頻尿=おしっこの回数が多いことにお悩みの方もいらっしゃると思いますが、頻尿には一応基準がありまして、1日の排尿回数が8回以上だと一応頻尿と呼ぶことになっています。
ただし、例えばお茶やコーヒーが好きでよく飲むという場合や、ちょっと冷えてしまった場合にも排尿回数は増えますので、おしっこの回数が増えたからといっても必ずしも病的なものとは言えません。
頻尿は男女差はほとんどなく、年齢を重ねるとともに増えていくという傾向にあります。原因には様々なものが考えられます。尿道への細菌感染や炎症、膀胱の活動が必要以上に活発になってしまう過活動膀胱、前立腺の肥大、膀胱炎、精神的なものなど。
その中でも、女性の頻尿の原因として多く、また警戒すべきなのが膀胱炎が原因となる頻尿です。
膀胱炎は尿道から細菌が侵入し、それが膀胱まで達して感染症を起こしたものです。身体の構造の違いから、男性よりも尿道が短い女性のほうが細菌が膀胱まで達しやすいので、どちらかというと女性に発生することが多い病気です。
ただし、慢性の場合は細菌感染が原因ではない非細菌性の膀胱炎も存在します。
膀胱炎の症状としては
などが挙げられます。
上記の症状は程度によって差が出てきますので、あまり強く症状が出ていないときは、なんとなくおしっこが近いというだけで見過ごしてしまうことがあります。
もし膀胱炎になったまま適切な治療を行わずに放置してしまうと、それが慢性化したり、あるいは感染が腎臓まで登って腎盂腎炎という病気を引き起こすことにもつながるので早期発見が大切です。
膀胱炎を防ぐには、尿道付近を清潔に保つことが必要ですが、しかし完全に無菌状態に保つということは不可能です。
それよりも、仮に細菌が侵入したとしても感染に至らないように、或いは感染したとしても症状が出るまでに至らないように免疫力を高めておくことのほうが重要です。
免疫力は、
などが原因で低下します。これらのうち、加齢による低下はある程度は仕方ありません。しかし、逆に加齢以外の原因を取り除けば、加齢による低下もある程度までは防ぐこともできます。
なんといっても大切なのは、疲れがあっても上手にそれを解消してあげることです。バランスのよい食事と十分な睡眠は体を疲労から回復させるとともに免疫力を保つ力ともなります。
ゆっくりお風呂に入って全身の血行をよくすることも免疫力を高めることにつながります。
ストレスによる精神の緊張は体の緊張も呼びます。ストレスを感じたら、自分の趣味に没頭したり体を思いっきり動かしてみましょう。
体全体の免疫力を高めることは、膀胱炎に限らず風邪やその他の感染症を予防するという意味でも大切です。
上記の膀胱炎の症状に当てはまるようなことが自分の体に起きているのであれば、まず泌尿器科などに行ってチェックしてもらいましょう。そこで膀胱炎であることが分かれば、抗菌薬が処方されます。
膀胱炎になったときに頻尿になるのは、細菌を外に流そうとする体の反応です。ですから、排尿時に痛みがあるときも水分は控えず、積極的に水分を摂ることで細菌を出す働きを高めてあげるほうがいいと思います。
カフェインには利尿作用があるので、お茶やコーヒーなどカフェインを含む飲料を飲むのも有効です。最近は変にカフェインに警戒する人がいますが、カフェインは別に毒物ではありませんので摂取しすぎなければ害にはなりません。
中国医学では膀胱炎は「淋症」の範疇に入ります(性病の淋病ではありません)。
淋症の原因としては「湿熱下注」が考えられます。
湿熱というのは、湿邪=体内に留まっている不要な水分に熱が結びついたものです。湿邪は体の水分代謝能力が低下しているときに起こります。
体内の水分は、「脾」の働きによって腸から吸収、肺に運ばれ「肺」の働きで全身に巡らされ、「腎」の働きによってそれらがコントロールされるとともに、不要な水分が尿として捨てられます。
よって、脾・肺・腎いずれかの働きが悪くなると体内に余計な水分が留まってしまいます。そこに熱が結びついた状態で体のどこかに運ばれると、その場所で悪さをします。
湿邪が膀胱に下がって膀胱炎の様々な症状を起こすのが「湿熱下注」或いは「膀胱湿熱」という状態です。
下腹部に湿熱が下がってくると、熱の作用によって膀胱を無駄に働かせ、湿邪が不要な水分は捨てて必要な水分を体に戻すという腎臓の働きを阻害します。
この状態を解消するには、脾・肺・腎の働きが悪くなっている部分を改善し、それとともに必要な水分と不要な水分を分けるという体の機能を高める治療を行います。
急性膀胱炎は大抵の場合西洋医学の抗菌薬による治療で治るものですが、それでもなかなか治らないしつこいものや、慢性化してしまったものについては鍼灸や漢方薬の治療も有効になります。
膀胱炎になって病院に行ったけれどどうも効果が出ない、或いは妊娠中だとか他の病気の治療中といったような事情で抗菌薬の類を飲めないというときもあると思います。しかし、それで治療をあきらめたり我慢したりする必要はありません。
中国医学での見方を加えてあるのは、中国医学の治療でも膀胱炎に対応できると知ってほしかったからです。西洋医学的な治療で効果がなかった場合は、まず近所に鍼灸院か漢方専門の薬局を探して相談してみてはいかがでしょうか?