“世の中には、夫と会話が噛み合わなくてイライラしている妻がたくさんいます。「夫はバカなんじゃないだろうか」と切実に悩む女性は意外と多いのかもしれません。
ですが、会話が噛み合わない原因は、夫がバカだからというわけではなく、男女でコミュニケーションスタイルに差があるからです。
夫と会話が噛み合わなくてイライラしているなら、一度、男女のコミュニケーションスタイルの差に目を向けてみませんか。違いを理解して、コツを駆使したら夫との会話がスムーズに進むかと思います。
では、男女でコミュニケーションスタイルにどのような差があるのでしょうか。一般的に女性のコミュニケーションは以下の特徴を持ちます。
”
一方、男性のコミュニケーションは以下の特徴を持ちます。
女性はコミュニケーションの目的を共感とするのに対して、男性は勝負ととらえています。テレビのバラエティ番組で男女の違いが浮きぼりになる面白い現象を目にしましたので、わかりやすい例になるかと思います。
幼稚園児に「ぎょうざを何個食べることができるか」という質問をして反応を見る趣旨です。まず、男の子グループにこの質問をぶつけると以下のような感じになりました。
A:うーん。5個くらい。
B:俺、10個!
C:俺、50個!
D:俺なんか100個食べれるもんね!
E:俺天井まで食べれる!
一方、女の子のグループに質問をすると以下のようになります。
A:うーん。10個、くらいかな。
B:うーん。私も10個。
C:私も。
D:私も。
E:私も10個くらい。
幼稚園児ですでに男女の違いがはっきりと出ていますよね。男性のコミュニケーションスタイルは「勝負」です。自分がいかに優れている人間かということを言葉で表現することが男性にとっての会話です。
女性同士では、相手の感情に共感しているというサインを出しあいながら話を進めます。ですので、女性の会話は感情豊かになるのです。女性の会話は以下のように、話に内容がなくても問題なく成立します。
A:このまえ課長に怒られちゃってさ。
B:えー!?ひどーい!
A:ちょっと発注ミスしたくらいでさ。ムカつくんだよね。課長って。
B:ほんと。超ムカつくよね。
A:そうそう超ムカつくんだって、ところでさあ(全く別のテーマに話題がとぶ)。
男性がこの手の話を聞くと、まったく内容のなりありさまに、「的を得ない」「頭が悪い」という判断をします。
しかし、女性は相手の感情に共感することがコミュニケーションの最重要事項なので、内容があることなど必要ないということを男性は理解していないのです。もし、同様の会話で相手(B)が男性だった場合、以下のように話が進みます。
A:このまえ課長に怒られちゃってさ。
B:一体お前なにしたんだよ?
A:ちょっとだけ発注ミスしたのよ。課長ってムカつくー。
B:そりゃ発注ミスする方が悪いだろ。ムカつくよりまえにミスしないように気をつけるべきだろ。
A:…。
感情を共感してほしい女性と、正論をぶつ男性、という図式です。男性にわかってほしいのなら、事実や根拠を挙げて理論的に説明しないといけません。
例えば、「課長の仕打ちはひどい、ムカつく」という話なら、「自分は普段、自信を持って働いているし、発注ミスはしない。その日は、たまたま他の部署の応援にかけつけ、右も左もわからないなか受けた発注を間違えてしまった。」
「さらに、自分は発注ミスをしてしまって会社に損害を与えたことは重々反省している。少しの叱責ですむところ、課長に昔のミスまであげつらわれて、1時間以上ねちねちと叱られた」くらいまで説明します。
そこまでしてやっと「大変だったな。課長はひどいな。」という言葉を男性から引き出せるのです。
女性の会話はまわりくどいスタイルをとりますが、男性はダイレクトです。よくあるシーンを例にあげましょう。女性が美容院に行きました。新しいヘアスタイルを夫に褒めてほしくて、以下のように夫に聞きます。「ね?私、どこか変わったとこない?」。
夫はたいてい妻のヘアスタイルの変化には気付きません。もしくは、妻はこう言います。「髪の毛切ったんだけど。どうかな?」素直な夫は素直な感想を述べます。「うーん、前の方がよかったんじゃないかな」。夫はなぜ妻が怒り出すのかまったくわかりません。
では男性が褒めてほしいとき、どうなるでしょうか。釣りを趣味とする夫が前から狙っていた釣竿を買って帰って来たとします。「どうだ!コレ、かっこいいだろ!」…とてもダイレクトですよね。
会話の中で「どう感じるか」「どう思うか」など、心に重点を置くのが女性で、「何をした」「何をするつもり」という事実に重点を置くのが男性です。
レストランに行って、女性が「おいしかった」「素敵だった」と感じたことや思ったことを口にするのだとしたら、男性は、シェフの出自や料理に関するうんちくを口にします。夫と会話が成り立たないと感じることの一つがこういうところにあると思いませんか。
「おいしかった」「素敵だった」というポイントで盛り上がりたいのに、なぜ夫は突然うんちくを語ったり、「俺知ってる」自慢をして雰囲気を盛り下げるのだろうかと疑問に思っているのだとしたら、男女のコミュニケーションスタイルの差に原因があるのです。
夫と会話をする上で絶対にハズしてはいけないものがあります。それは夫のプライドです。女性にはそれがいかにつまらないものに見えたとしても、男性にとっては、損なわれたら死んでしまうのではないかというくらい大切なものです。
