子育てにおいて、褒めることはとても重要であり、自己肯定感の高い子供になる、という内容の書籍や記事を、最近よく目にします。
自己肯定感を高めることの重要性を説明、解説する書籍や記事がとても増えていて、育児において褒めることがいかに大切かを、小さいお子さんを抱えているお母さん、お父さんに訴えかけています。
ここで、自己肯定感とは何でしょう。はじめて耳にする方もいらっしゃると思います。自己肯定感とは、自分を肯定している感覚、感情のことを言います。自己肯定感の高い子供は「自分は大切な存在である」と思うことができます。
では、なぜ自己肯定感が大切なのでしょう。それは、自己肯定感が低い人は将来、学校生活、そして社会に出てから、大変な苦労をしてしまうと言えるからです。
その逆で、自己肯定感が低い人というのは、ネガティブな考えになりすぎるために、志が低くなり、目標を掲げることができない、もしくは無難な目標しか掲げることができない人、ということになります。
良く言えば慎重派とも言えなくはありませんが、現在の社会では、ボジティブな人が求められています。ネガティブな考え方ばかりしている人は、社会に出てから苦労する場面に少なからずぶち当たることになるのです。
成長した人というのは、既に自分の考え方や価値観が出来上がっています。これを変えるのは容易なことではありません。まだ心が成長しきっていない幼児だからこそ、自己肯定感を高めるチャンスをたくさん抱えているのです。
自分を大切に思える心、それは人生を歩んでいく中で、自分の支えになってくれる大切なものです。
自分を大切に思えない人は、自分や他人をないがしろに扱います。そして自分の価値は低いものだと思い込み、生きる力が乏しい、気持ちの貧しい人になってしまいます。
正しく、そして力強く生きるためには、自己肯定感は欠かせない存在だと言えます。
自己肯定感が高い子供は情緒が安定しています。とは言え子供ですから、騒いだり、いたずらしたり、言うことをきかない、などなど、困ったことをする場面は多々あります。しかし自己肯定感が高い子供の場合、きちんと説明すれば、ちゃんと聞き入れてくれます。
逆に自己肯定感が低い子供というのは、すねている、ひねくれている、やさぐれている、ネガティブな状態です。そのため、素直に人の意見を聞き入れることができません。
「自分は大切な存在なんだ」と思える子供は、「両親にとって、自分は大切な存在なんだ」と思うことができます。そう思っている子供は、両親の言葉をきちんと受け止めてくれます。
子供の気まぐれで、親に反発するような態度をとることはあるでしょう。おもちゃを散らかしたり、着替えをそっちのけでテレビを見ていたり、食事中に飽きてしまって席から離れたり、困った行動をとることは多々あります。
親を信用してくれる、これは親にとって最大級のメリットではないでしょうか。
では、自己肯定感が低い子供の場合はどうでしょう。何か困った行動をとったときに、両親がいくら説明しても、叱っても、子供はすねたり意固地になったりで、言うことを聞こうとはしません。
そのため、両親は怒りの気持ちがエスカレートしてしまい、子供が泣くまで説教したり、場合によっては体罰を与えてしまいます。もしくは言うことを聞かないからと諦めてしまい、子供に対して何もしてくれない親になってしまいます。
こうなると子供と大人で互いに悪影響を与え合ってしまうという、負のループに陥ってしまいます。そしてこのループに一度はまってしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまいます。
自己肯定感を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。それは「褒める」ことです。ではなぜ、褒めることが自己肯定感を高めることに繋がるのでしょうか。
人は褒められると嬉しくなります。褒められて嬉しくない人はいません。褒められるのが苦手な人はいますが、嬉しくないわけではありません。
子供にはたくさんの喜びが必要です。まだ人生経験が皆無に等しい子供にとって、喜びは心を成長させるのに必要な栄養となるのです。
喜びという栄養をたくさん与えて、心を育んでいく。そして子供はしっかりとした強い心を持ち、力強く人生を歩むことができるようになります。
自己肯定感を高めるには、いっぱい褒めることが大切です。子供が何かしたら、そのことについてすかさず褒めましょう。
お手伝いをしてくれたり、お片付けをしたり、食事が上手にできた、残さず食べられた、ひとりで着替えられた、などなど、子供の行動を見ていると、褒めるチャンスはいくらでも転がっています。
ウチの子は褒めるところが無い…なんて言いたくなる親御さんもいらっしゃると思います。しかし、褒めるところがない子供はいません。
無口で人との交流が苦手なお子さんだとしても、大人しくひとり遊びができるのであれば親としても助かりますし、褒めポイントです。
一見褒めるところが無いように見えて、実は褒めポイントはちゃんと存在しています。お子さんの特徴、性格、行動をよく観察していると、おのずと褒めポイントが見えてくるものです。短所だと思っていることが、見方によっては長所に変わることもあります。
考え方を少し変えてみると、今まで見えていなかったものが見えてくることもあります。お子さんの褒めポイントを上手に発掘してあげてください。
しかし、なんでもやたらに褒めるのはNGです。正しくない行いまで褒めてしまうと、間違った行いであるにもかかわらず、やっていいんだと勘違いしてしまいます。
例えば、悪いことをしたお友達を注意して、その際にお友達を叩いて泣かせてしまったとします。お友達の悪い行いを注意してあげるのはよいことです。しかし、叩くのはいけないことです。
そして「でも、なんで○○ちゃんを叩いたのかな?叩いたら痛いよね?悪いことをしたからって、叩いてもいいわけじゃないのよ?だから叩かないようにしないといけないよ」と付け加えます。
このように、良いこと、悪いことをはっきりさせて、お子さんに伝えるようにしましょう。
もし「○○ちゃんを注意できて偉かったね!あんたは偉い子だね!」と褒めることだけをすると、悪いことをした子は叩いてもいい、という認識を持たせてしまいます。
子供は小学校に入る頃から、かなり考え方がしっかりしてきます。実はこのくらいにまで成長していないと、しつけはちゃんと身につかないのです。
2~3歳くらいの子供の場合、何が良いことで何が悪いことなのか、まだ善悪の区別がついていません。だいぶわかっているお子さんもいるとは思いますが、まだ未発達な状態ではあります。
この頃の子供は、善悪について勉強中です。そしてしつけは、善悪のお勉強がある程度終わってからでないと、きちんと身につかないのです。
叱ることも大事ですが、もう少し大きくなるまで待っても遅くはありません。叱るのはほどほどにしておいて、それよりもたくさん褒めてあげてください。褒めるのは、どんなに小さな頃からでもOKです。お腹の中にいる頃から褒めてあげるのだってアリです。
人はお互いに褒めて、褒められて、心に喜びという栄養を与えることができます。是非、たくさん褒めてあげてください。
自己否定感とは、自己肯定感の対になる言葉です。ちなみに辞書で調べると「自分自身を否定すること」とありました。自分を否定している人は、他人を信用することができないでしょう。つまりは誰も信じられない状態に陥ってしまいます。
他人は自分を信用していない。他人は自分に心を許していない。そんな自分自身を許すことができない…しかし実際は、他人がその人のことを否定しているわけではありません。自分だけが、自分を許さないでいるのです。
きっと他人は自分をこういうふうに思っているに違いない…そんな勝手な思い込みが、誰も信用できない原因になります。誰も信用できない、これはとても苦しいことです。ひどい孤独感に襲われることでしょう。
自己肯定感が低い人は、自己否定感を抱くことになります。そうならないためにも、自己肯定感を高めることを意識した子育てをすることをおすすめします。