年齢とともにトイレが近くなるのはよくあることです。ただそれって年齢のせいだけなの
でしょうか。一般に起きている間に8回以上、睡眠中に2回以上トイレに行くのは頻尿です。頻尿それ自体は病気とは言えません。けれど体の隠れた状態を教えてくれている症状の1つなのです。
でもトイレが近いだけで量も普通にあるし、排尿しにくいわけでもないから病気じゃないし、なんて思っていませんか。実は頻尿って、いろいろな原因があって起きています。その原因をなくしていけば、改善される場合も多々あるのです。その原因と対処法を見ていきましょうか。
単純明快に、体が冷えている人はトイレが近くなります。体が冷えるということは汗をかかないということでもあります。寒がりで汗っかきって矛盾してますよね。汗で体内の余分な水分を排出できないので、結果尿の量が増えて頻尿になるわけです。冷えは血の循環が弱いことから起こりますが、これは実は筋肉の量に関係しています。
若い頃はスポーツ大好きだったものの、年齢とともに運動の機会も減ってしまいがちです。それでなくても女性は男性より筋肉が少ないため、もともと基本は冷えやすい体なの
です。できれば適度な運動で適度な筋肉をつけましょう。軽いストレッチで体をほぐすだけでも違ってきます。
熱すぎないお風呂にゆっくりつかって体を温めましょう。じんわり温まるのが大事です。寝る時には足の裏を暖かくして眠ると効果的ですよ。ただし靴下のような指先まですっぽりしたものはかえってしんどくなります。レッグウォーマーを上手く活用してください。
熱いコーヒーや熱いお茶で、ほっと一服するのは大事な時間ですね。でもコーヒーや紅茶や緑茶には利尿作用があるのです。反応の良い人ならば飲んだ後はトイレの回数がぐっと増えます。昼間ならさして苦になることもないかもしれませんが、夜中に何回もトイレに起きるとなると問題です。
コーヒー紅茶緑茶は飲まないけど、美容と健康のために水をたくさん飲んでいるという貴女。水分を取れば当然余分なものは排出されます。汗をかかなければそれは尿になるしかありません。嗜好品はまったく飲まない、水分は極力取らないというのではなく、バランスよく楽しみましょう。
気をつけたいのは喉が渇いて仕方がない場合です。これは腎機能が弱っている可能性があるからです。もしも夜中でも喉の渇きで目が覚めたり、尿の量がとった水分より多いような状態ならば、糖尿病も考えられます。すぐに病院で検査してもらうべきです。泌尿器科に行かなくても、内科でも婦人科でも尿検査すればすぐにわかります。
聞き慣れない人の方が多いでしょうね。その名の通り、膀胱が過敏になって尿意にすぐ反応してしまうという症状です。命にかかわるような病気ではありませんが、頻尿以外にも急に尿意を感じてしまったり、トイレに間に合わず漏らしてしまうような場合もあります。つまり生活の質の問題になります。
病気ですから泌尿器科を受診するのが前提ですが、薬物治療・膀胱訓練・骨盤底筋体操の3つの治療法が主軸です。お薬については自分ではどうにもできませんが、膀胱訓練や骨盤底筋体操は今からでもできます。簡単に説明してみましょう。
要するに尿意を我慢することで膀胱の容量を増やす訓練です。トイレに行きたくなったらまず5分我慢できるようにします。もちろん我慢できなければトイレに行ってくださいね。5分我慢できるようになって1ヶ月ほどしたら、次は10分我慢してみましょう。そうして様子を見ながら5分ずつ時間を延ばして、トイレの間隔が2時間以上になるのが目標です。
骨盤底筋は子宮や膀胱を支えている筋肉です。出産や肥満や加齢によって力が弱まってしまいやすいのです。難しい体操ではありませんから、今からでも試してみてください。
寝転んでやっても椅子にかけてやっても立ってやっても大丈夫。できるだけ毎日続けて習慣にしてしまいましょう。
頻尿の原因で膀胱炎はかなり多いのです。女性は男性より尿道が短いうえに、トイレに立つのを我慢しがちでもあります。何度トイレに行っても残尿感があって、結果何度でも行ってしまうようなら、迷わず病院を受診しましょう。泌尿器科ではなく内科や婦人科でも尿検査ですぐにわかります。
膀胱炎ならば抗生剤の服用で簡単に治る場合が多いのですが、尿路結石や膀胱腫瘍のような病気が隠れている場合もあります。排尿時に痛みや不快感があったり、残尿感があるなどの自覚症状があるならば、すぐに病院へ行くべきです。早期発見ほど治療効果があがるのはどんな病気でも同じです。
子宮や卵巣に何らかの異常があった場合、膀胱が圧迫されて頻尿になることがあります。おりものの異常や不正出血で気付く場合がほとんどですが、頻尿もそのサインになります。代表的なものは子宮筋腫や子宮脱、卵巣腫瘍などですが、重大な病気が隠れている可能性もあります。
子宮や卵巣の異常はなかなか気付かないこともよくあります。忙しい毎日で単なる疲れやストレスだと思ってしまいがちなのですね。けれどその疲れやストレスが影響を与えやすいのが子宮であり卵巣です。女性ならではのしんどさは同じ状態の人でなければわかりません。きちんと調べてもらうのが一番の解決法です。
膀胱や子宮・卵巣といった、いかにも頻尿に繋がりそうな臓器だけが頻尿の原因とは限りません。例えば心臓が弱ると頻尿になるのはご存知でしょうか。脳や脊髄に病変があって頻尿になることもありますよ。もちろん頻尿だけが現れる症状ではありません。けれど症状の1つではあるのです。
緊張するとトイレが近くなることは誰にでもあることですが、1時間に何回もとなるとやっかいですね。これは神経性頻尿または心因性頻尿になります。一時的なものであればまず回数を気にしないことです。ただそれが習慣化してしまっているなら、やはり医師に相談が必要になります。この場合は漢方薬もいいかもしれません。
頻尿は病気であるとは言いきれません。病的な頻尿もあれば、水分の取りすぎにすぎない場合もあります。けれど外出を控えたり映画館に行けないなど、生活上制限が必要ならば改善すべきではないでしょうか。まずはできることから試してみましょう。他に目立った異常がなければ心配し過ぎる必要はありません。
ただし、
これらの状態に当てはまるのであれば、やはりきちん医師に相談してみることをおすすめします。たかが頻尿ですがされど頻尿でもあります。いい機会だと思って検査を受けてみれば、思わぬ助けになるかもしれません。