自己肯定感、育児をしている方ならよく耳にする言葉ではないでしょうか。
では、なぜ自己肯定感が大事なのでしょう?自分を肯定すること、私はできているよ!と自信をもって言える方は、意外と少ないのではないでしょうか。
例えば主婦の方の場合、「自分は夫にとって大切な存在なんだ」「自分は子供たちにとってかけがえのない存在だ」と思えている。自信を持って言えますでしょうか。
もしそう思えないのであれば、気持ちが後ろ向きになっている、と言えます。「自分は夫にとって大切な存在ではない」「自分は子供たちにとってかけがえのない存在ではない」と思っているのだとしたら、ネガティブな考え方になっています。
社会人の方でしたら「自分は会社にとって大切な存在だ」と思っているのか、それとも「自分は会社にとって無用な存在だ」と思っているのか…どちらがよいのかは明らかです。
このように、自己肯定感が高いか低いかで、その人の感情や行動に大きな差がでてしまいます。現代では行動派な人の方が重宝される傾向にあるので、ポジティブな考えを持っている方のほうが優位にあると言えるのです。
この自己肯定感、小さい子のみならず、大人にとっても重要なものなのです。そして自己肯定感は、幼い頃に育むのが最適なのです。では、自己肯定感を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。
大人でも褒められれば嬉しいものです。褒められるのが苦手という方もいるかもしれませんが、照れて素直になれないだけで、本当は嬉しく思っています。
では、子供はどうでしょうか。大人が褒めて欲しいと思う気持ち、この何倍も、何十倍も、何万倍も、もっともっともっっっと!子供は褒めて欲しいと思っています。
子供は褒められることを生きがいとしている、と言っても過言ではないでしょう。そのくらい子供は褒めてもらいたいのです。
そして親が子供を褒めているときは、親は嬉しそうにしています。親が喜んでくれている、これは子供にとって物凄く嬉しいことなのです。
褒められる、というのは認めてもらうだけではなく、愛を受け取っている状態なのです。つまり褒めるというのは、子供に愛を与える行為なのです。
子供は愛を欲しがります。とっても欲しがります。愛が欲しくて欲しくてたまりません!子供は愛ほしがり屋さんなのです。
だから子供はしつこいほどに親にべったりなのです。親の愛が欲しくて欲しくてたまらないのです。子供にとって愛は、食事以上に必要で大事なものなのです。
ここでまとめると「自己肯定感を高める」→「褒めること」→「認める。愛を与える」となります。つまり自己肯定感を高めるのに重要なのは、子供を愛してあげること、となります。
「私は子供を愛してます!」と言いたくなると思いますが、自己肯定感を高めるには、子供に愛を与えるときに、子供にわかりやすい形で与える必要があります。子供がわからない形で愛してあげても、子供は愛を受け取っている実感が湧きません。
毎日の食事や身の回りの世話をする、どこかに遊びに連れて行ってあげる、叱ることだって親の愛です。しかし子供からすれば、それが親の愛だ!と認識できるはずもありません。
褒めるべきではないときに褒めてしまう、褒めるべきではないところを褒めてしまう、そうしてしまうと、子供に間違った認識を与えてしまいます。
例えば、子供がごはんを全部食べたとします。しかしよくよく見てみると、顔と服はぐちゃぐちゃに汚れていて、テーブルや床はごはんまみれ…このようなときに、いきなり「よく食べたね」と言って、褒めてあげるだけではいけません。
もし、少しでもダメだしするとスネてしまったり、カンシャクを起こしてしまうようなお子さんの場合は、「よく食べたね」と、食べた事だけを褒めてあげる、それでもよいでしょう。
しかしそうではないお子さんの場合は、良くないところを教えてあげることも大事です。これはしつけのチャンスとも言えます。
そこでこのように言ったらどうでしょう。
もし、お片づけする!と言えなくても「お片づけしないといけないね」と親から言ってあげればよいでしょう。
そして片づけ終わったら「お片づけできたね!偉いねぇ!でもお片づけ、すっごく大変だったね。だから今度からは、なるべく汚したり、落としたりしないように食べようね」と言います。こうすれば「褒める」と「しつけ」がいっぺんにできます。
