赤ちゃんを抱くと「抱き癖がつく」は嘘だった!?

赤ちゃんを抱くと「抱き癖がつく」は嘘だった!のイメージ画像

「赤ちゃんを抱きすぎると抱き癖がついて、赤ちゃんがお母さん離れできなくなるから、抱きすぎない方が良い」こんな言葉を最近よく耳にしますし、実際に周りのお母さんや、時にはお医者さんにも注意されたお母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした言葉を信じて、お母さんたちは赤ちゃんが泣きだしても、今すぐ抱いて慰めてやりたい気持ちを抑えて、「赤ちゃんのために」と必死に我慢します。ですが、こうした抱き癖の影響に関しては、実は科学的に証明されているわけではありません。

それでは、赤ちゃんはお母さんが抱くことによってどうなるのでしょうか。そもそも、お母さんが抱かなければどうなってしまうのでしょうか。ここでは、なぜお母さんが赤ちゃんを「抱くこと」が重要かについて触れながら、抱き癖の話は本当ではないということをお伝えします。

1. 赤ちゃんを抱かなければどうなるか

まず始めに、お母さんが赤ちゃんを抱かなければ、赤ちゃんがどうなっていくかについてご紹介します。心理学によると、お母さんが赤ちゃんを抱かないと、赤ちゃんは次の3つのプロセスをたどり行動障がいを抱えてしまうことすらあります。

1. 泣きわめく段階

最初の段階は、お母さんに抱いて欲しくて泣きわめく段階です。寂しくて泣いてしまうのですが、それでもお母さんは来てくれません。すると、さらにひどく泣きわめくのですが、それでも反応が無いと、赤ちゃんは次の段階の反応を示すようになります。

2. 絶望の段階

この段階になると、赤ちゃんは泣いても泣いても誰も構ってくれないので、絶望し、ついにほとんど泣かないようになってしまいます。赤ちゃんが泣かないようになったことを「甘え癖が治った」と言う方がいらっしゃいますが、これは大きな間違いなのです。

3. 否認の段階

赤ちゃんが絶望し、泣いても誰も構ってくれない状況になると、「自分が愛されていない」という状況を否認、つまり認めたくないので誰にでも笑う様な反応を示します。その方が大人が構ってくれるようになるからです。

ただ、第三段階を経て「赤ちゃんがよく笑う子になったのならいいじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、これは大きな間違いです。実は、この否認の段階を経た子どもは、その後行動障がいなどを抱えるリスクが非常に高いことが分かっているからです。

なぜなら、この段階の子どもは、笑顔でコミュニケーションをするスキルを身に付けたから、あるいは楽しいから笑顔になっているのではなく、「誰かの愛情が欲しくて欲しくてたまらない」から笑顔になっているだけだからです。

ですので、赤ちゃんを抱かないと、全く表情も声も発しない「サイレントベイビー」を生み出すことになってしまったり、最悪の場合には、その後の赤ちゃんの将来にまで多大な影響を及ぼしてしまうことになるとされています。

2.  赤ちゃんを抱くことの意味

ただ、ここまでの話を聞いて、「赤ちゃんを抱いた方が良いのは分かったけど、抱きすぎはやっぱり良くないんじゃない?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。そこで、赤ちゃんを抱くことで赤ちゃんがどう変化するのかをご紹介します。

まず始めに触れておくと、赤ちゃんをお母さんが抱いていればいるほど、実はその赤ちゃんは将来色々な物事に対して自発的に取り組むような、やる気溢れる子どもになることが分かっています。これは、赤ちゃんが抱くことの意味が大きく関わっているからです。

赤ちゃんは寂しいと泣きます。これは生まれつき持っているお母さんとのコミュニケーション能力です。そして、泣くことでお母さんが抱いてくれるようになると「自分は社会に影響力を持っているのだ」という意識を持つようになります。いわゆる「自己効力感」です。

こうした自己効力感を持てるようになると、赤ちゃんは次のステップに進みます。つまり、今度はお母さんに笑いかけたり、お母さんに身振り手振りをしてみるわけです。このように赤ちゃんの「泣き」とお母さんの「抱き」はそれぞれが揃って初めてコミュニケーションが成立するのです。

3. 「抱き」と「泣き」の次のステップへ

そして、このようにお母さんによく抱かれていた赤ちゃんは、次第に泣かなくなってきます。なぜなら、抱かれることで「泣き」以外のお母さんとのコミュニケーションにも積極的にチャレンジするようになり、自己効力感を高めていくからです。

つまり、そもそも赤ちゃんの「泣き」は甘えなどでは決してなく、それしか知らない赤ちゃんが唯一お母さんとコミュニケーションをするために持っているコミュニケーション手段なのです。こうしたことから、そもそも抱き癖というのがどれだけ間違ったことを言っているかが分かります。

皆さんも、初めて出会った人にとりあえず「初めまして」と話しかけてみたはいいけれど、相手がそれに何も応えてくれなかったどう思われるでしょうか。おそらく、多くの人は二度とその人に話しかけないようになると思います。

でも、その人が相手からも「初めまして」と言ってくれれば、そこから2人の関係がスタートし、「元気ですか?」といった他の話題に移り変わったり、笑顔を浮かべたり、身振り手振りをしたりして話し始めるようになるのです。

赤ちゃんの泣きは、まさにこの「初めまして」と一緒です。赤ちゃんがコミュニケーションを自らしかけてくれているのに、それに一番愛して欲しいお母さんが応えなければ、赤ちゃんは何も自分からしようとしなくなってしまうのです。

抱っこは大切なコミュニケーション

世間では、最近「赤ちゃんを抱くと抱き癖が付く」という噂が聞かれるようになってきました。ですが、むしろ赤ちゃんにとって「泣き」→「抱き」は大事なコミュニケーションであり、お母さんが抱いて抱きすぎるという事はありませんから、むしろ積極的に抱いてあげた方が良いと言えます。

ただし、念のため申し上げておくと「だから四六時中お母さんは赤ちゃんに触れておかなければならない」というわけではありません。お母さんが気づいて手を出せる時には触れるという程度でも、十分赤ちゃんに愛情は伝わっているとされています。

そして、赤ちゃんとの「泣き」→「抱き」というコミュニケーションが成立していれば、赤ちゃんは自然と色々な表情や動きを見せてくれるようになります。その段階になったら、お母さんは見つめてあげたり、一緒に身振りをしてあげたり様々なコミュニケーションをしてあげると良いでしょう。

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る