「ニキビ」といえば10代の思春期にできるもの、と思われがちですが、実は、大人になってからもかなりの人がニキビで悩んでいます。
ある調査によると、20代の女性では半数以上が、30代の女性でも3分の1以上が、今もニキビやニキビ跡で悩んでいるとか。もし、あなたが今、大人ニキビで悩まれているなら、それは決して珍しいことではないということです。
しかし、思春期の頃のニキビと大人ニキビではその原因や対処法、治し方が違う場合がありますので、10代の頃と同じようなニキビケアをしていると、かえって大人ニキビを悪化させてしまうことも。
大人ニキビの原因を見極め、その原因にあった治し方を行うことが大切です。
では、どのような原因で大人ニキビができるのでしょうか?大人ニキビができる肌は、大きく分けると「皮脂が過剰な脂性肌」と「皮脂が少ない乾燥肌」であると言えます。
皮脂が多すぎても少なすぎてもニキビができやすくなるというのは一体どういうことなのか、脂性肌、乾燥肌別にニキビができる原因とその効果的な治し方について見ていきましょう。
皮脂が過剰に分泌される「脂性肌」は、それだけでニキビができやすい状態であると言えます。大人ニキビができやすい「脂性肌」になる原因として、次のようなものが挙げられます。
それぞれの原因別に、どのようなケアが必要なのか見ていきましょう。
脂性肌の原因の一つは「遺伝」です。両親とも、または両親のどちらかが脂性肌で、若いころにニキビで悩んだことがあるという場合、脂性肌は遺伝である場合が多いでしょう。
脂性肌の場合は、いかに皮脂をコントロールするかがポイントになってきます。こまめな洗顔で皮膚を清潔に保つことは、余分な皮脂を取り除き雑菌の繁殖をおさえるために効果的ですが、洗いすぎるのは禁物。
スクラブやピーリング剤入りの洗顔剤も、肌を刺激して皮脂の分泌をうながしてしまうことがあるのでおすすめできません。また、脂性肌であっても角質を保護するための保湿は必要です。
毎日は無理でも、昨日とりすぎたら今日は控えるなど、ちょっとした工夫でかなり肌の状態が違ってくるはずです。
意外なことが脂性肌の原因になることがあります。それは「洗いすぎ」。皮脂が浮いてくるのが気になるからといって、せっけんや洗顔料を使った洗顔をあまりにも頻繁にしすぎると、皮脂を取り去られた皮膚が危険を感じて、さらに皮脂を出して補おうとするのです。
それを繰り返していると、常に皮脂が出すぎる状態になってしまいます。
皮脂の分泌をおさえるためには、角質のバリア機能を回復する必要があります。そのために有効なケアは保湿です。肌を清潔に保ち、保湿ローションや保湿美容液をたっぷりと使うようにしましょう。
皮脂が過剰になる原因として一番やっかいなのが「ストレス」です。ストレスがかかったり緊張した状態が続いたりした日の夜に、髪や肌がべたついた経験はありませんか?
女性がストレスを感じると、外部からの攻撃に備えようとするために男性ホルモンがいつもより多く出るといわれています。この男性ホルモンが、皮脂の分泌に大きく関係しているのです。
男性ホルモンは、トリグリセリドという皮脂の約半分を占めている物質の分泌を促進してしまうという研究結果があります。さらに、肌の角質を増やしすぎる角化細胞の増殖を促進するので、毛穴が角栓によって塞がれる可能性を高めてしまうのです。
つまり、皮脂が増えて毛穴が詰まりやすくなるというニキビができやすい環境が、男性ホルモンによって作られてしまうのです。
他にニキビの原因が思い当たらなければ、ホルモンバランスを整える治療を行うこともできますので、ストレスが原因の場合、一度皮膚科の病院に相談してみるのがよいでしょう。
睡眠不足が肌荒れを引き起こす原因の一つであるということは、もはや常識になっていますが、これは肌が日中に受けたダメージを睡眠中に回復しているため、睡眠不足になると回復しきれなくなるからなのです。
でも、肌荒れを引き起こすレベル以前の睡眠不足で、ニキビができやすくなってしまうということをご存じでしたか?
