜にもママ業をし、赤ちゃんの夜泣き対応に追われるので、朝から翌日の朝まで…結局24時間ずっと、ママの意識は赤ちゃんへ向いています。

こうした生活を行うと、自然といつの間にか下半身の痛みなど忘れてしまい、「あれ??傷はどうなったのかな?」と感じてしまうほどにまで回復していきます。

結局、産後の痛みとは、さほど長く続かないという事は皆同じで、恐怖に感じる必要はありません。

陰部の痛みはいつまで続く?

皆さんが不安に感じている陰部の痛みですが、陰部の痛みも早い段階で楽になります。

産後のお手洗いこそ、心配でいつまでも恐怖を感じてしまうかもしれませんが、産後1ヶ月くらいにもなれば、ほぼ元通り!切開をしただけあって「絶対産後は痛いんだろうな…」と不安になりがちですが、実際にはそこまで恐怖に感じることはありません。

もちろん個人差があるので、回復に時間がかかったり、ちゃんと清潔にしておかないと炎症やトラブルを起こしてしまうこともありますが、何も問題なく回復していけば、完治するまでに長い時間は要しません。

退院後の入浴って痛いの?

出産後、「シャワーを浴びても良い」と産院から許可が出ると、入院中は産院で・家では家のお風呂で、シャワーを浴びることが出来るようになります。「傷口に水が染みて痛いのでは?!」と不安に感じてしまう方も多いはずです。

多少の痛みはあるかもしれませんが、傷口に水が染みる程度、激しい・辛いといった強い痛みではないので、我慢が出来るほどです。

浴槽への入浴は産後1ヶ月時の検診で、産院の先生より「お風呂に入っても良いですよ」と言われて初めて入浴解禁になるのですが、それまでは基本的にシャワーのみです。

痛みを感じることは仕方がありません。傷が出来てしまっているのですから。痛みを緩和させるためには、できるだけ水圧をゆるくし、優しく洗う事です。ヘタに刺激をあたえて痛みを誘発してしまっては辛いだけです。

陰部がかぶれてしまったり、腫れて痛みを伴っている場合には、熱いお湯ではなく、ぬるま湯か、少し冷たい程度のぬるま湯で洗ってみましょう。

いかがでしたか。ここまで具体的にみていくと、産後の痛みにも様々あり、何よりも“出産で負傷したにも関わらず休む間がなく次の痛み・育児が始まるなんて…”という現実に、ゾッとしている方もいることでしょう。

母になるということは大変なことです。産んでしまえばそれで終わり!ではなく、すぐに育児が始まり、様々な痛みに耐え、そして妻として家を守っていく・旦那様のサポートをする役目もある…一気に受け入れていかなければならなくなります。

しかし、事前にこんな大変さがあるのだという事や、産後には回復するだけの時間も必要だ…と解っていれば旦那様との家事・育児の分担や産後の生活への考えを改めることもできます。

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