女性の人生において一大イベントである「妊娠」。つわりや腰痛が辛いとはよく聞くけれど、それはどんな感じ?私でも我慢できるのかしら?
個人差はありますが、妊娠にまつわる体調変化とその乗り越え方をご紹介いたします。
病院で妊娠が確認できた頃、まだ体には大きな変化がなく、本当に赤ちゃんいるの?と不思議になるくらいです。しかし妊娠3ヶ月も半ばになると「あれ?」と思うような微妙な変化に気がつきます。これをきっかけに体調がどんどん変化します。
まず、非常に疲れやすくなります。お腹の中では新しい生命がすくすくと育っています。お母さんから栄養をもらって毎日すくすくと大きくなるのです。お母さんはまだ体調変化にそれほど気がついていませんが、既に赤ちゃんからどんどん栄養を奪われています。
もう既に自分一人の体ではないわけですね。赤ちゃんには既に生きる力が宿っており、お母さんから栄養を遠慮することなく吸い取ります。いつも通りの栄養摂取だけでは当然自分の分のエネルギーが不足となり、疲れやすくなってくるのです。
栄養を取るってどうしたらいいの?難しく考える必要はありません。
まれに妊娠初期からつわりが始まってしまう人がいます。この場合は「食べられるものから食べる」。果物なら大丈夫な人、ゼリーやヨーグルトを好む人、野菜ジュースしか飲めない人。つわりも人それぞれなので好みは違いますが何か口にできるものを見つけます。
気持ちが悪くて何も受け付けない、何も食べないという状況を避けるよう、口に入れられるものを少しずつ摂取します。妊娠初期から食事が取れなくなると、出産にたどり着く頃には大幅に体力を落としてしまうので気をつけてください。
妊娠初期のだるさは急激な体の変化についていけていないことが原因です。しっかり栄養を取り体調を整えましょう。つわりは「今だけのこと」と前向きに考えて下さい。落ち込んでも赤ちゃんはどんどん大きくなります。気持ちを切替えることが大切です。
妊娠初期のだるさやつわりの時期を終える頃、お腹も大分大きくなり骨盤や腰に負担がかかってきます。経験したことのないお腹の重さが意外に辛くのしかかります。産後は赤ちゃんを抱っこする生活が始まります。この時期から腰をいたわるよう心がけましょう。
赤ちゃんが大きくなってくると、お腹の中で盛んに動きます。こうなると感じるのが「腰と骨盤上部の痛み」です。赤ちゃんがお母さんの背中の方を向いたりできるようになり、腰と骨盤が接するあたりに負担を感じるようになります。
こうなると、腰に「動く重り」をつけているのと同じ状態になり、そこに自分の動作も重なってくるため、妊娠前に比べ腰周りの筋肉と骨盤を痛めつけるようになるのです。その状態が続いた結果、腰痛が引き起こされます。
重いお腹を支えなければならないので、自力で立つと体のあちこちに負担がかかります。
どんな動きをするにも自分と赤ちゃんの重みがずっしり負担になります、立つとき以外の動きでも、なるべく力を自分の体だけにかけるのではなく他の物につかまることで分散して下さい。普段の何気ない動きで知らず知らずのうちに腰を傷めることを避けましょう。
この時期に軽くウォーキングをしておくと足腰を鍛えられるだけではなく、妊娠中の悩みである体重増加もコントロールできます。
本格的にウォーキングをする必要はありません。いつものスーパーまで車ではなく歩いてみる、駅から自宅までバスに乗らずに歩いてみる、こんな風に普段の生活の中で歩くことを心がければ良いのです。1日15分程度歩けるよう努力してみましょう。
妊娠中期には「胃が痛い」と訴える人が意外と多く見受けられます。これは赤ちゃんがますます大きくなり、胃を圧迫することが原因です。せっかくつわりが終わったのに、胃が圧迫されることで食べると苦しくなったり気持ち悪くなってしまうのです。
では、胃痛で辛い時はどう対処したら良いでしょうか。妊娠初期のつわりと違い、この頃の胃の辛さは圧迫されることから生じます。赤ちゃんが盛んに動く時期ですが、お母さんが上手に体勢を変えることで胃への圧迫感を軽減できます。
次に、妊娠中期の「便秘」の悩みについて考えます。妊娠中期になると赤ちゃんが腸を圧迫してしまい、便秘になることがあります。赤ちゃんが大腸や小腸の一部に体重をかけることで腸がふさがれて便が出にくくなってしまうのです。
便秘になってしまうとお腹が張り、ただでさえ大きいお腹の妊婦さんにはこの上なく辛い状況となってしまいます。たくさん食べて栄養をつけなくてはいけないのに、便秘だと胃腸が苦しくてなかなか食も進みません。
では、便秘をどう解消すればいいでしょう。
それでもやっぱり出ない・・。辛い時はやはり「医師に相談する」のが一番です。妊娠中という大切な体ですので、無理な方法で解決するのは避けましょう。産婦人科の先生に相談すると、妊婦さんでも飲める優しい下剤を処方してくれます。
