費用はいくら?どんなことをするの?子宮筋腫治療の最前線

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30代、40代に多い子宮筋腫。子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍。一説には40歳以上の女性の25%は子宮筋腫を持っているとも言われます。

基本的には良性の腫瘍なのでそれ自体はそれほど危険というわけではありませんが、

頻尿、便秘、月経困難、不妊などの原因となります。最近生理痛が重い、経血の量が多い。そんな症状があったら、あなたも子宮筋腫の疑いがあるかも。

子宮筋腫かもしれないけど病院に行くといくらぐらいかかるのか、どんな治療を受けることになるのか、仕事は休まないといけないのか、不安に思って悩んでいる人もいるかもしれません。そこで、最新の子宮筋腫治療についてお話します。

検査を受けよう

もし子宮筋腫が疑われるのなら、一度婦人科を受診して検査を受けるといいでしょう。

検査ではまず問診と内診、その後必要に応じてエコー、CT検査やMRIなどを受けることになります。内診では指を膣に挿入し、同時に腹部を抑えることで子宮、卵巣の様子を調べます。

検査費用は病院によって異なりますが、健康保険が適用される範囲なら内診とエコーだけなら3000円程度。内診で問題が見つかると、MRI、血液検査、妊娠検査などを受けることになります。MRIは1万円弱程度。どちらも日帰りで可能です。

子宮筋腫検査で見つかりやすいその他の病気

子宮筋腫のつもりで検査を受けたら違う病気が見つかるケースもあります。たとえばこのような病気です。

子宮腺筋症

子宮の筋肉に子宮内膜が入り込むことで起きます。子宮が肥大し、月経痛や下腹部痛、腰痛などを引き起こします。30代の女性に多い病気ですが、20代の発症者も増えているそうです。

ガンのように命に係わる病気ではありませんが、長い間つらい症状に苦しめられることが多く、治療しても再発が多いのも特徴です。発症には女性ホルモンが関係しているため、閉経前の女性に多く、閉経後は軽快することが多いようです。

卵巣腫瘍

良性の卵巣嚢腫と悪性の卵巣腫瘍に大別できます。

卵巣嚢腫とは卵巣の中に液体がたまり、腫れてしまっている状態を言います。超音波診断によって見つかることが多い病気です。多くは良性で、サイズが10センチ以内の小さなものであれば腹腔鏡による摘出手術で治療可能です。

卵巣嚢腫と思われる腫瘍が発見された場合、悪性か良性かは細胞診断によって検査することになります。悪性のものが悪性卵巣腫瘍と呼ばれます。この場合は開腹手術、抗がん剤による治療が必要となります。

血栓症

子宮筋腫によって子宮が肥大化し、静脈を圧迫することで血栓ができる危険性が高まります。子宮筋腫自体は即命にかかわる病気ではありませんが、血栓が肺に入ると肺血栓塞栓症となり非常に危険です。

もしこれらの病気が見つかった場合は別途治療が必要となります。

治療を受けよう

子宮筋腫はその物自体命にかかわる病気ではないため、軽度の場合は積極的治療をせず、漢方薬や鎮痛剤などを使って対症療法のみ行うケースが多いです。その場合でも急速に筋腫が大きくなったりすることもあるので、定期的な検査は必要です。

症状が非常に重い、筋腫が大きくなっているなどの場合は投薬または手術によって治療することになります。

投薬治療

ある程度大きくなってしまっている子宮筋腫の場合は女性ホルモンの分泌を抑制する薬を飲む偽閉経療法、あるいは逆に女性ホルモンを投与して妊娠中のような体内環境を作る偽妊娠療法が一般的です。

ただし、強制的に女性ホルモンの働きを変えてしまうためリスクもあり、いずれも4カ月~6カ月しか継続できません。

手術まで、あるいは閉経前に一時的に行うことが多いようです。この場合、費用は月に1万円程度かかります。治療中は筋腫の大きさは半分程度まで小さくなりますが、治療終了後は再発してしまう危険性が高いです。

