なんとなく胸が痛い、おっぱい(乳房)が痛い、しこりがある・・もしかして私、悪い病気じゃないの?と不安に思っている方、少なからずいらっしゃるでしょう。いたずらに不安んになったりせずにぜひ女性の胸(ここでは乳房と呼びます)に起こる特有の症状について知識を増やしてくださいね。
今まで感じたことがない乳房の症状であわてたり心配になることも多いでしょう。いわゆる中年と呼ばれる年代に多くみられる症状ではありますが、女性が年齢を重ねていくうちに30代の若い年齢でも起こりうるものです。知ってほしいのはあなたひとりではなく、多くの女性が感じている症状だということです。
痛み、しこり、その他の乳房にあらわれる症状、「乳がんでは?」と悲観的になってクヨクヨしたり、怖くて病院を訪れることすらできないのではありませんか?
まずこれを知ってください。
「乳腺症」の名のとおり病気ではないとされることが多く、授乳期の母乳のつまりや細菌感染が原因で起こる「乳腺炎」とは全く別のものです。「乳腺症」はホルモンバランスの崩れなどから起こる現象なのです。特に治療なども必要ないとされています。
乳腺症では主に以下のような症状があげられます。
乳腺症の多くは両側の乳房の外側の上部に境目がはっきりしないような硬いしこりができます。触ったり指でつまむと痛みがあります。
乳房に痛みがあり、乳房を触るとでこぼこに感じる場合は、乳腺の腫れを示していますので、乳腺症であることが濃厚です。生理前から生理中にかけて痛みが増して生理が終わると収まるとさらに乳腺症の可能性が高いと言えるでしょう。
乳房のしこり、乳頭からの分泌物などは乳がんの症状でもあるのでとても不安になりますよね。では乳がんと乳腺症は何が違うのでしょうか?
まず、生理周期と関係なく常に触れるしこりや乳房にできたえくぼ状のへこみは乳がんが疑われます。これに反して明らかに乳腺の腫れたでこぼこや、生理が終わると痛みやしこりが消失する場合は乳腺症の可能性大です。
乳腺症では妊娠中や授乳中でもないのに乳首から透明、ミルク色、黄色の分泌物が出ることがあり、これは「乳頭異常分泌」と呼ばれます。また、分泌物が茶褐色であったり血液のようなものであることもあり、「出血乳房」と呼ばれる症状です。
ただし、これらの症状は乳がんの場合でも呈する症状ですので自己判断せずまずは専門医の診断を仰ぎましょう。乳房のトラブルで外来受診すると医師はまず乳がんから疑って診察を進めますが、これが普通の順序なので不安にならないでください。
医師の問診、触診、視診を受け、必要に応じてその後エコー(超音波)検査や、、マンモグラフィー(乳房X線撮影)と検査が進められます。その結果で疑わしい部分がある場合は細い注射の針を刺してしこりの中から細胞を採取する生検などに進みます。
要は乳がんをまず疑って診察し、がん細胞が発見されなければ「乳腺症」という診断が下されるという「消去法」で確定される症状なのです。
乳房の症状で受診すると沢山の検査を経て、なおかつ組織検査などまで進む場合もあり、とても不安になりますが、それほど乳がんと紛らわしい「乳腺症」の症状も存在することも覚えておいてください。
受診する科は基本的には「外科」です。「乳腺外科」「内分泌外科」などのように乳腺を専門に診察するところを見つけましょう。
もし産後であるならば出産した産婦人科で相談してみても良いでしょう。
乳腺の病気になったということは乳がんの発生リスクが高まらない?
結果から述べると限りなく「NO」であると言って良いでしょう。
一説によると乳腺症がある場合は乳がんの発生リスクが高まるといわれていますが、その一方ほとんどの乳がんは乳腺症の発症とは全く因果関係がなく発生していることから、そのリスクについてはあいまいです。
そもそも乳がんについては乳腺症の有無にかかわらず日ごろからの自己触診でしこりの有無に気をつけることが一番の良い方法です。定期的に医師による乳がん検診(触診やマンモグラフィー)を受けて早期発見をすることで乳がん自体も予後が悪くない場合が多いのですから必要以上に怖がることはないでしょう。
生理前の乳房が痛みを感じたり張りやすいなどで正しい触診が難しい時期以外は、横になり乳房を丸くまんべんなく指の腹で押しながららせんの円状に触ってみてしこりの有無を確かめましょう。お風呂の時に石けんで滑りやすくした手で乳房を丸く丁寧に触りながら洗う習慣をつけるのもしこりを早く発見するのに効果的です。
乳腺症の診断がされれば、原則的には経過観察となります。つまり乳腺症には治療の必要がないということなのです。ただしつらい症状を抑えるための対症療法は存在します。痛みがあまりに強い場合は鎮痛剤や乳腺に働きかけるホルモンをブロックする薬が使われます。
痛みやしこりは周期的なもので、症状が軽い場合はおよそ3~6か月で自然に緩和されていきます。乳腺症の症状は強く出たり治まったりを繰り返すことが多いのですが、閉経を迎えるとこの乳腺症の頻度は急激に減少します。
乳がんを疑って毎日恐怖におびえていた女性が「乳腺症です」と医師に診断を受けたとたんに痛みが軽減されてしまうこともあるようです。必要以上に恐れを抱くことは症状を重くしますのでクヨクヨ心配するのは禁物です。
しかし痛みや腫れなどの自覚する不快な症状が続く場合、なんとか自分でも症状を和らげたいものですね。乳腺症とうまく付き合いながら生活するために日々の習慣を見直して乳腺症の症状を和らげましょう。
医師が紹介する乳腺症の症状を和らげる方法をご紹介します。
あたりまえのことですが規則正しく、健康的な生活を送ることが乳腺症を遠ざける一番の良薬のようです。特に食生活と睡眠には気を配って快適に乳腺症のつらい症状を乗り越えてください。
どうしても耐えられないほどの症状であれば投薬などの方法もありますので、気楽に構えてください。いずれは必ず治る、必ずおさまる乳腺症の症状ですから気にやまず毎日を女性らしくイキイキと楽しみましょう。