関係が上手くいっている夫婦と上手くいっていない夫婦では、どのような違いがあるのでしょうか。「愛情の深さに差がある」、「夫婦の間でお金の問題がある」と、世間では様々な理由が伝えられていますし、確かにそれぞれ関係を長続きさせるためには必要な要素です。
ですが、夫婦関係を満足できるものにし、長続きさせるために本当に大切なことというのは、実は心理学の立場から言えばたった3つしかありません。本記事では、その3つについてご紹介し、夫婦関係をうまくいかせるためにはどうすればよいのかをご紹介します。
夫婦の関係を長続きさせ、幸せな生活を送るために最も大切なことの1つは、「お互いに相手を助け合う気持ちを持つこと」だとされています。ここで注意すべきことは相手を助けるだけでも関係は長続きしませんし、相手に助けてもらうだけでも関係は長続きしないということです。
まずは、「相手を助けること」についてみていきましょう。夫婦関係に限らず、仲の良い親密な夫婦関係では、お互いに相手を助け合う行動が頻繁に見られます。しかも、彼らは自分から望んで相手の仕事や作業を手伝う姿勢を見せることが知られています。
重要なことは、「自分から」相手を助ける姿勢を見せることです。嫌々やっている姿勢を見せたり、あるいは義務としてやっているように見せると、パートナーからの愛情はむしろ低下してしまうことが分かっています。頼まれたから助けたのだとしても、嫌々やっているような姿は見せないようにしましょう。
一方で、夫婦関係は自分が相手を助けてばかりでもうまくいきません。関係の長続きしていない恋愛関係や、2人の関係に満足していないカップル、夫婦ほど、どちらか一方だけが相手を助ける傾向があるからです。ですが、相手に自分を助けてもらうためにはどうすればよいのでしょうか。
「助け合うことが大事と言っても、相手が助けてくれないんだから仕方ない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、そういった方たちは気を付けるべきことがあります。それは「相手が自分を助けてくれる」という自信を持つという事です。
助け合いが少ないカップルや夫婦ほど、「相手は自分が困っていたら絶対に助けてくれる」という信頼をしていない傾向があります。こうした信頼を築けていないと、「どうせ相手は助けてくれないから」と言って、相手を頼らなくなっていくのです。
このように、相手に対して自分が困っても頼らなくなるので、相手から助けてもらうことは自然と減っていきます。つまり、相手から援助を引き出す秘訣は「相手を信頼する」ことだと言えます。ちなみに、相手に助けてもらったのに自分は何もしなければ援助は少なくなっていくので注意が必要です。
そして、夫婦関係を長続きさせるために重要な二番目の要素は「男女の役割にしばられない」ということです。日本では、「育児は奥さんが、外の仕事は旦那さんが」といったように、男女の役割がある程度決められており、いまだにそうした男女の役割が根付いています。
ですが、心理学の研究では、こうした男女の役割に縛られた夫婦は関係が上手くいき難くなることが知られています。一方で、男女の役割に縛られない夫婦は、2人の関係に満足し、関係が長続きしやすくなるとされています。これはなぜでしょうか。
これまでの研究から、人間はそれぞれの役割を始めから決めてしまうと、相手の仕事を手伝わなくなるだけでなく、相手が仕事をしなかったときに相手を責めるような行動まで見られるようになることが分かっています。「なんで今日は料理を作らないんだ!」と男性が怒ってしまうのは、このためです。
特に、「育児は女性がするもの」という意識は現在でも根強く残っています。こうした意識を破壊し、男性からも手助けしてもらうために、子どもが生まれたら積極的に男性にもおしめを変えてもらったり、寝かしつけてもらうようにしましょう。自然と育児は女性の役割という意識は減っていくはずです。
最後に、夫婦にとって最も重要なことは「お互いにしっかりコミュニケーションをとる」ということです。例えば、日常生活の中での他愛のない会話から、2人の間に問題が起きた時、夜の営みに至るまで、夫婦のコミュニケーションは関係の長続きにとても重要な役割を果たします。
たとえば、「お昼に食べたランチが美味しかった」、「子どもが塾に通いたいと言っていた」といったように、ほんの他愛のないことでも構いません。仲の良い夫婦では、このように他愛のないコミュニケーションがたくさんみられます。
また、こうしたコミュニケーションが極端に減ってしまうのが、2人の間に問題が起きた時です。「お金に余裕がなくなった時」、「会社で大きな失敗をしてしまった時」のように、問題が起きた時こそコミュニケーションが大事になるのですが、むしろこうした状況では会話が無くなってしまうのです。
2人の間に問題が起こった時、相手に対して無視をするような夫婦や、相手に対して怒りだすような夫婦では、関係が上手くいきにくいことが知られています。2人の間に問題が起きた時こそ、その問題の原因は何だったか、相手は問題に対して何を考えているのかを話し合う必要があります。
そして、コミュニケ―ションと言うと、軽く見られてしまいがちなのが夜の営みなどを含んだ「相手に触る」というコミュニケーションです。仲の良い夫婦では、こうした相手に触るコミュニケーションが良くみられます。ですが、この「相手に触る」というコミュニケーションは意外とあまり注意されません。
もちろん、いくら相手に触ることが大事とは言っても、女性にとっては相手との肉体関係を持ちたくない気分の時もあるでしょう。女性は男性と違いホルモンバランスが崩れやすくなったり、子どもが生まれることで性的な関心が薄れやすくなってしまうこともあるからです。
そうした方には、日常生活で旦那さんに触れながらコミュニケーションをすることをお勧めします。例えば、2人で出かける時に手を繋いだり、腕を組んだりするというのも悪くありません。こうした日々の細かい接触が2人の関係を維持させてくれます。
これまでの事を改めてまとめると、夫婦にとって最も重要なことは「お互いに助け合う気持ちを持つこと」「男女の役割意識を捨てること」「コミュニケーションを積極的にとること」です。特に、最後のコミュニケーションをとることは、他の2つの問題を考える上でも重要です。
コミュニケーションを普段からとっていないと、助け合いの気持ちも起こりにくいうえ、男女の仕事という思い込みを解消することもできないからです。まずは、ほんの些細なことで構いませんので旦那さんとお話してみることをお勧めします。