「断る」はポジティブなこと?!仕事を断る勇気が出るからくり

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ただでさえ、仕事をこなすにも時間がなく残業続きなのに、上司が気軽に頼みごとをしてくるなどのシチュエーションで断れなくて困っていると感じている人も多いことでしょう。しかし、女性の場合、結婚して、子育てをするようになったらさらに時間に追われます。

仕事上だけのつきあいでなく、義家族とのつきあい、ママ友とのつきあい、地区とのつきあいなどなど、断れないシチュエーションも多様化することでしょう。今、断る力を身につけておかないと、もっと窮地に立つことになりかねません。

仕事を断れなくて断る勇気がほしいと思っているのなら、今断ることと向き合ってみて、「断る」ということをポジティブにとらえるよう方向転換してみませんか。

グレーゾーンだからもやもやする

そもそも「断れない」とはどういうことなのしょう。断ることについて、3つの段階があるとします。

  • 1.すべて安請け合いする。
  • 2.ほどほどに受け、ほどほどに断る。
  • 3.すべて断る。

ほとんどの人は、2にいるでしょう。しかし、2の中でも、断ることについて迷ったりする人もいれば、自分のできることできないことを明確に意識し、きっぱり断ることができる人もいます。

仕事を断る勇気がほしい!と思う人は、2の中でも、断ることに迷いのある人だと言えます。

断る基準がはっきりしていないので、断るたびに「これでよかったのだろうか」とクヨクヨしたり、断れなかったら断れなかった出「受けるんじゃなかった」と後悔したりします。

断ることはネガティブなことか?

「断れない」人は「断る」ことをネガティブなことだと考えがちです。しかし、「断る」ことは本当にネガティブなものなのでしょうか。

断ることは自由の証?

昔よりも現代の人の方が、「断る」ということに悩んでいるのかもしれません。例えば仕事での頼みごとを断るよりも、もっと重大な「断る」を発揮しなくてはならない場合もありますよね。

例えば人生のターニングポイントに関わるような「断り」です。代々医者の家系に生まれ、医者になることを期待されていた息子が、医大に行くことを断り、別の大学に進学する。

母親から、母親の夢を託され一緒に頑張ってきた娘が、自分のやりたいことをみつけ母親の夢を追いかけることを断る。本人にとっては、親のレールや世間体にさからうということは大きな決断となることでしょう。

愛情をかけてくれ、育ててくれた恩について罪悪感もあるでしょうから、その場合の「断る」は一大事です。へたをすると、絶縁なんてことになりかねません。

しかし、親のレールや世間体に逆らってまで決断するということは、本人にとってそちらを選択する方が大切だからです。

昔は、生まれた家の家業を継ぎ、親に言われた人と結婚することはあたりまえのことでした。人の一生はほとんど、周りから要請されたことで構成されていたのです。土地を移動することもないし、恋愛結婚がいいか見合いがいいかなどと迷うこともない。

恋愛においても告白された人とつきあうのか、それとも片思いしている相手にもう少し頑張ってアプローチするのかと考えることすらないのです。つまり、「断る」ということに悩むことができる今は「自由」であるということの裏返しなのです。

断ることで出てくるデメリット

人は「なんだか断れないな」と感じてしまい、ずるずると引き受けてしまいそうなときに断る勇気がほしいなと思うわけです。

そんなときは、断った時のデメリット・デメリット、断らないときのメリット・デメリットが混とんとして判断がつかなくなっている状態なのでしょう。ところで、断れないでいるときのデメリット理由は、だいたい以下に分類されるのではないでしょうか。

  • 理由を説明するのが面倒
  • 罪悪感
  • 二度と誘われないかもという恐怖
  • 自分の評価を落とす恐怖
  • 相手を傷つけてしまうかもしれない

「相手を傷つけてしまうかもしれない」という項目以外は、すべて「自分のため」です。我々は「なんだか断れないな」という状況に陥った時、それは「自分カワイサ」のために迷っているのです。

相手を傷つけてしまうかもしれないという理由についても、相手を傷つけてしまうかもしれない「と自分が思っている」だけであり、相手を傷つけたことに対して「自分がいやだなあ」と思っているだけかもしれません。

実際に断ってみたら傷つく風もなく、相手は快く了解してくれるという可能性だってあるわけですから。

相手を傷つけてしまうかもしれない

相手を傷つけてしまうかもしれないから断れないと考える人は、以下のようなシチュエーションで心痛めたことがあるのかもしれません。

A:昨日、クッキー焼いてきたんだ~。食べて!

B:ごめん、甘いもの苦手なんだ。

A:甘いもの苦手って、どうせ私のことが嫌いなんでしょ!

A:まあまあもう一杯。

B:すいません、お酒が弱くて、もうこれ以上は…。

A:なにい?俺の注いだ酒が飲めないと言うのか?!

