お肌のために日頃食べる物に気を使う女性はたくさんいます。なるべく野菜を積極的に摂りたいところですが、私たちはビタミンの少ない食事をしてしまいがちです。
そして顔のシミなどの肌荒れが起きたときに、ビタミンが足りていないことに気付いてビタミン剤などで補おうとします。ビタミン剤は天然の栄養素ではなく、野菜などと同様のビタミンが摂れるわけではありません。
シミ対策に最適なのはビタミン剤だけではありません。肌のためには何を取り入れるべきなのか、今一度見直しましょう。
美容皮膚科でのシミの治療法には、飲み薬や塗り薬、レーザーやピーリングなどがあります。シミにも種類や大きさがあるため、どういう原因でできたシミであるかによって治療法が変わります。
実際にシミの治療を試そうと思っても「レーザーは怖い」、「ピーリングって何?」、「美白化粧品は試したけど効かない」などの悩みは尽きません。そのため、多くの女性がたどり着く方法が「飲み薬(ビタミン剤)」によるシミ治療なのです。
飲み薬には「内側から治す」という確実性のあるイメージが強く、なおかつ化粧品を探すよりも手っ取り早くて治療費も比較的安く済むことから、美容皮膚科でもたくさん希望される人がいます。
ところが、内側から治すというのは病気では当てはまることですが、シミは蕁麻疹や湿疹などとは別物であるため、基本的には薬で治すものではありません。
ところが、実際にはほとんどの美容皮膚科で飲み薬が処方されています。シミ治療のほかにも、ニキビなどの肌荒れを改善するという目的でビタミンB2、B6などが出されることが多いです。
美容皮膚科でビタミン剤を処方されると、大抵はどっさりと出されます。これによって「続けて飲んでいると効き目があるはず」と期待を抱いてしまいがちですが、そう簡単には治らないのが現実です。
肌荒れで困ったときは、真っ先にビタミン剤が思い浮かぶのではないでしょうか。ところがビタミン剤を飲んでいる人に「ビタミン剤を飲むとシミやニキビは治るのか」と聞いても「効果はわからないがとりあえず安心だから飲んでいる」と答える人が多いのです。
安全性に絶対的な信頼を置かれるビタミン剤ですが、果たして本当に体に良いことずくめなのでしょうか。
ビタミンというと一見無害なイメージがありますが、あくまでも薬であるため微量の防腐剤や添加物などが含まれています。さらにビタミン剤を飲み過ぎると、体に有害となるケースがいくつか確認されています。
例えば、ビタミンBは尿や汗から排泄されるのですが、飲んだ後の汗から酸っぱいにおいがして体臭の原因になります。女性の場合はおりものにもにおいがついてしまうことがあるため注意が必要です。
外出が続くとどうしても野菜を摂ることが難しくなるため、そんなときにビタミン剤を飲むのは悪いことではありません。しかしいくらたくさん処方されるからといって、飲み過ぎは禁物です。
美容皮膚科で処方されるビタミン剤には、以下のものがあります。
シミ治療によく使われるビタミン剤
(商品名 ハイシー、シナールなど)
ビタミンCは最もよく使われている薬です。シミに限らず、ニキビなどの肌荒れやエイジングケア全般に処方されるようです。
(商品名 ユベラなど)
ビタミンEにはビタミンCの効果を高める血行促進、抗酸化などの作用があるためよく使われます。
これはL-システインというアミノ酸のことです。美白効果があるだけではなく、肝機能を改善する作用もあります。
(商品名 トランサミンなど)
『トランシーノ』という肝斑(かんぱん)専用の市販薬があります。女性ホルモンの減少やストレスによって生じたシミ専用薬であるため、他の原因でできたシミにはあまり効果はありません。
いずれの飲み薬も100%効くという保証はありません。1ヶ月ほど続けて飲んで効果が現れなかった場合は中止しましょう。上記に挙げたような有害作用が出ることもあります。
ところで、美容皮膚科で出されるビタミン剤と市販のものとでは、どのような違いがあるかというと、成分的にはほとんど同じです。皮膚科で出されるものが特別に効くわけではありません。
病院で出されるものの方が用量は多いのですが、市販のものでもマルチビタミンではなく単剤(ビタミンCならCだけのもの)であればたくさん入っています。
また、病院は保険が効くから薬が安く買えると思う人が多いのですが、病院に支払う診察料・処方料・薬剤料などを含めると、必ずしも安いとは言えません。
美容系クリニックでは「とりあえずビタミン剤が欲しい」と、まるで中毒のようにねだる女性が多いようですが、「あると安心」という理由でビタミン剤を飲むよりも、自分の肌トラブルの真の原因を突き止めることの方が大切です。
我々の体内のビタミンは不足しているのでしょうか。実は現代の日本の食生活を送る健康的な成人のビタミンが欠乏することはあまりありません。
