どうしたら温まるの!?その冷え症を漢方が改善します!!

どうしたら温まるの!?その冷え症を漢方が改善します!!のイメージ画像

夏でも手足が冷たい人はいませんか? オフィスの冷房に肩掛け膝掛け常備で頑張っている人はいませんか? 冬お布団に入ると足が氷のようになっている人はいませんか? そう、いわゆる冷え性の貴女です。病院に行ってもどこが悪いわけでもなく、ただただ体が冷えることを冷え性といいます。

西洋医学では冷え症は病気ではありません。体温が下がっているわけでもないし、どこからか出血しているわけでもありません。ただただ体が冷えて困っているなんてことは、検査しても何もでてこないのです。でもこれは東洋医学では立派な症状の1つです。立派って言い方はおかしいですけれど、冷え症は病気を呼び込む未病という状態なのです。

女性に冷え症が多い理由

冷え症は実は男女関係無く起きます。それでも一般には女性特有と思われていることが多いですよね。それはやはり女性の方が体が冷えやすいからなんです。人間の体で熱を作るのは筋肉です。血液を体中に運ぶのも筋肉の仕事です。女性は男性に比べて筋肉が少ないですから、その分熱を作る力が弱くなっています。

しかも女性のほうが脂肪が多いのですが、この脂肪が冷えやすさの元にもなっています。脂肪は温まりやすく冷えやすく、しかもいったん冷えるとなかなか温まらないものなのです。筋肉が少なく脂肪が多いのは女性の体の仕様ですから、それだけでももう冷え症が女性に多くて当然なわけですね。

そして女性には生理があります。毎月血を失って、高温期と低温期を繰り返しています。これだけ条件がそろえば、女性はみなどこかに冷えが隠れていると思っていいのではないでしょうか。つまり女性が冷え症なのはある意味当たり前のことなのです。

西洋医学と東洋医学の違い

誰でもが普通に行く病院は西洋医学です。検査して病巣を探し、薬や手術で治療します。痛みを抑えたり悪いところを手術したりと、即効性があって助かります。ただ検査しても悪いところが見つからないような症状にはなかなか対処できないことが多いですね。つまり「なんとなく」は苦手なのです。

東洋医学というと病院や診療科はあまりありません。漢方薬屋さんや鍼灸施術院が病院のかわりのような感じです。東洋医学では悪いところを治すという概念はありません。全身状態のバランスがおかしいから悪いところが出ていると診断します。そのため漢方薬も鍼灸も、あまり即効性がありません。

どちらにも一長一短ありますが、冷え性に関しては西洋医学では治療が難しいのです。冷え症は体質であって病気ではない場合が多いからです。でも全身状態から診断する東洋医学なら、冷え症はすぐにでも改善するべき症状とされています。ほうっておけば他の病気を呼び込むのが冷え症だからです。

冷えが呼び込む病気

冷え性というとどんな状態を言うのでしょうか。よくある症状を並べてみると

  • 手足が冷たい
  • 冷房が苦手
  • お腹をこわしやすい
  • 生理痛がきつい
  • 風邪をひきやすい
  • 寒がりで夏でも重ね着する

こんな感じでしょうか。どれも病気ではないのですが、困ることが多いですよね。

これらの症状は要するに体が中から冷えていることから起きます。そうなると女性に起きやすいのは子宮や卵巣といった部分の異常です。生理不順や月経前症候群などのホルモンのバランス異常からくるあれこれは、冷えから来ていることがけっこうあるのです。

さらに体が冷えていると免疫力がさがります。そうなると特にどこが悪いわけはないのに、いつも体調が悪い感じになってしまいます。慢性疲労や不眠なども起こります。そうして結果的にいろいろな病気を呼び込んでしまうのです。風邪をひきやすいのもその1例ですね。

漢方の診断方法

一般に西洋医学のお薬は病気に対して出されます。頭痛ならば鎮痛剤ですが、アレルギーでもなければそうそうお薬はかわりません。でも東洋医学では人によってお薬がかわります。頭痛は同じでもその人の体質や頭痛の症状によって、何種類もの処方があります。ですから漢方薬を使うなら、まず自分の体質を知らなければなりません。

漢方では気・血・水(き・けつ・すい)を基本に考えます。気は気力だとか元気とかの気です。目には見えないエネルギーとでも言えば良いのでしょうか。血は単純に言えば血液ですね。体を巡って栄養を運びます。水は体に必要な透明な液体ですが、体液でもありその他でもあります。

この気・血・水にそれぞれ虚と実の証があります。虚は足りないもしくは弱いということで、実は多いもしくは強いといった意味合いでしょうか。こう書くと実証ならなんでもいいと思われそうですが、多すぎてもいけないのです。気・血・水と虚実のバランスがうまくとれてはじめて健康なので、どれかひとつでもバランスが狂うと、何かの症状になってあらわれます。

冷え性の人に多い状態

冷え症はおおまかに4つの症状にわかれます。それぞれ症状が違いますし、お薬も違います。ただきっちりと分けられるものではなく、たいていはいろいろな部分が重なって複合した状態になっています。

気虚(ききょ)

体のエネルギーが不足しているため、体全体の熱が減っている冷え性です。疲れやすくて風邪をひきやすい事が多いです。とても寒がりで暖かい飲み物が好きです。胃腸が弱っていることも多いので、その場合は胃腸を整える薬と気をおぎなう薬が使われます。