こういう場面に何度か出くわすと、断ることが怖くなるという気持ちになるのかもしれません。

断ることで傷ついたそぶりを見せる彼らは、実際は「クッキー」だけ、「お酒」だけについて断わられているというのに、まるで自分自身を拒絶されたかのように感じます。彼らの心の中で認知のゆがみが発生してクッキーや酒が以下のように拡大解釈されているのです。
現実:クッキーor酒<自分

心の中:クッキーor酒=自分

断られることで傷ついたそぶりを見せる人は、自分は被害者ということで頭がいっぱいなのです。

甘いものが苦手な人にクッキーを食べさせようとしている自分、お酒が弱い人に無理やり飲ませようとしている自分は「むしろ加害者なのでは?」ということに考えが及ばないのです。

彼らは、被害者として生きることを自分で選択しています。相手の選択をこちらが引き取る必要はまったくありません。ただ、被害者意識の強い人は、当然ですがデリケートです。

こういうタイプの人には、「クッキーだけについて(お酒についてだけ)断っているのであり、あなたのことは大事に思っている。あなたとのおつきあいは続けていきたい」という意志を示して、断る際にも、かならずフォローを入れるようにします。【被害者意識の強いタイプに断るときのポイント】

  • 限定的なことについて断っているだけであることを理解してもらう。
  • つきあいを断つつもりではないことを伝える。

一方で、断られ上手な人も世の中には存在しますよね。断るこちらの気まずい思いをきちんとくみ取り、さっと引いてこちらの負担をへらそうとしてくれる人達です。

例えば先ほどのシチュエーションなら断られ上手の返答は以下のようなものになるでしょう。「あっ!甘いもの苦手なんだ。ごめんね」「じゃ、ウーロン茶でいいかな」。

ことわるは「判断すること」

先ほど、断ると言うことはネガティブなことなのかという疑問を提示しました。

断るの語源を探ると…。

では「断る」とは言葉上、どういう意味を持つのでしょうか。そもそも「断る」という文字の語源は「事割るor言割る」です。「事割る」ですから、ことわるのもともとの意味は「正しいものと正しくないものを分ける」ということ。つまり、「判断する」ということがもともとの「ことわる」の意味なのです(「判断」にも「断」という文字が入っていますね!)。さらに、判断するという「ことわる」から、「理屈に基づいてモノを言う」「事情を説明する」という意味が生まれ、「(事情を説明して)辞退する、拒絶する」という現代の意味が新しく「ことわる」に加わることとなったのです。「断る」ことの元の意味は「判断する」こと!

断り下手は判断下手?

判断するには基準が必要です。とういことは、断ってからクヨクヨする、頼みを受けてから後悔するのは、自分の判断が甘いということにほかなりません。

つまり、「断れない」ことを悩みに持つ人は、判断ベタさんであるということ、「断れる」人は、判断できる人ということです。

断るというと、拒絶するという意味合いばかり受け取ってしまってネガティブに見えますが、断るの「判断する」という要素に目を向けると「断る」とはポジティブなものであることが分かりますよね。「断れない=判断がへた」であることを自覚しよう。

断られてみる

自分が断り下手だと感じているのなら、一度「断られてみる」ことにチャレンジしてみましょう。目的は断られることを「感じてみる」ことです。断れない理由は先ほど以下のように述べました。

  • 自分かわいさ
  • 相手を傷つけることへの配慮

では、自分が断られることになったとき、どうなるのか感じてみましょう。どうしても相手に受け入れてほしいことについて、断られることはさすがにへこむでしょう。

ですので、「断られてもいっか」というレベルのことで、日頃悪いから頼むほどでもないというようなことを頼んでみましょう。最初から「断られてもいいか」というような事項なら、いざ断られても、ダメージは少ないはずです。

「いつも私が幹事で食事会開いてるけどさ、次は幹事たのんでもいいかな」。相手は何と答えるでしょうか。あっさり「いいよ」と言ってくれたらめっけものですが、ここでは相手が断るシチュエーションを考えてみましょう。

「ごめん、今忙しくて手いっぱいなんだ。幹事をするほど余裕がないの。」「いつも幹事をやってもらって悪いなと思ってる。私だと次の食事会がいつになるかわからないからBに頼んでくれない?」。断り方のバリエーションはいろいろあります。

相手の出方をじっくり観察してみましょう。さらに、相手の出方によって、自分がどう感じるかも感じてみます。ああ、そんなうまい断り方があるのか、とか、こんな言われ方はちょっと感じ悪いな、とか。断られることで断ることの勉強をさせてもらえます。

断ることにハードルが高い人は、もしかすると断られることについても必要以上におおごとだと感じているかもしれません。

「気軽に頼んで断られる」ということを繰り返してみて(もしかしたら日頃から頑張っているあなたの人徳で頼みはほとんど受け入れられることもあるかもしれませんが)、断られることを数多く経験していくうちに、なぜか「断る」ことにハードルが低くなります。断られることを覚悟を持って経験すると、「断る」ことのハードルが低くなる。

断ることはポジティブだ!

繰り返しになりますが、断ることの本質は「判断する」ことに過ぎません。断ることで発生する人間模様が「断る」をややこしくしているのです。まずは自分自身が明確に基準を判断すること、これが断るコツだといえます。

人にはできることの限界があります。どうせ、なにもかもはできないのだとしたら、貯め込んで爆発するよりも上手に断っていく方がお互いにとっていいことだと思いませんか。

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