「学校に行くこと」。それは、普通の子どもが普通にしていること。自分の子どもだけ、その普通のことができないなんて、母としてのその辛さは計り知れません。でも、「自分の子育てが間違っていた」なんて自分を責めることは、やめましょう。これも、子どもの成長の過程なのです。
不登校になる原因は、子どもによってさまざまです。母として、子どもに優しくすればいいのか、厳しくすればいいのか、迷走することもあるでしょう。ここでは、子どもの性格と不登校になった原因をまとめ、そのような子どもに対して、母としての正しい接し方を紹介します。
子どもが、「学校に行きたくない」と言い出したとき、一番に考える原因が、先生や友達とのトラブルです。でも、実は、それはきっかけにしか過ぎないのです。本当の原因は、もっと心の奥にあるものです。特に、思春期といわれる時期には、子どもは親が思っている以上にいろいろなことを考えているのです。
また、元々の性格で、傷つきやすかったり打たれ弱かったりすると、不登校になることもあります。でも、それは心が成長するために必要なことなのです。お子さんの性格と不登校になった原因を、母親としてお子さんの一番の理解者になり、お子さんをサポートしていきましょう。
幼い頃から、手がかからず、親の期待に応えてきた子どもに多い原因です。思春期になって自分を見直したときに、何でもできる完璧な自分とそうでない自分との間で葛藤するのです。良い子でいることに息切れしてしまうのです。そして、良い子でいなければならなかった環境に腹を立てるようになるのです。
大人でも、頑張りすぎた結果疲れてしまって、無気力になることってありますよね。受験勉強を頑張って、やっと入学できた矢先、不登校になる子どもに多い原因です。頑張って頑張って手に入れた学校生活が、自分の期待とまったく違ってしまい、将来に失望してしまうのです。
家にも学校にも自分の居場所が見つからず、自分を責めてしまいます。自己表現が苦手な子に多い原因です。でも、実のところ母親に甘えたいと思っているのです。母親が仕事で忙しかったり、小さな弟や妹に気をとられていたりしていると、「学校に行かない」ことで、母親の気を惹こうとしているのです。
同級生と比べて、精神的・身体的に発達が遅れている場合、授業が理解できなかったり、友達といっしょに遊べなかったりして、学校に対しての抵抗感が強くなってしまうことがあります。また、精神的・社会的にも未発達なため、集団の中で不適応を起こし、学校に行けなくなる場合もあります。
不登校になった原因は、さまざまであるし、その子どもの性格もさまざまです。でも、共通していることは、どの子どもも大きな不安を抱えています。大人にとっては些細なことでも、子どもにとっては大きいこともあります。その不安を理解し、和らげてあげることが大切です。
このタイプの子どもは、登校時間になると頭が痛くなったりお腹が痛くなったりします。決して嘘ではないのですが、「学校に行かなくていい」とわかった途端、元気になります。家では比較的元気で、学校以外の話はしてくれます。その反面、少しのことで反抗的な態度をとるようにもなります。
まず、母親が「学校に行かない」ことへの否定的な考えを無くしましょう。子どもには、「学校に行かない」自分を丸ごと愛してくれる母親の存在が大切なのです。「学校に行かなくても大丈夫」と言い聞かせ、安心感を与えましょう。このタイプの子どもは、今まで反抗期というものもなかったと思います。「学校に行かない」ことで、最大の反抗をしている時期なのかもしれません。
また、もともと完璧主義で神経質な性格であるので、時間をずらしての登校や保健室への登校は、本人が認めようとしません。そうなると、家から一歩も出ないようになりますので、家の中で何か役割を決め、お手伝いをさせるなどして自己の確立を促しましょう。
このタイプの子どもは、昼夜逆転になっていて、登校時間にも起きません。部屋にひきこもっていて、ゲームをしたりマンガを読んだりして一日を過ごしています。そんな生活を「怠けている」と捉えることはやめましょう。今まで頑張ってきたお子さんには、長い休息が必要なのです。
まずは、お子さんと過ごす時間をつくります。夜中になってもいいです。お子さんに生活を合わせ、会話をたくさんしましょう。興味や関心のあるゲームやマンガについて、話をするとよいです。また、いっしょにゲームをして遊ぶのもよいです。興味や関心のあるものから意欲を引きだすことが大切です。
そして状態を見て、簡単な家事などを手伝わせるとよいでしょう。そのときは、必ず褒めて認めてあげるのです。「頑張らなくても認めてもらえる」と思わせることで、自己の存在意義を確認させ、安心感を与えましょう。
このタイプの子どもは、元々自己主張をしません。でも他人に「わかってもらいたい」という思いを強く持っています。特に、母親に対しては、自分をわかってくれないことへの苛立ちをぶつけるようにもなります。それは、お子さんの「甘えたい」サインでもあります。母親は、支持的な関わりをやめ、お子さんに寄り添う姿勢を示しましょう。
また、このタイプの子どもは、自傷行為や摂食障害を起こすこともあります。これも、やはり自己表現ができないが故のサインです。これらの行為を否定したり問い詰めたりするのではなく、大らかな心で寄り添うことが大切です。会話やスキンシップをはかるなどして安心させてあげましょう。
「学校がおもしろくない」「友達に嫌なことを言われる」など理由をつけて、学校に行かなくなります。その問題解決に向けて働きかけることも大切ですが、問題が解決したからといってすぐに学校に行けるものでもありません。焦らずに、お子さんの話に耳を傾けて、たくさん会話することを心がけましょう。
学習の遅れを気にしているようなら、個別指導などの措置を取りましょう。遅れを気にして、教室に居づらいこともあると思います。学校には、保健室などの教室以外の居場所があると、言い聞かせましょう。学習以外の、楽しい行事や活動のときだけ参加させることで、クラス内での居場所をつくってあげましょう。
勝ち組、負け組という言葉があります。母として、子どもを勝ち組にしてあげたいと思うのが普通です。でも、勝つためにはどうすればいいのかを教えればいい、と思っていませんか。大切なのは、負けたときにその負けを受け容れ、立ち直る強さを教えることなのです。しかしそれは、実際に負けてみないと学べません。
不登校を負けというなら、それは、チャンスではないでしょうか。ここから親子で立ち直ることによって、素晴らしい人生を切り開くことができるはずです。そんな未来に向かって、少しずつでいいので、前に進んで行きましょう。あせることはありません。三歩進んで二歩下がっても、確実に一歩は前に進んでいるのです。