結婚し子供を持ち、さらに仕事を持っている女性は毎日てんやわんやです。一日働くだけでも疲れるのに、そのうえ家事に育児に、とこなさなければならないのですから時間はいくらあっても足りませんよね。
しかし、時間が足りないとぼやいたところで、時間は増えるものではありません。「もっと時間があればなあ…」。この言葉と似たようなこと日頃からつぶやいていませんか。そう、「もっとお金があればなあ」。
実は時間管理と家計管理は似ています。さらに言うとダイエットも同じです。時間とお金とダイエットには共通の性質があります。今回は、時間管理について、貯金やダイエットの考え方との共通点をふまえながら見ていきたいと思います。
ダイエットをしているときに、ダイエットに悩んでなさそうな人からこう言われることはありませんか。「食べるから太るんでしょ」。ミもフタもない言葉ですが、確かにそれは真理なのです。
一日のうちで、食べて摂取したカロリーより、運動するなどして消費したカロリーが上回るとやせます。太っているのは、消費カロリー以上に食べているということはまず間違いありません。貯金にも同じ考え方があてはまります。試しに図式化してみましょう。
摂取カロリー>消費カロリー→太る
摂取カロリー<消費カロリー→やせる
【貯金】
収入>支出→貯金
収入<支出→赤字
では、時間はどうなるでしょうか。
todoの量<実際こなした仕事量→時間の余裕
つまり、時間がないということは、やるべきことが自分の仕事処理能力をオーバーしているからです。ダイエットなら以下のどちらか、もしくは両方をやらなければ、ぜったいに痩せません。
貯金もまたどちらか、もしくは両方をやらなければ、お金は貯まりません。
では、時間管理はというと、これもまた、どちらか、もしくは両方に手をつけなくては、時間に余裕ができる日は到来しません。
>
前述のとおり、時間に余裕がほしいなら、仕事の処理能力を上げるか、todoを減らすしかありません。しかし、人というものは、どちらかを迫られたとき、todoを減らそうとは考えず、仕事の処理能力を上げる方を選択しようとします。
しかし、迫っているtodoを目前にして、自分の処理能力は即座に上がるものでしょうか。貯金やダイエットの話をします。「年間100万円貯めよう!」「今年10キロ痩せる!」などと、人は妄想に近い目標をたてるものです。
なぜならそのときは意志の力でなんとかなると思い込んでいるからです。しかし、今目標を立てている自分と、明日、心躍るバッグを見つけた自分、もしくは、明日おいしそうなからあげをスーパーで見かけた自分は、ある意味別人です。
バッグを見つけ、からあげを見かけた人は次に何を思うか。だいたいはこうです。「明日頑張ればいいか」。さらにその翌日の自分もまたある意味別人です。つまり、翌日の自分もまた「明日頑張ればいいか」と考えることでしょう。
スーパーでからあげを買おうとしている人に、圧倒的なイケメンが声をかけて自分を顧みざるをえなくなるという奇跡でもなければ、昨日決めた目標へのモチベーションを奮起させることはできません。
ことお金やダイエットや時間については「慣性の法則」が大きくはたらきます。つまりは習慣です。ふだんやり慣れないことを、意志の力だけでひっくりかえすことは、よほどのモチベーションでない限り、至難のワザなのです。
なぜなら、だいたい人は10キロやせると決意したときのスタート地点にいる自分と、10キロ痩せた状態の自分がどういう風につながっているのかというところまで具体的に考えようとはしないからです。
スタート地点では、「とにかく今決めたんだから毎日食事制限すればなんとかなるっしょ」的にざっくりと決意しています。しかし、実際、明日になれば、からあげを食おうとしている自分がいるのです。
つまりスタート地点の自分とゴール地点の自分がまったくつながっていないのです。時間管理についても、「仕事の処理能力を上げる」と「気合を入れればなんとかなる」を同義だと思っていませんか。
ダイエットや貯金がうまくいかないのは単純な理由です。やせないのは、食べ過ぎてるからです。お金が貯まらないのはつかいすぎているからです。時間管理についても、「todoが多すぎる」という単純な理由があります。
自分のことを気合があればなんでもできるスーパーマンだと思っていませんか。過信があるかぎりは、ずっと「時間がない」とぼやくことになります。
ダイエットは意志が強い人が成功させることができる、お金も意志の強い人が貯めることができると思っているかもしれませんが、お金が貯まる人、痩せている人は意志というよりは習慣によりそうなっています。
痩せている人は、痩せる生活習慣をもっているし、貯金出来る人は貯金するような習慣を持っています。監獄ダイエットなどと笑えない言葉がありますが、自分を太らせているのはまぎれもなく自分であることの証明でもあります。
