正しく痩せるために知っておきたい、ダイエットのウソと本当

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太ったなと感じたときに、誰もが考えることが「簡単で確実に痩せられる方法」です。痩せるための秘密の近道などは残念ながらないのですが、ダイエットについて医学的な知識を持つことはとても大切です。

何故なら、口コミや一時期テレビで特集されるダイエット方法のなかには、根拠のないものが含まれているからです。この記事ではそのまま続けていても効果が現れないダイエット方法について取り上げ、日頃意識して行うと良いダイエットのコツをご紹介します。

話題になったダイエット法について

かつて話題になった「食べ続けると痩せる」、「塗るだけで痩せる」などのうたい文句のダイエット方法をいくつか挙げていきます。

食品ダイエットで痩せる

リンゴやバナナ、納豆、寒天、果てはあんパンなど、「これを食べ続けると痩せる」と話題になり、スーパーに行くとその食品が売り切れているという騒ぎも度々ありました。特定の食品を食べ続けて痩せるということには、医学的な根拠がありません。

塗るだけで痩せる

クリームなどを塗って脂肪が燃焼するということは、医学的には考えられないことです。皮膚に塗ったものがどこまで浸透するかというと、ほとんどが角質層で止まるか、深くても真皮までが限界です。脂肪はさらにその下にあるからです。

また、脂肪組織はぶ厚い壁のようになっており、その奥まで化粧品成分などを浸透させることはまず不可能です。 同様の理由で、体を塩で揉むと痩せるという話も医学的には考えられません。人間はきゅうりや白菜などの野菜ではないので、塩で体が縮んだりはしません。

水を飲んで汗をかくと痩せる

汗をかく・かかないは水分代謝の問題であって、実はエネルギー代謝とは直接関係していないのです。水を飲むと尿量とトイレの回数は増えますが、汗の量が増えることはありません。あくまでも汗は体温調節のために出るものです。

暑いときにたくさん出たり、緊張したときに出ることもあります。普段汗をかいているときには「暑くて汗が止まらない」や「緊張して変な汗が出てきた」などと様々な原因がありますが、頻繁にトイレに行くときには「水分を摂りすぎた」と原因が明白なのです。

そのため水をたくさん飲むと増えるのは尿であって、汗ではありません。 半身浴や岩盤浴、ホットヨガなどで汗をかくのは体がスッキリするのですが、痩せるために行うにはあまり効果的ではありません。

それでも汗を出したい場合は、ウォーキングやジョギングなどをして、運動をして汗をかく練習をしましょう。体を動かすと確実に脂肪を燃焼させられますし、ダイエットに最も適しています。

補正下着をつけて体型を変える

下着で締めつけることによってボディラインがキレイになる、ということはありません。脂肪が移動することはありますが、お腹から胸に移動したり、背中から胸に移動したりなど、それほど遠くまで移動することはまずありません。

そのため、下着だけできれいなボディラインを作ることは至難の技なのです。逆に過度に締めつけることによって、血液やリンパの流れが悪くなり、代謝を阻害する可能性があります。

また、締めつけていると自分の力でボディラインを保とうとする意識が低下してしまいます。補正下着を使わなければ、能動的に腹筋や背筋などを動かしてお腹をへこまそうとするものですが、物に頼ってそれをしなくなってしまうと、筋肉がなまけてたるんでいく恐れがあります。

下剤を飲んで痩せる

市販のダイエットサプリメントには、下剤が含まれているものがよくあります。確かに下剤を飲んで消化すれば、一時的に体重が軽くなることはあります。しかし、それで痩せられるわけではないのです。

そもそも便秘になると太りやすいと思っている人がいますが、実は便秘と肥満に関係性はありません。便秘がちだからといって太ることもないですし、下剤を使ったら痩せるわけでもないのです。

下剤は使い方次第ですが、下痢をするほど飲み続けると腸内環境が乱れて肌荒れの原因になることがあります。飲んで下痢するようなサプリメントは、今すぐ中止しましょう。

脂肪排泄をすると痩せる

マッサージなどで脂肪を排泄できるという甘い言葉を時折耳にしますが、脂肪が体の外に排泄されるということはありません。人間が体の中のものを排泄する経路というのは、尿、便、汗、皮脂くらいしかなく、 そのいずれからも脂肪は出て行きません。

尿に油が混ざっていたり、便に脂肪が混ざっていたなどということは、誰も経験したことがありません。脂肪排泄のマッサージでお腹の脂肪を揉みほぐしたとしても、経路がない以上それを体の外に排泄する手段はないのです。

ただし、厳密に言えば皮脂からは脂を排泄しています。血液中の中性脂肪などを材料にして、皮脂を作り出しているのです。ただし、一日の間で皮脂が排泄される量は、約1~2gとごくわずかなのです。

仮に一日に1gの皮脂から体脂肪を排泄したとすると、10キロの体脂肪を排泄するのにおよそ27年近くかかる計算になります。そのため、溜まった体脂肪は可燃ゴミのようを燃やしてエネルギーにするように、運動して燃焼される処理方法が一番なのです。

ダイエットに近道はなし

とどのつまり、体重を減らすための秘密の近道のようなものはありません。カロリーコントロールと適度な運動、 やはりこれに尽きるのです。ただ、賢く痩せるためのヒントはあります。

痩せるための3つのポイント

  • 食事の一口目に根菜や海草などの繊維質のものを食べましょう。食べたものの吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇が抑えられて太りにくくなります。
  • 空きっ腹にいきなりビールを飲むと血糖値が上昇し、食欲を通常の何倍も増進させます。ビールを飲む前には、必ずお茶や水などを少し口にするようにしましょう。
  • 睡眠不足になると太りやすくなります。睡眠を十分に取っていないと血糖値が上がることや、食欲抑制ホルモンが減ることなどが原因に挙げられます。用事がないときは0時までに眠るようにしましょう。

ダイエットは、体重ではなく体型を見て

ダイエットを評価するときは、体重計の値ではなく鏡をチェックするようにしましょう。身長から平均体重を計算する方法があるように、身長に合わせた目標体重というものは、誰しもがあると思います。

ところが体重は体脂肪だけではなく、骨の重さなどによって大きく変わってしまうものです。体を構成するものの中でも、特に重いとされているのは骨です。生まれつき骨が太い人は、太っていなくても体重が重めになります。

また、筋肉も脂肪より重いですし、体の組成によって体重が変わってくることは明らかです。個人差も大きいため、友人と身長が同じだからといって、同じ体重を目指す必要はないのです。 それは正しいダイエット法とは言えません。

例えば、肉を全く食べないなどの極端な食事制限をすれば、筋肉が落ちてくるため体重も軽くなります。しかしこれはプロボクサーなどが減量のために行うもので、民間向けのダイエットではありません。

筋肉が落ちても体のラインがキレイになることはありませんし、逆に運動をして筋肉がつけば、体が引き締まって体重が重くなることがあります。問題は体重ではなく、ボディラインなのです。

朝と晩に体重計肉を乗って一喜一憂することはやめて、これからは鏡を見て体型をチェックしてみましょう。 少し離れたところから鏡をよく見て、全体のバランスを確認する習慣をつけると、ボディラインにも変化が訪れるはずです。

簡単で話題性のあるダイエット方法にはつい惹かれてしまいがちですが、一旦落ち着いてそのダイエットを医学的に考えてみましょう。月並みなことですが、やはり正しく食事をしたり、適度な運動を行うことによって変化が現れるのです。

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