生理前がつらい!PMS(月経前症候群)の症状チェック

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なんだか今日は体がだるい感じがする、下腹や腰・胸が痛い、風邪でもないのに頭が重い、胃の調子や便の具合がすっきりしない・・など、理由のわからない不調な期間が毎月ありませんか?

身体だけでなくココロもなんだか変。いつもなら笑えることに笑えない、怒りっぽくてイライラする、憂うつでさびしい気持ちになる、など、自分が自分でないような不可解な精神状態にとまどうこともありませんか?

そして、よく観察してみるとその症状はある周期性がないでしょうか?そう、生理前の1週間くらいに不快な症状を感じていませんか?

質問ばかりになりましたが、あまりにストライクばかりで驚いた女性もいらっしゃると思います。そして少しでも思い当たるところがいくつかあれば、あなたのその原因不明の不快な症状はきっと「PMS(月経前症候群)」です。

PMS(月経前症候群)と月経(生理)の時期を合わせて月の半分くらいが「好調な自分」でないのであれば、あなたの生活の質は著しく低くなっているはずです。どうぞPMSについて良く知り、上手に対処して快適な日々を取り戻してくださいね。

PMS(月経前症候群)とは

PMSはPremenstrual Syndromeの略で、月経(生理)前におこる症候群であり日本語では「月経前症候群」と呼ばれます。PMSを疾患と考える研究は欧米より遅れて日本では1980年代頃からようやく研究が進み始め徐々に認知されてきました。

特徴は、生理開始前10日から数日前より身体面や精神面に原因不明の不快な症状がたいてい複数出て、生理が始まる直前、または始まってすぐに症状が消えて治まってしまうことです。

多くの場合は重い症状がひとつではなく、軽い症状がいくつも重なって現れるようです。

主にどこかが痛い、つらいけど病院へいくほどでもない、という軽い症状ですがいくつも同時に出現するのでその苦痛は大変大きいものであるとされています。

精神的にも気分のコントロールが難しくなったり、なんとなくひどく落ち込んだ気分になるという状態が見られることもあり本人にしかわからないつらさであることから、その精神的な苦痛も大きいと言えるでしょう。

生理が始まるとすっきりこれらの身体的・精神的な苦しい症状が治まって「本来の健康な自分」に戻れるのが、PMSをかかえている女性のパターンです。

PMSのいろいろな症状

PMSにはさまざまな症状があります。症状のでる場所や程度も個人差が大きいものですが、PMSでは主に以下のような症状があげられます。

主な身体的症状

PMSで訴えられる主な身体の症状は以下のようなものです。

  • 疲労感・強い眠気・頭重感・頭痛・乳房の張りや痛み
  • 下腹部の膨満感・下腹部痛・腰痛
  • 便秘・下痢・食欲不振・食欲増進・味覚の変化
  • 吐き気・むくみ・めまい
  • 肌荒れ・吹き出物

主な精神的症状

PMSで訴えられる主な精神的な症状は以下のようなものです。

  • イライラする、少しのことで怒りっぽくなる
  • 気分が沈む、憂うつになる
  • 悲観的になる、涙もろくなる
  • 判断力、集中力が低下する
  • 無気力になる、眠気のようなボーっとした感じがある

PMSは生理前の時期にこれらの身体と心の不調が多くは複数現れます。

月経困難症との違い

月経困難症とは子宮付近の下腹部の痛み、腰痛などのいわゆる生理痛や、頭痛、吐き気などPMSと同じような異常が、非常に強く「生理中の苦痛」としてあらわれる症状です。

PMSは「月経前症候群」の文字通り、月経(生理)の前に症状があらわれ、生理がはじまるとウソのように症状が消失しますが、月経困難症は生理が始まると症状が強く現れて生理が終わると症状が消失します。

中には「月経困難症では身体症状の苦痛を訴える女性が多いのに対して、PMSでは精神的な症状による苦痛を訴える女性が多い」という印象をもつ医師もいます。

月経困難症でも落ち込みやイライラという精神不安定を訴える人もいますが、これはむしろ普通ではないほどの生理痛などの不快な身体の症状から引き起こされており、鎮痛剤で痛みを押さえれば気分も安定することがあります。

生理中は体調不良であるということで周囲の女性からも理解や助けを得られやすいのに反して、PMSは生理前の症状であるというところに問題があります。

PMSでは何の原因も思い当たらず、病気でも生理中でもないのに上にあげたような不快な症状がいくつも出ることにより、自分をコントロールできない、理由もないのに体調不良である、という状態になるのです。

PMSは経験した女性でないとわからないとても不可解で苦しい症状です。症状が出ても病気や生理でもないので「さぼってる」「仮病ではないか」「すごく気分屋で一緒にいるのが大変」など周囲に誤解をうけやすい状況がうまれます。

PMSは徐々に認知をされては来たものの、まだまだ周囲の理解を得にくく、つらさを一人で抱え込まなくてはならない点で、PMSの女性の悩みは月経困難症の女性の悩みより深刻かもしれません。

PMSの原因と診断

PMSの原因はいまだ特定されていません。しかし、排卵に伴う「黄体ホルモン」の分泌が関係あるというのは有効な説です。性機能が十分に発達していて、排卵の際に黄体ホルモンの分泌が盛んであり、それに対する脳の反応が良すぎるという考えです。