やせたいと願いつつも、揚げ物を食べる自分。夜中にラーメンをすする自分。口寂しくておやつをつまむ自分。お金が貯まらなくさせているのも自分です。仕事帰りにコンビニで必要のないものを買う自分。
我慢できずに高額な買い物をする自分…。ということは、時間管理も同様のからくりがあるはずです。
ここまでで以下のことがわかりました。
これでは、いつまでたっても時間はないままです。ここで、ダイエットと貯金の考えを応用します。ダイエットと貯金の成功のカギを担う共通項に「記録をつけること」があります。
ダイエットでいうとレコーディングダイエットが有名ですし、貯金をしたいならまずは家計簿をつけますよね。どちらも記録をつける目的は、「現状を知る」こと。
では、時間について、記録をとることはしていますか。「バタバタしている間にもうこんな時間だった」という経験をしている人、多いのではないでしょうか。
お金に関してならば、「気付いたら給料日前にカツカツになっていた」。ダイエットなら、「体重計に乗ってみたらいつのまにか3キロ太っていた」などなど。行動しているのは自分自身なのに、なぜか自分が何をしているのか無自覚だったりしますよね。
家計簿の目的のひとつは、上限の把握です。自分の自由になるお金はこれだけであるということを知るのです。レコーディングダイエットについても、記録を見ることでいかにもこれでは食べすぎだと思い知ることが目的の一つです。
時間管理のためにtodoリストを作ろうということはよく言われていますが、行動の記録をしろということはあまり言われません。レコーディングダイエットでは、ちょっとしたおやつも記録するように、いちど時系列で自分の行動を記録してみましょう。
これからずっと時間簿をつけるのはいかにも大変だと言う人は、3日分でも1日分でもよいでしょう。それだけでも、あきれるほどさまざまな行動をしている事実に驚くと思います。記録を事実として受け入れてはじめて「時間がないのは当然だ」とわかります。
レコーディングダイエットなら、「こんなにちょこまか食べてたら太るのは当然だ」という気づきが起こり、家計簿をつけたのなら、「こんなに無駄遣いしているのなら貯まらなくて当然だ」という気づきが起こります。
消費カロリー以上に食べると太り、収入以上に使えば赤字になるように、多すぎるtodoは時間欠乏を招きます。
記録をとることで、自分の処理能力以上にtodoが存在することをまざまざとみせつけられるわけです。ここで、強烈に時間の有限性を意識できたら記録の効果アリです。
「気づけば時間がない」という人の毎日にはしょちゅう時間泥棒が現れているようです。日常的に出現する時間泥棒は以下の通り。
先ほど、習慣にふれた項目のところで、時間管理にもお金やダイエットと同様のからくりがありそうだと述べました。それは、貯金やダイエットの達成を邪魔しているのは自分であるように、「時間泥棒は、ほかでもない自分自身である」ということです。
仏教にこんな話があります。座禅修行をする僧の前に夜な夜な大蜘蛛が修行を邪魔しにやってきます。僧は蜘蛛に丸印をつけ、蜘蛛が去っていたので安心して修行を続けました。修行が終わって気づけば自分の腹に丸印があったという話です。
修行の邪魔をする大蜘蛛は自分自身だったというわけです。我々は、この修行僧を笑うことはできません。皆同じような事態に陥っているからです。
時間管理で言えば、時間がないとつぶやく自分の邪魔をしているのは自分自身であるという事実にいいかげんむきあわなければなりません。
ここまで見ていると、時間管理も貯金もダイエットも、気合いによる「ミラクル」は起こらないと言えます。すべて成功は習慣による地道な積み重ねからです。地道な積み重ねを支えるポイントは以下のとおりです。
人はどうもtodoの量を小さく見積もり、自分がこなせる実際の仕事量は大きく見積もるようです。それでは時間がなくなるのは当然です。記録をつけると、todoの量も客観的に把握できますが、自分の処理能力も明白になります。過信する余地がなくなるのです。
時間とお金とダイエットは共通しているという観点で時間管理についてのお話を進めました。「まだお金はあるから使っても大丈夫」という過信。「これくらい食べても太らないでしょ」という過信。時間についても、同じようなこと言えますよね。
例えば子どものころの夏休みの宿題。まだ7月だから大丈夫。まだ8月前半だから大丈夫。まだあと3日あるから大丈夫…。さきほど述べたように時間がない状態を作り出しているのは自分自身です。
すべては現実を客観的に認識するところからです。まずは時間簿をつけるところから始めてみませんか。