3センチ以下の小さい筋腫の場合、漢方による治療が効果的な場合もあります。冷えを改善する薬、不正出血を止める薬、貧血を改善する薬などを総合的に服用し、症状の改善を図ります。

漢方で子宮筋腫を根治するのは難しいのですが、筋腫が小さくなったなどの例はかなりあります。漢方による治療の場合も体質や症状によって個人差はありますが、費用の目安は大体1カ月1万円程度と思えばいいでしょう。

手術による治療

病気の症状が重い、筋腫が大きくなっているなどの場合は手術による治療が必要になります。手術には子宮を全摘出する方法と、子宮を温存する方法とがあります。年齢や病気の進行度によって選択することになります。

子宮筋腫を根治するには子宮と両方の卵巣を摘出することが必要になります。それによって女性ホルモンが分泌されなくなります。

妊娠を望んでいるなど、子宮を温存する場合は子宮筋腫の核のみを摘出する出術を行うことになります。筋腫のサイズ等によりますが腹腔鏡手術で行うことができ、術後の回復も早いようです。

手術は大きく以下の3つに分けられます。

  • 開腹しての手術
  • 開腹しない手術
  • 新しい治療法

開腹手術

開腹しての子宮全摘出の自己負担額は約25万円程度。約2週間の入院が必要です。開腹手術のため、術後1カ月程度は仕事を休んでの休養が必要となります。

腹腔鏡の場合は費用は同じく25万円程度ですが、入院日数は5日から8日程度になっています。また、腹腔鏡により筋腫の核のみ取り出す場合は約20万円。どちらも3週間程度の休養が必要です。

開腹しない手術

開腹しないで膣から腹腔鏡を挿入し、子宮を全摘出する手術もあります。出産経験があり、筋腫が大きすぎない場合に受けられ、全くお腹を切らないため回復も早く傷も残りません。

手術費用は約20万円、入院日数はおよそ1週間です。

筋腫が子宮内膜に近い筋層内にあるタイプの場合、子宮鏡筋腫摘出という子宮もお腹も切らない方法があります。こちらは膣から内視鏡を挿入し、筋腫の組織のみを電気メスで焼き取る手術になります。

切らない筋腫治療としてテレビで取り上げられたこともあり、保険適応も始まったため最近注目を集めていますが、まだこの手術を行える医師が少ないこと、対象となる筋腫が粘膜下筋腫だけと幅が狭いこともあり、まだそれほど普及していないのが残念。

こちらの場合費用は10万円以下、入院日数は2~3日で、術後も1週間程度で仕事に復帰できます。

新しい治療法

新しいタイプの子宮筋腫手術として、子宮動脈塞栓術、集束超音波治療というものがあります。どちらもまず妊娠を望まず、開腹手術も望まない場合に行われます。

子宮動脈塞栓術は足の付け根の大体動脈からカテーテルを挿入し、子宮につながる動脈に塞栓物質を詰めて子宮の働きを止める手術。入院が2泊3日程度で済み、傷口もほとんど残らないというメリットがあります。

ただし、こちらは健康保険適用外のため、自己負担費用が40万円~60万円程度となります。また、子宮を完全にとるわけではないため再発の可能性もあり、まれにですが塞栓物質が卵巣に流れていき、卵巣の働きも止めて月経がなくなったり、子宮から塞栓物質が逆流することで膀胱や坐骨神経などに神経障害が出ることもあります。

集束超音波治療はMRIによって筋腫の位置を特定し、超音波を一点に集めることで熱により筋腫組織のみをダイレクトに焼き殺す手術です。開腹をしないので手術は3時間程度で終了し、入院は1日程度。病院、体調によっては日帰りでの手術も可能です。

こちらも健康保険適応外のため、手術費用は約40万円。ほかに入院費用などが掛かります。

色々な例を見てきましたが、少しでもあなたの疑問に答えられたでしょうか?

もし疑わしい症状があるなら、早めに婦人科を受診して検査を受けてください。つらい症状を抑えるため、また怖いほかの病気を発見するため、早期発見、早期治療が大切ですよ。

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