睡眠不足になると、自律神経が乱れてストレス状態になります。先に述べたように、ストレスが引き金となって男性ホルモンの分泌が盛んになり、ニキビができやすくなってしまうのです。
皮脂の分泌が多い脂性の肌にニキビができるのはわかるけど、ニキビの原因が毛穴に詰まった皮脂なのに、どうして乾燥肌でニキビができるの?と不思議に思われる方もいるかもしれません。
しかし、大人になってからできるニキビの場合、実はこの乾燥肌が原因となっている割合がかなり高いのです。
普通の肌よりも皮脂が少ない乾燥肌の場合、肌から水分がどんどん蒸発してしまうので、皮膚にうるおいがなくなり全体的にかたくなってしまいます。
皮膚がかたくなると、皮膚の表面にある毛穴や汗腺も縮んで細く小さくなってきてしまい、少しの皮脂や汚れでも詰まりがちになって、ニキビができてしまうのです。
乾燥が原因でニキビができている場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。
乾燥が原因と聞くと、乾燥しないようにするために脂分を補いたくなりますが、そうすると縮んでいる毛穴に過剰な脂が入ってしまい、さらに詰まりやすくなってしまいますので逆効果です。
乾燥肌の場合は、洗顔のときにせっけんや洗顔料を使いすぎないように気をつけましょう。
また、寒い時期などは温かいお湯で洗顔したくなりますが、温かいお湯での洗顔は乾燥を招きやすくなりますので、水に近いぬるま湯を使うようにし、最後に冷たい水でしっかりと洗うと効果的です。
洗顔の後は、保湿成分が高く刺激の少ない化粧水や美容液などを使って、肌にたっぷりうるおいと栄養を与えましょう。乾燥がおさえられてくると、肌がやわらかくなり毛穴もつまりにくくなります。
また、肌本来のバリア機能も回復しますので、炎症等も起こりにくくなるでしょう。
基本的に脂性肌であっても乾燥肌であっても、保湿することによって肌本来のバリア機能を回復させることが大切であるということは同じです。
肌の細胞一つ一つは、28日間かけて生まれ変わります。少し時間はかかりますが、ニキビができにくい肌にするために、正しい洗顔と保湿を根気よく続けましょう。
大人のニキビを治すためには、肌の表面からのケアだけだはなく、体の内側から整えることもとても大切です。
では、ニキビによって起きている炎症をしずめたり、肌本来の機能を強くしたりするためには、どのような栄養素が必要で、どのような食品をとるように心がければいいのでしょうか。
肌のために良いと言われている栄養素はいろいろありますが、その中でも代表的なものは、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2やB6などのビタミンB群、そしてコラーゲンです。
では、それらの栄養素一つ一つの働きと、摂取が期待できる食品について見ていきましょう。
ビタミンAには、皮膚や粘膜を正常に保つようにする働きがあり、肌荒れや皮膚病を防ぐ効果がある栄養素と言われています。
酸素が体内で働くときにおよぼす悪い影響から細胞を守ってくれる働き(抗酸化作用)があり、別名「若さのビタミン」とも言われています。
ビタミンEと同様に抗酸化作用が高い栄養素です。また、コラーゲンの生成を助け、皮膚や血管を強くする働きもあります。
細胞の再生や成長を助ける働きをします。不足すると、保湿能力が十分でない肌細胞ができてしまったり、肌荒れしやすくなったりしますので、積極的にとりたい栄養素です。
肌を構成しているタンパク質の成分で、肌のハリや弾力を保つためには欠かせない栄養素です。ビタミンCと一緒に摂取するとより効果的です。
いかがでしたか?肌質に合わせた洗顔と十分な保湿ケア、さらに肌によい栄養素をしっかりと摂取するという毎日の積み重ねで、徐々にニキビができにくい肌になっていきます。
すぐに効果がでなくても、あきらめずにがんばってくださいね。ただし、炎症などを起こしている場合は、まずそれを治すことが先決ですので、適宜薬を使用したり皮膚科を受診したりすることをおすすめします。