例え野菜や果物を摂らなくても、肉や魚などにもある程度のビタミンが含まれています。そのためビタミンは知らないうちに摂取していることが多く、渇望するほど不足している人はほとんどいないのです。
日本人に不足しやすいのはビタミンB1といわれており、特にお酒をよく飲む人にはごく稀に欠乏症が見られることがあります。ただし、これは肌荒れとは全く別の話です。
ビタミン剤などの飲み薬がシミに対して全く効果がないわけではありません。我々の体内では活性酸素が常に発生し、これが蓄積されると老化を早めてしまいます。それを防いでくれる物質のことを抗酸化物質といいます。
ビタミンA・B・C・Eやポリフェノールなどは抗酸化物質であり、紫外線に対する抵抗力を高める作用があります。
一度できたシミを消すことは中々できませんが、シミ予防には有効です。ただし飲み薬よりもお茶や食べ物などの天然ビタミンから摂った方が吸収が良く安全性も高いです。
年齢を重ねるごとに低下していく紫外線への抵抗力を体内から補うためには、様々な抗酸化食材を毎日の食事に取り入れましょう。
お肌のために食事を工夫することは大切と考えている女性は多いですが、つい外食やお惣菜などで済ませてしまい、不足した栄養を野菜ジュースやビタミン剤などで補おうとしてしまいます。
野菜を充分に摂れていないという後ろめたさからビタミン剤や野菜ジュースに手を出してしまいますが、いずれも天然ビタミンには敵いません。
野菜に多く含まれるビタミンA・C・Eは「ビタミンエース」と呼ばれる抗酸化力の強いビタミンです。リストを参考に積極的に取り入れていきましょう。
ビタミンA
ビタミンC
ビタミンE
缶やパックなどで売られている市販の野菜ジュースは、腐敗を防ぐために一度殺菌されています。その際にかなりの高温で処理されるため、多くのビタミンが壊れてしまうのです。それを補うためにビタミン剤を添加しているものもあります。
また、家庭で野菜ジュースを手作りすれば生の野菜を飲み物として摂取していることになります。ただ野菜をミキサーにかけるときに空気に触れ、そのことによってビタミンが壊れてしまうことがあるため注意が必要です。
旅行先で野菜が摂れていないと思ったときは、野菜ジュースよりも青汁を携帯するようにしましょう。青汁はフリーズドライになっているものがあり、水に溶かさなくてもそのまま飲むことができます。野菜ジュースよりも青汁の方が抗酸化力が高く、効率的にビタミンが摂れます。
お肌のためには1日に緑黄色野菜を100g、 淡色野菜を200g摂る必要があるといわれています。抗酸力が高いビタミンA・C・Eは緑黄色野菜に多く含まれています。さらに、きのこや海藻、豆類、根菜などと一緒に食べるとより効果的です。
よくビタミンCは果物から摂ると思っている人が多いのですが、果物は体を冷やしたり、糖分が多いところが気になります。そのため、ビタミンCが豊富に含まれているカリフラワーやマッシュルーム、じゃがいもなどの白い野菜を食べることをオススメします。
かぶ、小松菜、キャベツなどのアブラナ科の野菜は特に抗酸化力が高く注目されています。なかでもブロッコリーには抗酸化物質がたっぷりです。
生野菜の方がビタミンが壊れにくく吸収されやすいのですが、量はたくさん食べられません。そこで短時間で加熱して食べられる温野菜を摂るように心がけましょう。
大半の緑黄色野菜は軽く火を通せばおいしく食べられるため、時間のない人やキッチンが狭い人でも、手軽に作ることができます。
スーパーやコンビニなどで売られているお惣菜の中には、ほうれん草のおひたしなどもあります。特にコンビニのものは手軽に買えることからつい利用してしまいがちです。
しかし調理して時間が経っているものは、ビタミンが壊れてしまっている上に防腐剤なども含まれています。テイクアウトを利用する場合は、その場で調理しているお弁当屋さんなどで買う方がいいでしょう。
ビタミンAが豊富なのりや、カルシウムとイソフラボンたっぷりの納豆、ドライフルーツやクランベリーなどのベリー類は抗酸化力が高いです。家に常備しておいて、食卓の脇役に添えてみてはいかがでしょうか。
ハーブの中でもローズヒップティーやハイビスカスティーにはビタミンCが豊富に含まれています。また、エキナセアというハーブには高い抗酸化力があるためオススメです。ややクセのあるハーブですが、ペパーミントとブレンドすると飲みやすくなります。
一度できてしまったシミを完全に消すことは残念ながら至難の技です。ただし、できなくすることは充分可能です。
効率良くビタミンが摂れていないときは、つい「忙しいあなたに、手軽に摂れる……」などの甘い言葉につられてしまいます。しかし、できるだけビタミン剤などの飲み薬からではなく、食事から賢く摂取してシミ予防に努めましょう。