「もう、何回言ったらわかるの!」「いい加減にしなさい!」「ダメって言ってるでしょ!」「やめなさいっていうのがわからないの?!」
毎日毎日同じようなことをしでかす我が子に、ついつい上記のような言葉で叱ってしまう、なんていうことはありませんか?
親としては、これだけ叱られて怖く悲しい思いをしたんだから、もうやらないだろうと思いますよね。でも、やるんです。やってしまうのです。どれだけこっぴどく怒られても、また繰り返す・・・。
これは一体どうしてでしょう?
人間が「これはやってはいけません」と言われて、「わかりました、やりません」と理解できるようになるためには、受け取った情報=やってはいけないということを正確に脳内で指令として出すこと、そしてその指令を「正しく」体の行動として変換する作業が必要です。
例えて言うなら、情報というボールを外から投げられて受け取った、でもそのボールを上手に受け取れなくて落としてしまう、あるいは受け取れてもどこに投げ返したらいいのかわからない・・・小さい子がいきなりボール投げを上手にできないのと全く同じ状態が、脳内でも起こっているんですね。
これは少しずつ訓練されて発達していくスキルであり、最初から備わっているわけではありません。
5歳くらいまでの小さい子が、大人が投げたボールをきちんと受け取れなくても、「何回言ったらわかるんだ!」と言ったところで上手になりませんよね。
叱るだけ無駄です。子供は悲しく辛い気持ちになるだけだし、親はイライラするだけで、何の進歩もない。これと全く同じなのです。
これを正しくできるようになるネットワークを作るためには、ボールをきちんと扱える=「脳内で情報というボールを扱える」ためのスキルトレーニングが必要です。
では脳内で情報というボールをきちんと扱えるようにするためには、具体的にどうしたらよいのでしょう?
それでは家庭でできる脳訓練について、いくつか方法をお教えしましょう。
まずは100円ショップなどで、違う色の玉またはボール(あるいはカードでもかまいません)3種類を用意してください。そして、程よい大きさのバケツなどの入れ物を用意します。ダンボール箱でもかまいません。
入れ物には、それぞれ用意した玉(またはカード。以下同様)と同じ色のマークをつけるか、写真を貼るかしておきます。これは非常に大事なポイントです。
こういうゲームを繰り返します。これができるようになったら、次は使用済み牛乳パックをきれいに洗い、口をクリップで留めたものを用意します。
パックのお腹あたりに、直径1.5センチ程度の丸い穴を1箇所開けます。この穴に、この穴をちょうど通るくらいの大きさの小さな玉を、先述のバケツへ玉を入れる要領で入れていくというゲームをするのです。
つまむという、指先を使う作業をするので、より脳を刺激します。
この他、屋外でできる遊びとしては、青いカードを出したら走る、赤いカードを出したら止まる、黄色いカードを出したらママが走るか止まるかどちらかの指示を出すのでそれに従う、などといったことをやってもいいですね。そのまま交通安全教育にもつながります。
こうした脳訓練のシステムを取り入れた幼児教室もいくつかあります。
実際、幼児時代に脳訓練をしっかりやっておくと、空間図形が得意になったり、国語読解力が秀でていたり、やはり成長してからの能力に差が出てきます。
また、思春期になっても、聞き分けがよかったり、感情的に爆発することが少ないなどといった、長期的なメリットも多いのです。
以上、何度言ってもわからないのは、脳内での情報というボールをしっかりキャッチできる力がまだなかったから、というのがおわかりいただけたでしょうか。
これを機に、ぜひ脳内情報キャッチボール能力を高めるためのトレーニングをしてみてくださいね。もちろん新しい遊びが増えて子供も喜ぶことうけあいです。