私は以前、介護の職場にいました。人の介護をするのはとても大変なことです。しかし、少子高齢化社会の今日、いつ自分の身にやってくるかわかりませんよね。どんなに好きな人、大切な両親、愛する子どもでもどうしようもない気持ちになることもあります。
それは、あなたが悪いのではありません。人とはそういうものなのです。どんなに大事なひとであってもしんどい時は介護の時でなくてもあるのです。自分を責めたり、相手を責めたりするのではなく割り切る気持ちを大切にして下さい。
では、介護をする前に必要な心構えを私の経験を元に説明していきたいと思います。人と人との関わりなので何が正解かは人によって違うかもしれませんが、どうか自分を大切にして下さい。
私は正直、介護をなめていました。軽い気持ちで就活で受かったから、何の知識もないけどやってみよう!という気持ちでした。介護とは人の力を借りないと生活が困難な人たちに手を差し伸べることです。
こう言えば聞こえは良いですが、服薬・身体介助があります。自分のミスで生死をさまよう危険もあります。介護員時代、発作が急に起こって頭を強打し救急車で運ばれた人もいました。
他にも夜眠れないことに耐え切れずに罵倒してくる人、言葉が出ない分暴力で訴える人もいます。介護は誰かの為にやっていて、社会の役にたっているというやりがいもあるかもしれません。しかし、息を抜く時間を忘れないで下さい。人はそんなに完璧になんでもこなしていくことはできないのです。
私の前の職場は夜間、一人で何人も見ていました。正直言って、夜間の間はほとんどまともに休憩することができません。仕事なのでそれはしょうがないことです。しかし、夜中に徘徊を繰り返したり、逃げてしまったこともありました。
どんな介護にもよりますが、痴呆の介護は夜どこかに行ってしまっていないかチェックする必要があります。他にも、発作の介護は発作が続いている場合、どのくらいの発作で、投薬する必要があるのか、見守るのか自己判断しなければなりません。
それが毎日続くとふとイライラしてしまうこともあるでしょう。そんな時は一時的に距離を取ってお茶でも飲んで休憩しましょう。相手にあたってしまうことは癖になってしまいます。一度あたってしまえば、猛烈な罪悪感か嫌になると度々あたってしまうようになるかの二択です。
相手と無理して一緒にいることはないのです。どうしてもの時は傍にいなければなりませんが、お茶一つ入れている間にことはそんなに急展開を迎えないのです。玄関を見ながら、部屋にいながら一息ついたって悪いことではないのです。
上記のとおり、介護はとても大変なことです。あなたの時間をすべて相手にかけなくてもいいのです。趣味の時間を作って、少し息抜きすることも必要です。「でも、趣味なんてないし」と思う人がいるかもしれません。
気になること、やってみたかったことを思い切って始めてみましょう。DVD鑑賞でも、ゲームでも、ガーデニングでも、料理でも、手芸でもなんでもいいのです。無心に取り組める時間が大切なのです。
完成するものなどは達成感も生まれて良かったです。相手に対して一生懸命になりすぎないことが介護を長く続けていくコツです。人と人なのですから、根本の考え方も違います。どんなにこちらが相手のことを思って理解しようと試みても、わからないし、どうしようもないことだってあります。
私が一番悩んだことは実はこれでした。夜は寝るもの、寝かさなくてはいけない!という思い込みでした。相手も人です。眠くないときもあるでしょう。本人が寝たくないのであれば、寝なくてもいいのです。
寝なければ辛いのは相手自身です。だからと言って、日中に昼寝をしないように注意してください。昼夜逆転してしまうとメインで介護するあなたが辛くなってしまいます。眠れないことに腹を立て、相手が泣いたり、怒ったりしてくるかもしれません。
相手も寝たくても眠れないということをしっかりと念頭に置き、「そういう日もあるよね、無理に寝なくても大丈夫だよ?」と別に眠れない事は悪いことではないと伝えてあげるといいかもしれませんが、あまりかまってはいけません。
以上が現場で私が学んだ考え方です。お互いに依存してしまうことも多くある介護では、自分の意思をしっかりと家族なのですから自己主張してもいいのです。仕事の場合でも依存関係になりそうな時は断る勇気もあっていいのです。
誰かを助けることもとても素晴らしいことだと思います。その為には、自分自身を大切にして、苦しめないための息抜きや手抜きが必要なのです。オンとオフの差をつけ、あなた自身があなたの人生を楽しめることを心より祈っています。