男性の会話のスタイルは「勝負」であると述べましたが、それも自分のプライドをたもつため、もしくはひきあげるために会話をとらえているからともいえます。
話の腰をおってまで、自分の自慢話をくりひろげる男性にイラっとした経験はありませんか。これも、自分のプライドをキープするための行動です。
男性の会話は論理的であるのですが、ことプライドがかかわると論理破たんする傾向にありますので頭にいれておきましょう。つまり、妻が正しい意見を言ったとしても、それが夫のプライドを傷つけるようなものなら、会話が成立しなくなるということです。
「もう、メタボなんじゃない?運動しないとダメじゃない!」
「ゴミ出しくらい、なんでできないの?」
妻が夫に言いがちなコメントです。いくら正しい意見でも、言い方ひとつで、夫の論理性はふっとび、妻の意見をきこうとはなくなります。
夫自身が「メタボを気にして運動しないといけない」「家事分担のためにゴミ出しくらいはしなくてはいけない」とわかっていたとしてもです。上のコメントの何がいけないかはわかりますか?それは妻が「上から」意見をしているところです。
いくら正しい意見でも、妻が上から言う限りプライドの傷つけられた夫はてこでも妻の言うことを聞きません。妻からすると、正しいことを言っているのに、なぜ夫は意見を受け入れないのか不思議に思うかもしれません。
それは、ただ単に「言い方がえらそうだ」というある意味しょうもないところに夫がひっかかっているからなのです。
では、メタボな夫に運動してほしい、ゴミ出ししてほしいときの言い方とはどんなものでしょうか。それはプライドというコントロールボタンのスイッチをオンしたらいいのです。「運動している姿、カッコいいね!」「ゴミ出ししてくれると、スッゴク助かるな」
運動しているカッコいい俺、ゴミ出しをして妻に感謝される俺、というプライドをくすぐりましょう。なぜ、妻がそこまでしなければならないのかとお考えかもしれません。しかし、上のNGスタイルを貫いていても、夫が期待を実現してくれる現実は到来しません。
それよりも、プライドと言うコントロールボタンをポンと押すだけで自動的に夫が動くのなら妻の方の頭を切り替えた方が効率がいいとは思いませんか。
では、夫との会話でよくあるシチュエーションごとにイライラしない処方箋を紹介します。
新しく買った洋服や、新しいヘアスタイルを夫に褒めてほしいときってありますよね。しかし、女性ならではのわりくどい会話では夫から褒め言葉は引き出せません。
例えば女性同士なら、「ねっ。この洋服、この前買ったんだ!どうかな?」と声をかけた瞬間に、相手の女性は「褒めてほしいんだな」ということを察知して「そうなんだ。かわいい!」と応対します。
しかし男性は「ねっ。この洋服、この前買ったんだ!どうかな?」という妻の投げかけを言葉通りに受け取ります。
「どうかな」というワードを、意見を求められていると理解し、誠実に(?)批評を始めます。「うーん、君の顔やスタイルとその洋服は合っていないんじゃないかな」。
先に、男性のコミュニケーションスタイルはダイレクトだと述べました。男性は、「どうだ!コレ、かっこいいだろ!」とわかりやすく褒めを要求してきます。
つまり、こういうダイレクトな言い方をしないと夫は「褒めてほしいんだな」ということを理解できないということです。洋服やヘアスタイルを褒めてほしいなら、男性のコミュニケーションスタイルを理解して、以下のようにアプローチします。
「今日、美容院にいったけど、いい感じになって気に入ってるんだ!」
「見て!今日買った洋服、かわいいよね。」
子どもの進路、家計のことなど家族の重要事項を夫に相談したいときがありますよね。しかし、夫に相談しても満足のいくような結果が得られなかったという人も多いのではないでしょうか。
妻:うちも、もう少し、節約した方がいいと思うんだけど。
夫:いや、無理しなくてもいいんじゃないか。
妻:…(もう、この人、全然私の気持ちわかってくれない。うちのことなんてどうでもいいじゃないかしら)。
先に述べたとおり、女性の会話はまわりくどいスタイルをとります。女性同士なら、「もう少し節約したほうがいいと思うんだけど」という言い方で相手の女性は「節約したいんだな」という真意を読みとってくれます。
しかし、男性の会話はダイレクトですから、ダイレクトなボールを投げないと、正確に受け取ってもらえないということです。夫に節約に協力してほしいのなら、以下のようにダイレクト&理論派スタイルをとらなくては理解されません。
「うちの家計収支の現状はこれこれ。子どもの教育資金にこれだけ、マイホームを買うならこれだけ将来必要。よって、今から節約して貯金していくべき。」ここまで言ってはじめて夫は「よし!節約しよう」と決意するのです。
【夫に重要事項を相談するとき】
男と女のコミュニケーションスタイルの違いをふまえて、夫との会話をスムーズに進めるコツをお伝えしました。これだけスタイルが違うと言うのに、逆によくいままで一緒にやってこれたなという思いを抱く人もいるかもしれません。
しかし、もうあなたは男女差を理解したはずです!今後はイライラするどころか楽しく夫と会話できるようになることを祈っています。