女性特有の疾患の一つに子宮筋腫があります。診断されると誰でも不安になるのは当然のことですよね。特に子宮は胎児を育てるための大切な生殖器で一つしかないので、妊娠を考えている人には大きな障害となるでしょう。そうでなくても入院や手術などの費用に頭を悩まされる方も少なくはないはずです。
専門の知識の類に入るので難しいというイメージも強く、特に医学用語は見慣れない漢字も多く理解が難しいものですよね。医者が病名を出せば、何かを知らないから難しく怖くなるというパターンは多いです。しかし理解するのは意外と簡単で正しい知識を持てば意外と呆気ないものなんです。そんな子宮筋腫について分かり易く説明していきます。
やはり多くの人は悪い病気だと認識してしまうでしょう。実は子宮筋腫は女性の三人に一人の人がもっているものなんです。そんな子宮筋腫ですが、良性腫瘍に分類されているのです。腫瘍ときくと、がんをイメージしますが誰もがもっているものなんです。腫瘍はできる箇所によって名前が違うだけで、子宮の筋肉に出来る腫瘍が子宮筋腫です。
良性なら大丈夫なのではと疑問も生まれるでしょうが、良性でも悪性でも腫瘍はシンプルにいうと腫れ物。腫れ物が体内にできて大きくなれば、普段の生活に影響がでるのは当然のことと考えられます。肥大した腫瘍は取り除かなければならないのです。この子宮筋腫も一緒で三つに分類することができます。
※医者によっては括弧内のように子宮を略する場合もあります。
子宮筋腫の中で最も高い比率でできます。子宮の筋肉である子宮の壁(筋層)の中にできる筋腫。
子宮の外側に成長する筋腫。筋層の外側にある膜(漿膜)との間にできるもの。漿膜の下にできるため、そのように呼ばれている筋腫。
子宮の内側に成長する筋腫。筋層と子宮の壁にある膜(粘膜)の間にできるもの。認識としては子宮の内側の膜の下にあるもの。
上記三つの子宮体部にできる筋腫とは異なり、子宮頸部にできる筋腫でほとんどみられることはない。
自覚症状は筋腫のできる箇所、人によって様々ですが主にみられる症状は以下のようなものがあります。
普段より月経痛が強く感じられ、それに伴い腰痛などもみられます。生理中の出血も多くなるので貧血を起こすこともあります。
子宮で腫瘍ができることで子宮の形が変形し流産の恐れが考えられ、卵管を圧迫し着床が上手くできず不妊に悩むことも少なくないです。
やはり体内にある腫瘍が大きくなるので内側から圧迫されることで膨満感をおぼえます。原因が同じものとして便秘や頻尿も症状の一つです。
気になるのは治療方法ですよね。やはり腫瘍の類というと切開手術しか頭に浮かばないものです。卵巣なら二つあるから未だしも、子宮となると将来的なリスクが考えられるので不安は増していく一方でしょう。治療方法とはいくつかあります。診断されたならば、それらの可能性を考慮して生活習慣を改善していくのも一種の治療方法といえます。
痛みを治める鎮痛剤や、痙攣を鎮めるための鎮痙剤の処方。痛みの度合いによって妊婦でも飲めるような優しい鎮痛剤が主に処方されますが、痛みが改善されない場合は、より効果のある鎮痛剤が処方されます。
また子宮筋腫は筋肉にできる腫瘍なので、痙攣が起こることもあります。この痙攣を鎮めて痛みを和らげるのが鎮痙剤になります。それによって子宮の筋肉を楽な状態を維持するので効果があります。
ホルモンの活性を抑えることで月経を止めてしまう方法です。注射と点鼻薬とピルによる療法がありますが、どれも更年期障害の症状がでる恐れがあるため長期間の使用は難しいとされています。
これも大きく分けて二つの方法があり、腫瘍のみを摘出する子宮筋腫核出術と子宮そのものを摘出する子宮全摘出術があります。後者に至っては将来が閉ざされかねませんが、稀にあることなので日頃の管理をしっかりしましょう。
更に手術の方法としても腹部を大きく切開する切腹手術と、小さく切開し専用の器具を使って腫瘍を取り出す腹腔鏡手術にも分けられます。やはり傷の大きさや治り具合も違うので医者と相談してみるといいでしょう。
悪化したらという不安要素がありますが、これは大きなチャンスと捉えましょう。仮に手術になれば入院も重なるので高額な医療費がかかり家計は大打撃。前もって可能性があるなら貯金もできますし、家族や職場などにも知らせておくことができるのがメリットなんです。もし手術前に治ったなら余った貯金をあなたは何に使いますか?