「あーあー、こんなに汚しちゃって…」と全部大人が片づける、そうしたくなるところではあります。その方がはやいですし、子供といっしょにやるのは非効率で面倒です。
しかし、そこはぐっとこらえて、しつけチャンスなんだ!と思って、子供といっしょにやりましょう。
普段子育てにお疲れな方にとって、これはストレスかもしれません。もし、今日はどうしても厳しい…というときには、無理にやる必要はありません。
そんなときは「今日は私がお片づけするけど、今度からはいっしょにお片づけしようね」と、次回に持ち越すようなニュアンスを含めた言い方をしましょう。
そしてもし、子供がいっしょにやってくれなくても、怒ってはいけません。そんなときは片づけをしながら「いっしょにやって欲しいな」「いっしょうにやろう」と子供を誘ってみましょう。それでもやってくれなかったら、そのときは諦めましょう。
諦めちゃうの?と思わる方もいらっしゃると思いますが、しつけは一度で理解してもらるとは限りません。何度も繰り返ししつけをすることで、やっと理解できるようになるものです。ですので「次の機会にリベンジ!」と思って今回は諦める、というのも大事です。
鳴かせてみせようホトトギスな気持ちで、できなかったからできるまでさせ続ける!というのは、場合によっては必要なときもありますが、大半の場合は次の機会にまわしても問題はありません。
それに、今できないものというのは、子供にとって苦手だったり大変だったりするものです。それを無理に今できるようにしようとするのは、子供にとって苦痛になってしまいます。
鳴くまで待とうホトトギスな気持ちで、気長にやっていくのがよいでしょう。そうしないと、親も大変です。ここは頑張りすぎず、ほどほどにしておきましょう。その方がお互いに楽ですし、気持ちを害することも無いでしょう。
たくさん褒めましょう!とは言うものの、中には褒めるのが苦手な方もいらっしゃるでしょう。私は褒め下手だから…と諦めることはありません。愛想よく笑顔で褒めちぎるだけが「褒める」ではないのです。
いくら自分の子供でも、気恥ずかしかったり、素直になれなかったり、笑顔で接することができない、という方は少なからずいらっしゃいます。
では、そのような方はどうしたらよいのでしょうか。
褒めるを辞書で調べると「人のしたこと、行いを、すぐれていると評価して、そのことを言う」とあります。つまり子供が何かしたときに、そのことについて「よかったよ」言ってあげれば、それは褒めたことになるのです。
例えば先ほど書いた子供の食事について、「全部食べたのか、偉いな」と言うだけでもよいのです。にっこにこに笑って「全部食べたの!偉いねぇ!」と言うのがベストとは、実は言い切れないのです。
自分は愛想が無い、怒っていないのに人から不機嫌そうと言われる、無口でほとんどしゃべらない、などなど、明るく振る舞えないという方はいらっしゃいます。しかしその場合、子供も、自分の親はそうなんだ、と思っているものです。
他の人と比べて、ウチの親は…と、子供は親を比較するものです。まだ発語していない乳幼児でも、親と他人を比べることはしているのではないでしょうか。
赤ちゃんは「この人は好き」「この人は苦手」を、かなりはっきり表現します。好きなら笑顔だし、嫌いなら泣き出します。つまり、人を比較し、判断しているのです。
うちの親は無愛想だから、と子供が認識しているのであれば、無理に愛想よく振る舞うのは、かえって不自然です。無表情なままでも「偉かったな」と言えば、子供は親に褒められたと思えるのです。
無理をするのは育児においてNGです。それはストレスになり、ストレスが蓄積すると、下手をしたら身体を壊したり、育児ノイローゼになってしまいます。
そこまでしなくても…と思われるかもしれませんが、子供は褒められたいと思っています。褒められるイコール愛を受け取る、なのです。是非、お子さんを褒めてあげてください。どのような形でもいいので、子供に伝わる形で褒めてあげてください。
自己肯定感を高めるということは、子供をたくさん愛してあげる、とも言えるのです。たくさん愛された子供は、質の高い人生を歩めることでしょう。その手助けとして、親は子供を愛してあげる。これこそが親の務めではないでしょうか。