子供がいじめに遭ったら?親がとるべき対処と深めるべき信頼関係

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子供がいじめられているとわかったとき、動揺しないでいられる親などいませんよね。しかし、対処の仕方によっては、いじめが無事収束したとしても、子供は親への信頼をそこねてしまうかもしれません。

今回は、子供がいじめられたとき、子供の信頼をそこねないために親がとるべき対処法を、子供と話し合うべきいじめの構造とともに考えてみたいと思います。

1.とにもかくにもまずは受け止める

自分の子供がいじめられているとわかったとき、どうしても、「誰が悪いのか」という悪者探しをしてしまいがちです。なぜ悪者探しをするのか、それは、子供がいじめられているという事実を親が受け止められないからです。

いじめというものは、いじめた方が悪いということが大前提ではあるのですが、一方で、いじめっ子、いじめられっ子がいじめ独特の構図にはまりこんで起こるともいえるのです。

被害者も加害者も、なぜいじめが始まるのかよくわからないままいじめが始まるということがあります。なので、悪者探しを始める前に、まずは子供の話を冷静にきちんと聞くことが大切です。

2.子供が悪いとみなすパターン

子供の話を受け止めきらない親が悪者とみなす相手はたいてい、どちらかになるわけです。すなわち、自分の子か、いじめた子か。子供がいじめられていると申し出たとして、親のとるパターンのひとつが「自分の子供が悪い」とみなすことです。

このパターンの親が、子供に投げかける言葉の代表例は以下の通りです。

「お前が悪い」「考え過ぎだ」「そんなことはたいしたことではない」などなど。

実際に、子供の方が悪かったり、考えすぎたりするということもあるかもしれません。しかし、もし子供がいじめられていると訴えてきたなら、親に勇気を出してわざわざ訴えた気持ちを受け止めることが大切です。

でないと、事情をきちんと聞かれることなく、自分が悪いとしてあしらわれた子は、もっと深刻なことが起こったとしても再び親に相談することはしなくなるからです。

もし、自分の子供になにか起こった時、つい「お前が悪い」とか「考え過ぎだ」とあしらってしまいがちなら、子供がいじめられていると訴えてきたときだけでも、とことん話を聞いてあげて下さい。

とことん話を聞いてもそれでも、自分の子供が悪いとか考え過ぎていると思えるのなら、叱ることはせず、子供が納得するように話してあげましょう。

3.相手が悪いとみなすパターン

子供がいじめられていると判明した時点で、すぐにカっとなって学校に乗りこんだり、相手の親に直談判してしまいそうだという人も、まずは冷静になりたいところです。

子供にとって、親に行動力があるということは頼もしい限りですが、いじめにおいて親の行動力はもろ刃の剣ともなりうることを理解しておきましょう。子供は、おおげさにしてほしくないと望んでいるかもしれません。とはいえ、いじめの深刻さによっては、子供の望みを無視してでも親が動くべき時はあります。

しかし、もし自分が子供の話を聞くことなくカっとしてしまうだろうと思い当たるフシがあるのなら、これまた、まずは子供の話を聞いてみてください。もしかしたら、子供同士で解決できることかもしれません。それもまた話を聞いてみないとわからないのですから。

4.親子で考え方をすり合わせる

子供がいじめられているということが判明したとき、親と子ですり合わせるべき考え方があります。

それは、「学校に行く子が親にとっていい子だというわけではなく、学校に行かないとしても子供が幸せに生きていることが親にとってなによりもすばらしいことなのだ」ということです。そこをふまえてから、子供といっしょにいじめの構図について考えてみましょう。

5.いじめの発生条件

いじめが発生するのには、いくつか条件があります。

  • 閉鎖的空間であること
  • 複数のメンバーがいること
  • メンバーが同質(正確には、同質であることが期待されている。実際に同質であるかは別。)であること

つまり、人の行き来が少なく、外への窓口のない閉鎖的空間に、「みんな同じであること」を複数のメンバーすべてが期待される状態にあるという条件がそろっているとき、「いじめっ子」にストレスがかかることを発端としていじめが始まります。

6.「異質」を検討する

子供と、異質ということについて検討してみるのもいいでしょう。注意したいのは、他の子供から、異質なところがあるゆえにいじめられると、いじめられた子供はその異質性を呪われたものをみなし排除しようとするかもしれないことです。

しかし、その子にとってはその異質性こそが個性です。子供に、「ちがうからいじめられたとしても、ちがうことが悪いことではない」ということを真摯に伝えましょう。

でないと、いじめられて、異質性がだめだと学び、いじめられないために異質性を封じ込めて学校生活をやりすごすようになった子供は、他の子供に異質性を見出すと、攻撃性を発揮する可能性があるからです。

「自分は必死におさえている異質性をこいつは堂々と発揮している。気に食わない」。

いじめの加害者と被害者は交互に入れ替わるといわれている原因もこのへんにあるのではないでしょうか。

なので、学校生活は、自分や周りの子の個性を大切にすることと、周りと協調することのバランスを学ぶ場であることを子供と話しあうようにします。

7.いじめっ子の手法:恥を利用する

いじめっ子は、「恥」という概念をうまく使いこなしています。いじめっ子は「こいつは、『いじめられている自分』が恥ずかしくて、誰にも相談できないだろう」という子を察知する嗅覚に優れています。

ですので、親としては、いじめられて恥ずかしいという気持ちがあることがいじめの原因になっているということを子供に気付かせるのもよいかもしれません。すなわち、いじめられるということは、自尊心を破壊されるゲームにつきあわされているにすぎないということです。

いじめられたから負けというよりも、むしろ、恥ずかしいという気持ちを利用され自尊心を傷つけられていることが、そのゲームにおいては負けであるということです。

いじめをきっかけに絆を深める

子供がいじめられたとき、子供の信頼をそこねないために親がとるべき対処法を、子供と話し合うべきいじめの構造とともに考えてみました。

いじめとは、親子の意志疎通の度合いを試してくるものなのかもしれません。いじめを理由として親に迷惑をかけたくないと死んでいく子供に、迷惑をかけてもいいから生きてほしいという親の気持ちは伝わっていません。

子供がいじめられることは、親としては悲しくて情けない思いで心がはりさけそうになりますが、いじめをきっかけに、子供の親への思い、親の子供への思いを伝え合って、意志疎通をはかり、信頼を深めることとなればと思います。

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