お血(おけつ)

漢方的な意味で血液の循環が悪くなっている冷え性です。漢方では熱は血によって体中に運ばれているとされています。指先やかかとが荒れやすかったり、便秘気味で生理痛や肩こりがひどい人が多いです。この場合は血の循環を良くするお薬を使います。

水毒(すいどく)

体の中に余分な水分がたまった状態の冷え性です。水分が多すぎたりどこかに偏っていたりすると、その部分が冷えてしまうのです。頭痛や頭が重い感じがあり、むくんだりすることが多いです。トイレが近くてめまいや耳鳴りがよくあります。水のバランスを整えるお薬を使います。

ストレス

近年冷え症の原因として増えているのがストレスです。ストレスにより自律神経のバランスが崩れてしまい、それが体の冷えとして現れるのです。こういう場合には気剤といわれるお薬を使って、気の流れを良くすることで冷えを改善していきます。

気虚(ききょ)タイプのお薬

気虚タイプの漢方薬をいくつかご紹介します。いずれも体力や気力をおぎなう働きが強いお薬です。

真武湯(しんぶとう)

胃腸に不安があり、体がだるい冷え症に使います。めまいや動悸がある人にもこれを処方するようです。痩せて平熱が低いタイプの人が多いようです。

人参湯(にんじんとう)

胃腸が弱く、吐き気があったり実際に嘔吐してしまうような冷え症の人に使います。疲れやすく、貧血気味の人によく処方されます。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

通常は病後などで弱っている人に使うお薬です。冷え症の悪循環で体力気力がひどく落ちてしまっていたりするとこれが処方されるようです。

お血(おけつ)タイプのお薬

お血タイプの漢方薬です。昔でいう「血の道」のお薬が多いです。血液や血管のお薬ではないですよ。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

とんでもなく長い名前ですが、しもやけや生理痛がある冷え症向けのお薬です。頭痛肩こり腰痛なども多く見られます。足が冷えるとお腹が痛くなるというタイプの人も多いようです。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

どちらのお薬も、生理不順や頭や顔は熱いのに下半身は冷えているといった症状がある場合に使われます。便秘がある場合は桃核承気湯が使われることが多いようです。

温経湯(うんけいとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)

これも似たような処方です。冷えとのぼせが同時にあり、生理不順で頭痛や腰痛があります。この2種類のお薬の特長は、不眠や不安などの神経的な症状もあわせて治療することです。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

疲れやすくてめまいがしたり、頭痛肩こりに動悸がしたりする場合に使います。トイレが近くて口が渇く人も多いようです。体力が弱い人向けならばこれが処方されることが多いかもしれません。

水毒(すいどく)タイプのお薬

水毒タイプの漢方薬は利水(りすい)効果のあるお薬を使います。体内の水を排出するのではなく、体内の水のバランスが良くなるようにするのが目的です。

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

腰が冷えてトイレが近いといったタイプの冷え症に使います。トイレが近いのに尿の量が多いまたは普通です。なんとなくいつもだるいといった人にも処方されます。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

色白で疲れやすい人の冷え性に使います。むくみがあったり汗をかきやすかったりと、水の異常がわかりやすいです。通常は関節炎などの治療にも使われますが、これも水の異常の1つですね。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

胃腸が弱く、めまいや頭痛がある人の冷え症に使います。疲れやすくて低血圧で胃腸が弱いといった人にも処方されますが、基本は水毒からの冷え症です。

ストレスタイプのお薬

ストレスによる冷えは気剤といわれる漢方薬を処方します。ストレスを消すのではなく、ストレスに抵抗力をつけることが目的です。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香蘇散(こうそさん)

どちらも精神的な不安に対応するお薬です。不眠や食欲不振などは共通していますが、喉に何かつまったような感じがある場合は半夏厚朴湯が使われます。

抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

イライラして怒りっぽくなっているような場合に使われます。高ぶった神経を静めるお薬です。似たような処方ですが、胃腸が弱い人は抑肝散加陳皮半夏のほうを使います。

四逆散(しぎゃくさん)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

これも精神的な不安に対応するお薬ですが、おへそより上の腹筋が固く張っている人に使うのが特徴です。簡単にいうとみぞおちがつっかえたような感じがするのです。

漢方薬はどこで購入する?

漢方薬を処方してくれる病院も増えてきました。でもそれは西洋医学で診断のつく病気に対しての場合がほとんどで、冷えを病気として見てくれる病院は多くはありません。検査しても何も出てこないなら、診断できないのが西洋医学ですから。冷えに悩んでいるのなら、やはり漢方薬の専門店で購入することになるでしょう。

けれど漢方薬が体質や状態でまったく違うお薬になることは先に書いたとおりです。これを間違えると、どんなに高価なお薬を飲んでも効きません。お薬は自己診断で購入するのではなく、必ず漢方に詳しい薬剤師さんに相談しましょう。

冷え性と漢方のお話、いかがでしたか。最後になりますが、一番大切なことを忘れないようにしましょう。

冷えは万病のもと。我慢やその場しのぎでは改善しません。自分の冷え症のタイプと、それにあった改善の方法を探してください。

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る