結婚をしている女性にとって、避けて通ることのできないのが「嫁姑問題」です。とてもいいお姑さんや、お姑さんが早くに他界している場合をのぞけば、大なり小なり嫁と姑の間でのゴタゴタは避けることができません。
さらに、結婚と同時にご主人の両親と同居を始めたとなれば、姑と四六時中一緒ですから、ゴタゴタも増え、大きくなっていくと言うものです。
ここでは、そんな姑との同居を解消し、自由を勝ち取った女性の話を紹介しながら、別居を成功させる5つのポイントを紹介します。
同じ職場で知り合った3才年上の夫と、3年の交際を経て結婚をしました。出産後もある程度したら仕事に出たいと思っていた私に夫は、「保育園の送り迎えも頼めるし、家事も分担してもらえるから、うちの両親と同居はどうだ?」と提案してきました。
何度かお会いした印象では、とても優しい姑だったので、夫の言うことももっともだと思い、大した不安も感じず同居に同意し、第一子を出産し体調が落ち着いてから同居を開始しました。
同居をはじめて1ヶ月ほど経った頃から姑が、夕食時に「もう1品ぐらい欲しかったわね」とか「洗濯物がまだ干しっぱなしよ」とか、チクチクと小言を言うようになりました。それがさらにエスカレートして、「お風呂の浴槽がザラザラしていた」「冷蔵庫に賞味期限切れのものが入っていたとか」と、細々とした粗捜しをされる毎日に。
初めての育児には慣れないことも多く、また専業主婦として一日中姑と顔を突き合せる日々は、ストレス以外の何ものでもありませんでした。もう少し家事や育児を手伝ってくれると思っていたので、「これじゃ、家政婦扱いじゃない!」と、想像とは違う同居生活に不安ばかりが大きくなりました。
同居開始から3年。子供が3年保育に入園すると同時に、仕事にも復帰しました。姑と離れ、外の空気を吸う生活は新鮮で、これが待ち焦がれていた生活だ!と、それまでの憂鬱な気持ちは少し晴れたように感じました。
しかし、接する時間が短くなると、嫌味や小言、監視が激しくなり、だんだんと家に帰るのが嫌になってきました。テレビなどで見ていた、鬼ばばあのような姑、笑顔で嫌がらせをしてくる姑が、まさに自分の家にいたのです。
そんなときに息子の保育園の先生から「息子さんが、 “僕はママのことが大好きなんだけれど、おばあちゃんの前ではママのこと嫌いって言わないといけないの” って言っているんですけど、何か心当たりありますか?」言われたのです。
これが決定打となり、その日の夜に夫に別居をしたいと切り出しました。
子供はよく見ています。お母さんとおばあちゃんの仲が悪いことに気を病んでいたりするものです。そして、家の中でビクビクとして過ごすようになり、大人の顔色を伺って過ごすようになってしまいます。子供の口数が減っていないか? 笑顔が減っていないか? 気をつけて見ていますか?
子供が発したSOSの言葉は、夫を説得するときにも、そして姑・舅を納得させるときにも有効的です。
夫に別居の話を切り出したものの、夫はなかなか真剣に話を聞いてくれませんでした。それでも、私は絶対に別居をすると決めていたので、一人で別居に向けて動き出しました。
まずは、仕事の帰りに不動産屋に立ち寄り、親子3人で暮らせそうなスペースで、最悪の場合は私の稼ぎだけでもなんとか暮らしていけそうな物件を探して回りました。夫の実家と完全に縁を切るほどにこじらせたくはありませんでしたから、実家からは適度な距離があり、子供の保育園への送り迎えの便利なところで3軒ほど候補の物件を見つけました。
家賃は払えるのか? 今ある荷物は入るのか? 新たしく必要になる家電製品は? 子供の学校からの距離は? など、別居のための家探しは思いのほか大変です。急いで引っ越して、納得のいかない家に住むのも苦痛です。家探しは時間をかけてゆっくりと行いましょう。
“家を探している”、という行動が、自分は別居に向けて進んでいるんだ! 前に踏み出したんだ! と、あなたに勇気をくれます。
初めて別居を切り出してから1ヶ月。私の決心は固まり、あとは夫が私たちについてくるか、実家に残るのかを確認するだけとなっていました。別居の話も、何度かしましたが、できれば後回しにしよう、先延ばしにしようという態度の夫に、ついに私は最後通達を出しました。
「私はあなたを置いてでも出て行く覚悟です。子供と2人なら、この物件、あなたも一緒ならこの物件を契約します。」
この一言で夫も、もう先延ばしには出来ないと観念したようで、「僕も一緒に行くから、広い方の物件に決めてくれ」と言ってくれました。
男性というのは、自分の母親に対して、なかなか強く出られないところがあります。また、女性同士のトラブルを過小評価するところもあります。ですから、別居しか道がないと覚悟を決めたのならば、この決心は変わることがないと示すためにも、毅然とした態度で重要なことは伝えましょう。
