少し動いただけで息切れや動悸がする…部屋でじっとしているのに汗が止まらない…まさか、更年期障害?それとも疲れているのか…。そんなお悩みはありませんか?実はその症状は、甲状腺ホルモンが関係しているかもしれません。
甲状腺ホルモンは新陳代謝を促してくれるとても重要なホルモン。のど仏の両側にある甲状腺という内分泌器官で作られます。もしこのホルモンが分泌されなくなったとしたら1~2ヵ月ほどしか生きられないと言われているほど、必要不可欠なホルモンなんです。
しかし、甲状腺ホルモンがたくさん分泌されればいいのかといえば、それは間違い。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても、身体に支障をきたしてしまうのです。そして、甲状腺の疾患は1:9の割合で女性に多い病気だと言われています。
更年期障害や疲れと似た症状が多いため、病気に気づきにくく、原因がわからないまま苦しんでいる人も多い甲状腺の疾患。ホルモンが多すぎる場合、少なすぎる場合、そのほかの疾患に分けて、その症状をご紹介します。
まずは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう「機能亢進症」。有名なものではバセドウ病が挙げられます。アドレナリンが過剰に分泌された時と似た症状が多く見られます。
例えるなら、身体が常に全力疾走しているような状態になってしまうのです。時には、吐き気や嘔吐、下痢、手の震えなどが伴うこともあります。これらの症状は「疲れているだけ」と流してしまいがちですが、長く続くようであれば、甲状腺機能亢進症を疑うべきかもしれません。
逆に、甲状腺ホルモンの分泌量が減ってしまう「機能低下症」もあります。橋本病が最も有名な病気です。機能低下症は、機能亢進症よりも気づきにくい疾患だと言えます。
特に軽症の場合は気づきにくいのですが、うつ病などを発症したり、生理不順になったり、妊娠しにくくなったりすることもあるため、少しのサインでも見逃さないことが重要です。
機能亢進症と機能低下症の2つが主な甲状腺疾患ですが、甲状腺が傷ついて一時的に機能亢進症や機能低下症を発症する無痛性甲状腺炎など、ほかにも様々な疾患があります。
珍しいものでは、甲状腺ホルモンは正常に分泌されているのに上手く機能しなくなる「甲状腺ホルモン不応症」という病気もあります。この病気は、4万人に1人ほどの割合で発症するそうです。
甲状腺疾患の主な症状についてご紹介しましたが、お悩みの症状と一致するものはありましたか?甲状腺ホルモンの異常は血液検査で調べられますが、通常の血液検査では甲状腺ホルモンまで検査しないことがほとんどです。
もし何か気になる症状があるようであれば、一度内分泌科を受診し、検査をしてみることをおススメします。今まで悩んでいた症状も、原因が判明して正しい治療を行えば、改善されるかもしれません。
というのも、症状は出ていなくても甲状腺疾患を引き起こす要素が潜在している場合もあるからです。たとえば機能低下症を防ぐため、ヨードを多く含む昆布などの食品を摂取しすぎないようにするなどの対策で事前に防止できる場合もあります。
甲状腺疾患は、30~40人に1人と意外によくある病気です。薬で治療できることも多く、原因がはっきりするだけでも気持ちが楽になるものです。気になることがあれば、早めに病院へ行きましょう。