子宮筋腫の症状や治療方法を知ると余計に不安になられた方も多いでしょう。しかし腫瘍は必ずしも大きくなるとは限らないものです。ホルモンバランスが原因なので、そのバランスが戻れば腫瘍そのもが消えることもよくある話なんです。そう考えると落ち込んでばかりはいられませんよね。
冒頭で述べたように女性の三人が一人にもっている子宮筋腫で、手術まで至るのは一部なのです。原因からも本来の生活習慣を意識すれば改善がみられます。実際に腫瘍がなくなったという奇跡的な話がいくつもあるように、自力で治すためには心身とも健やかな生活を送ってみましょう。
ホルモンバランスが崩れる要因としてはストレスと生活習慣。ストレスは気付かない内に溜まっていくもので、仕事に追われていると気付いていない人も中にはいるんです。生活習慣も普段と変わらず過ごしていても、少しずつ乱れて不規則な生活になっていたりする人は少なくないのです。
ホルモンバランスを整えるには大豆に含まれているイソフラボンが有名ですね。ホルモンの働きをよくするので、日頃からほどよく摂取しておくといいでしょう。また、美容効果もあるので女性としては一石二鳥とお得になりますね。とは言っても、大豆が含まれている食品だけを食べればいいのではありません。
きちんと食生活を正すことが一番の目的です。そうはいっても食欲不振な方は一日一食だけでも辛いはず。しかし、その一食を三等分して三回に分けて食べるなら一食の量は数口分ほどなので食べられるはずです。これだけで大きな手術を逃れられるのなら当然やりますよね?
ストレスが溜まると起こりがちな食欲不振と同じくらいに多いのは不眠症状。就寝の際には好きな音楽も良いですが、リラクゼーション効果のあるα派などが含まれた音楽を聞くと眠りに入りやすくなります。それに加えて、暖かく湿らせたタオルや市販の蒸気アイマスクをすると効果は倍増します。
また趣味に費やす時間を増やしてストレスの軽減をするのは心を労わることになります。我慢ばかりせずに少し位は我侭や贅沢をしましょう。特に専業主婦は家に閉じこもりきりの方が多いはず。少しの散歩でも日光を浴びれば、運動も兼ねてスッキリした気持ちになりますので工夫を取り入れることが大切です。
コミュニケーションも大切です。腹部に痛みがあったら受診する、不明な点があれば医者に聞く。定期診断などで病院のスタッフとの会話もあれば大きな安心感が得られます。もちろん、家庭や職場でのコミュニケーションも忘れずにしましょう。前向きな生活を送るためには人の繋がりが大きな支えになります。
働く女性が多くなるのと平衡して女性特有の疾患も増えてきています。しかし、そのほとんどの原因は生活習慣の乱れからホルモンバランスが崩れておこるもの。仕事をしながらも規則正しい生活を送れば、そういった疾患と関わることは大幅に少なくなるのです。それでお腹を切らなくて済むなら良い話ですよね。
子宮筋腫と診断されて不安になって塞ぎこんで手術を待つより、それに立ち向かう心と今までの自分の生活を見直して改善していくことが最大の治療方法なのです。「たかが腫れ物」、「消してやる」くらいの気持ちで臨んでいきましょう。