忙しい毎日、口をすっぱくして指導しても子供が言うことを聞かないとほんとにイライラしますよね。今回は、いくら言っても子供が言うことを聞かないことにイライラしている人に向け、原因を考えるとともに、対処法も紹介したいと思います。
例えば、いつも子供が食べこぼすとします。そんなとき、親は子供を叱るわけですが。はたしてなぜ食べこぼす子供を叱るのか振り返ってみたことはありますか。
片付けるのが面倒なのか。行儀よく食べてほしいのか。せっかく作った料理が無駄になるのが腹立たしいのか。
子供にイライラするとき、意外と大人の方も大人げないことを感じているのかもしれません。行儀よく食べてほしいという気持ちなら、子供のことを考えてのことかもしれません。
しかし、片付けるのが面倒だ。とか作った分が無駄になって手間が惜しい。などは、大人の側の勝手な都合です。小さな子供に大人の都合がわかるべくもありません。
とはいえ、朝、幼稚園や保育園の時間が迫っているときに、子供が着替えもせず朝食もそこそこに遊びに夢中になっていたら、さすがにイライラしますよね。しかし、不思議なもので、イライラして、子供にこうしてほしいと思えば思うほど子供は言うことを聞きません。
学校で、ヒステリー気味な先生が、「早く席につきなさい」「静かにしなさい」などとキーキー騒いでも、生徒は言うことを聞かないということがよくあります。ヒステリー気味な先生は、正当なことを言っています。
授業なのですから、生徒が席に着くのも、静かにするのもあたりまえです。ですが、なぜかキーキーとした怒りを見せると、生徒は先生と距離をとるようになり、言うことを聞かなくなります。ヒステリー気味の先生がキーキー言えば言うほどです。
おそらく、なぜそんなことが起こるかというと、生徒はその先生に対して気づいてしまうからです。「この人は生徒のことを本当のところは考えていない」。
先生の役目は、生徒になにごとかを教え、伝えることです。しかし、ヒステリー先生は、「生徒は席につくべき」「授業中は静かであるべき」ということにとらわれてしまって、本来の役目を忘れ、生徒のことを見ていないのです。
自分のことを考えてくれていない人から素直に教えを乞おうと思えるでしょうか。子供が言うことを聞かないときも、案外そういうからくりになっているのではないでしょうか。
大人の望む予定調和を、子供は見事に裏切ってきます。逆に、これやられたらやだな~ということをなぜか的確に察知して。確実に実現してくるわけなのですが…。
大人に都合のよい願いが強ければ強いほど、子供はそれを察知して言うことを聞きません。北風と太陽という童話をご存知でしょうか。子供に言うことを聞かせようとして、こじれてしまう状態は、北風にビュービュー吹きつけられた旅人がますます襟をたて、かたくコートを押さえるさまに似ています。
北風が風を吹けば吹くほど、旅人はコートを押さえるように、親が言うことを聞かせようとすればするほど子供はますますかたくなになっていきますよね。
そんなパターンに陥った時、だいたい、最終的に子供は大泣き、大人も怒鳴り散らしたことで疲れ果てます。子供は怒りや悲しみでいっぱいになり、大人は一体何がしたかったんだと情けなくなるのが定番です。
結局、事態がこじれてしまうと、子供に言うことを聞かせるために大人が力で押さえつけることになります。しかし、そんなことを繰り返され育った子供は、もちろん大人のやりかたを踏襲するようになりますよね。それでいいのでしょうか。
発想の転換の一例として、言葉の言い換えを紹介します。のろのろと時間を気にしない子供を見るとつい、「早く○○しなさい」というセリフが出てしまいますよね。
しかしあまりにも「早く○○しなさい」を連呼していると、だんだん子供の側も聞き流すようになります。「早くしなさい」の威力が薄まるのです。ふだん「早く…」式のセリフを連呼しているのなら、別の言葉に言い換えてみましょう。子供は違和感から、改めて親のセリフが耳にはいってくるかもしれません。
「○○してくれるとうれしいんだけどな」
「すぐにやめなさい。帰って来てから○○するか、夕食の後に○○するか、どちらかにしなさい」
「もう○時だよ(現状を伝えて自分で考えさせる)」「出発まであと○分だよ」
これも発想の転換ですが、小さな子供に抜群に効く手法です。なかなか歯磨きをしようとしない子供に誘います。「誰が一番早く洗面所に行って歯ブラシを持ってこれるかな?よーい…」。
誰が一番うまくできるかゲームをしてもよいでしょう。
「誰が食べ物をこぼさずに一番上手に食べれるかな?」。
ちなみに、大人の側に余裕があるときでいいのですが、いつも一番早くできるか、もしくは、うまくできるかを争うより、「誰が一番うまくいかないかゲーム」「誰が一番遅くできるかゲーム」を組み込むことをおすすめします。
単純に目先を変えるだけでも子供は充分楽しんでくれますので「早くできる・うまくできるゲーム」の新鮮味を保つことができます。「誰が早くできるかゲーム」はひとつの例ですが、こんな風に、頭ごなしに、言うことを聞かせるのではなく、切り口を変えて子供にアプローチする工夫が必要なのです。
先にあげたヒステリー先生のように子供が言うことを聞かない原因は、大人の余裕のなさだったりするからです。余裕と言っても、子供へのアプローチとしては、ただ単に発想の転換をするだけだったりするのです。
子供が言うことを聞かないことにイライラしている人に向け、原因を考えるとともに、対処法を紹介しました。
大人は必死で叱っているのに、子供がその言葉を右耳から左耳へもしくは左耳から右耳へスルーしているさまがわかると、怒り心頭となってしまうのもやむをえないことかもしれません。子供はある意味省エネ対策をしているようです。
今回の対処法を参考にして、大人の方ばかりがエネルギーを消耗しないようにしてもらえたらと思います。