医師が処方する下剤は非常に安全で効き目のゆるいものです。この下剤が便の水分量を増やして柔らかくし、蠕動運動を促してくれます。赤ちゃんが腸を圧迫しない位置に動いた時、便秘がスッキリするはずです。
妊娠も後期に差し掛かり、出産まであと少しとなってくると、お腹の赤ちゃんはますます大きくなり、その動きも活発になります。今までとは違った変化が出て来るので慌ててしまうこともあると思いますが、落ち着いて乗り切りましょう。
妊娠後期もやはり「腰痛&骨盤痛」とお付き合いすることになります。この頃になると赤ちゃんが下がってくるので、骨盤が割れるように傷んだり腰の後ろ側に何とも言えない鈍痛を感じます。出産まであと少し、痛みを悪化させないよう気をつけることが大切です。
そこでご紹介したいのが「骨盤ベルト」です。今は妊婦さん用に色々な種類が売られています。腰痛は「骨盤の開き」に大きく影響します。赤ちゃんが下がってくると骨盤は押し広げられどんどん広がってしまうのです。
骨盤ベルトで骨盤を締めてあげ、骨盤の広がりを防ぐと痛みが和らぐのです。
妊娠後期は腰痛だけでなく「尿漏れ」にも悩まされます。これも骨盤の開きが大きく影響しています。赤ちゃんの位置が下がり骨盤が広がるとそこにスペースが生まれます。赤ちゃんがどんどん下がるにつれ、そのスペースに膀胱が下がっていきます。
いつもより下に下がってしまった膀胱の周りはいつもより狭くなっています。その状態で尿が貯まるとちょっとした刺激で尿漏れを引き起こすのです。まだ若いのに尿漏れ?とショックを受けますが、やはり骨盤ベルトが有効です。
臨月ともなると、お腹はパンパン、寝るのも辛くなります。体の中では出産の準備がどんどん進み、さらなる体の変化に驚くばかりです。
でもあとちょっとで可愛い赤ちゃんに会えます。妊娠中はこういう変化があると割り切り、元気な赤ちゃんを出産しましょう。
臨月になると痛いくらいに胸が張ります。出産後すぐ母乳が出るよう体の準備が整った証拠です。胸が張るだけでなく乳頭がとても大きくなり色も濃くなります。これは出産に伴うホルモン分泌の影響ですので気にしなくて大丈夫です。産後は自然と元に戻ります。
胸が痛いな、とても張ってきたな、ふとおっぱいを触っていると、乳頭から黄色っぽい汁が出てくることがあります。「え?もう母乳が出るの??」と驚いてしまいますが、これはまだ母乳ではなく、母乳の準備段階で分泌される液体です。
臨月になると腰の痛みは少し和らぎます。大分腰の使い方もわかるようになり上手にかばえるようになるのです。代わりに恥骨と尾骨が痛くなることがあります。いつ産まれてもおかしくない大きさの赤ちゃんが大分下がり、恥骨とお尻の付け根に負担がかかるのです。
次に、臨月を迎えた女性が悩む「睡眠不足」についてお話します。
出産まであと数週間、数日となってくると心身共に緊張状態が続きます。ちょっとお腹が痛いと「陣痛かしら?」胎動を感じないと「赤ちゃん無事かしら?」こんな風に思い悩んでしまうのです。
お腹の赤ちゃんはますます大きくなり、お腹の中に余裕がありません。赤ちゃんがちょっと動けば腹痛を感じるのは当たり前なのです。もちろん動くスペースがない赤ちゃんの胎動は鈍くなります。そう分かっていても気になってしまいますね。
では、臨月の睡眠不足はどう解消したら良いでしょうか。
そして可能な場合はお天気のいい昼間に適度に歩くよう心がけ、しっかりと体を活動させます。夜はしっかりと食事を取り、お風呂では浴槽にお湯をためて浸かるようにします。
こんな些細なことですが、妊娠してから何かと面倒で出来ていなかったりしませんか?まず毎日の生活を規則正しくし、心地よい疲れを感じて眠りにつける努力をしていきましょう。
生活を規則正しく送れるようになると、夜は自然と眠くなってきます。<span class=”b”>眠くなったときはなるべくすぐ床につく</span>ようにして下さい。ちょっとした家事が残っていても、見たいテレビがあっても、今は寝ることを優先させます。
睡眠を取る為には家族の協力を得ることも大切ですね。家事を手伝ってもらったり、上の子の寝かしつけをお願いしたり。人は寝ることで体力を回復します。出産直後はなかなか眠れない日々が続きます。眠れる今こそしっかり睡眠を取り出産に備えることが大切です。
このように妊娠中の体調変化はその時期によっても様々です。これらを乗り越えるために重要なのは「無理をしないこと、悪化させないこと」です。そして「気を落とさないこと」も大切です。これからお母さんになる為には心の健康もとても大切なのです。
10ヶ月という妊娠期間はとても長く感じますが、終わってしまえばあっという間です。ずっと続くものではないのです。可愛い我が子の為に「健康で明るいお母さん」を目指し、できることを少しずつ工夫して下さい。きっと楽しい妊娠生活が送れるはずです。