経済的な負担、子供への影響を考えると、ご主人と一緒に家を出るのが最善の選択です。ですから、ご主人を追い詰めすぎず、しかし決断はしっかりと下させる方向にうまく持っていきましょう。
なんとなくごまかしているうちに、妻が折れるのでは? 諦めるのでは? と思われないためにも、「いつまでに」といった明確なデッドラインを提示したり、物件を提示することが効果的です。
お互いに嫁・姑の関係がうまく言っていないことは理解していますし、私が姑との生活を苦痛に感じていることも、何度か夫が注意したこともあり知っています。ですから、別居を切り出せば、それは私が言い出したことだと思われて当然の土壌が出来てしまっていました。
どのように伝えるかに頭を悩ませつつ、別居を伝えるのはぎりぎりまで先延ばしにしました。別居の話をぎりぎりまでしなかったのは、別居を伝えた後で一緒に暮らすのは、耐えられないと思ったからです。知り合いからも「別居を先に伝えてしまい、引越しまでの日の嫌味はひどいものだった。目の前にいるのに大声で悪口を言われた」という話を聞いていたので、私の中では、別居を伝えたら、できれば翌日、遅くても2-3日中には家を出る、という計画でした。
ただでさえうまく言っていない関係なのに、別居を伝えた後、気持ちよく過ごせるはずがありません。別居を早めに伝えてしまい、嫌がらせがエスカレートした、妨害しようとされた、などという話もよくあります。別居を伝えるのは、新しい家の契約も済ませ、家電製品なども揃え、引越しの荷物もほぼまとまった段階で伝えましょう。
せめて最後の1ヶ月ぐらい仲良く過ごしてから…などと、甘い考えを持つ人がいますが、それができれば、ここまで関係はこじれていません。これ以上傷口を広げないためにも、ここは割り切って行動することが重要です。
「これ以上一緒に住んでいたら、口もききたくないほどに嫌いになってしまいます。家族として仲良くしていくためには、別居をするしか方法が見当たりませんでした」
これが私から義両親に伝えた言葉です。そして夫は、
「自分の母親と自分の妻がいがみ合う様子を見ていて、俺ももう耐えられない。息子も幼稚園で“僕はママのことが大好きなんだけれど、おばあちゃんの前ではママのこと嫌いって言わないといけないの”と先生に言っているそうだし、以前より笑わなくなったと俺は思っている。これ以上状況を悪化させないために、別居が一番いい選択肢だと思う。」
と、しっかりと、そして有無を言わせない態度で伝えてくれました。
こちらがどれだけ事前にシュミレーションをして、なるべく穏やかに話し合いが進むようにと思っても、相手にとってはいきなり別居を伝えられるのは、かなりショックなことです。ショックで言葉も出ないか、突然切れてしまうか、相手の反応はその時までわかりません。
相手が発狂しても、相手が怒鳴り散らしても、何が起こってもいいように、別居について伝えるときには、できるだけ子供は預けておきましょう。伝える側にとっても、子供に聞こえるのでは?と気を使って話すより、話すことに集中できます。
近くに預けることができる人がいない場合には、市区町村が提供しているサポートサービスなどもあります。事前によく調べて、必要であれば事前に何度か利用をして、子供を慣らしておくことも有効です。
こうしてこの女性は、5年の姑・舅との同居生活を解消し、家族3人水入らずで暮らし始めたわけですが、「こんなにも空気がおいしいなんて」「こんなにも毎日が楽しいなんて」と感じているそうです。保育園の先生からも、「以前よりお話をしてくれるようになりましたよ。お母さんの話をたくさんしてくれます。」と言われたそうで、それを聞いて、この決断は間違ってなかったと痛感したそうです。
いろいろあった姑との同居を解消した後は、本来ならば「顔も見たくない」と感じるでしょうが、ご主人にとっては生みの親であり、お子さんにとっては祖父母です。絶縁するというわけでないならば、別居という大きなものを手に入れたのですから、その後はマメに顔を出したり、子供を預けたり、「距離ができた方がよかった」と、相手にも思わせるような行動を、意図的に取ることも忘れないようにしましょう。
一度同居をした後で別居へと踏み切るのは、とても勇気と労力のいることです。しかし、姑や舅との同居は解消するまでずっと続きます。同居が耐えられないほど辛いと感じているならば、どちらかが心を入れ替えない限りは、別居しか解決策はないのです。少しでもスムースに別居をするために、上記5つのポイントに気をつけながら、一歩を踏み出してみて下さい。