PMSは年代的には20代から40代の女性に多く、特に30代の女性の訴えが多いことから黄体ホルモンの分泌が盛んな年代とほぼ一致していることからもわかります。

また、最近では神経伝達物質である「セロトニン」の欠乏という説もとても注目されています。セロトニンは活動の意欲や気力にかかわる大切なものなので、それが低下すると著しく気分が沈んだり、無気力になってしまうのです。

このようにPMSは原因が不確定なものなので、検査で発見される病気ではありません。まずは自分が不調である時期が生理前に周期的におこるかどうかをチェックして、必要なら婦人科を受診しましょう。

生理前に多少の不調は多くの女性が感じているものです。これくらいで病院に行くべきなの?と迷うこともあるでしょう。

受診の目安としては、「生理前に日常生活に支障がでる」と自分で判断した場合でしょう。例えば、毎月のように鎮痛剤をのまなくては過ごせない、学校や仕事を休むほどのつらさがある、生理前は何かのトラブルを起こしてしまうなどです。

具体的には、身体か精神的な症状がつらくて外出もできない、人と会うのが非常な苦痛を感じる、一時的な感情を抑えきれなくてひどい言葉を発してしまったりするような生活面でのトラブルがあります。

もし友達や恋人を傷つけてしまうような言動をしたり、育児中のお母さんであれば子供に手をあげてしまうなど、PMSが終わってもしこりが残るようなトラブルを生理前の周期に起こしてしまうようなら受診をしてください。

特に上記のような急を要する症状でないけれどもPMSかも?と思い当たる症状に悩むようであればまず自己診断で悩みの症状がいつ出るか、いつ症状が治まっているかを把握しましょう。

症状の出る時期と生理周期のカレンダーを見比べることによってPMSの診断ができます。症状と生理の周期が随伴していればPMSの診断の材料となるでしょう。婦人科でも問診で同様の診断方法をとります。

例をあげると、毎月必ず生理の10日くらい前から乳房が張り始める、5日前から精神的に少し落ち込みが気になる、3日前から生理2日目くらいまで腹痛があり吹き出物が目立つなど、PMSには周期性が見られる不調があります。

もし生理周期と関係なく不快な症状が現れたり、生理が終わっても続いているのであれば別の疾患の可能性があります。まずはカレンダーに症状をメモする習慣をつけて、生理の周期と比べてみてください。

PMSの治療法は

PMSの症状で受診しに婦人科へかかると、問診と場合によって内診があります。基本的には医師がPMSの診断をすると、生活の指導と必要なら投薬という流れで治療が始まります。

主にPMSの薬物療法で使われるのは以下の種類の薬剤です。

  • 対症療法としての鎮痛剤や精神安定剤
  • ホルモン療法としての低用量ピル
  • 体質と症状を改善する漢方療法

対症療法では症状を緩和しながら様子を見ていきます。ホルモン療法の低用量ピル(経口避妊薬)は避妊目的だけでなく他の婦人科疾患にもよく使われます。低用量ピルによって卵巣のホルモンの変動が抑制されるのでPMSの改善にも効果がみられます。

比較的軽症でこのふたつの薬物療法には頼りたくない、または副作用の心配がごく少ない薬を使いたいという場合は漢方が良いでしょう。漢方処方をしてくれる医院やクリニックをチェックして相談してみてください。

また症状が非常に重いPMSの場合は排卵を起こさないようにして身体を偽の閉経状態にするGnRH製剤という点鼻薬か注射の薬か、ダナゾールというのみ薬を投薬するホルモン療法がおこなわれることがあります。

自分でもできるPMS対策

受診をしても、まだ経過を自分で観察するとしても、PMSには自分でできるセルフケアがたくさんあります。

食生活の改善、睡眠をはじめとする規則正しい生活リズム、適度な日々の運動習慣、喫煙やカフェイン摂取の習慣をやめる、身体の冷え取り対策など、万病に効く「生活習慣の改善」は言うまでもないでしょう。

しかし、ここではあえてPMSの精神的な苦痛を和らげて改善する方法をいくつか提案したいと思います。

PMSの症状に思い当たるかた、あなたはとてもストレスを感じやすく解消できないタイプではありませんか?ストレス耐性が弱いとPMSの症状を重くを感じやすいという報告があります。

ストレスがPMSの症状を重くすると言われても「じゃあどうすればいいの?」と途方に暮れてしまうでしょう。ストレスを感じない方法など存在しないからです。

ではうまくPMSのつらい症状の時期をうまくやり過ごす方法を「自分で自分なりのメニュー」として編み出してはいかがでしょうか?

例えば、運動が好きな人ならこの時期に沢山楽しいフィットネスやアクアビクスなどのメニューを毎月入れる、映画が好きな人ならこの時期には映画館で何本も映画を見る予定にするなど、とにかく好きなことを沢山する時期と一致させるのはいかがですか?

他にはリラックス効果のあるアロマを取り入れて好きな音楽を聴きながらたっぷり読書や入浴をする、ハーブティーを飲みながらテレビやDVDを見てひたすらだらだらする、など、なんでも好きなことをして過ごせば良いのです。

もうひとつ大切なことを提案します。それはあなたが一番理解してほしい人、家族やパートナーでも親友でも自分のPMSのつらさを打ち明けて理解と助けをもらうことです。これがあなたのどれほどの助けになるかしれません。どうぞ勇気を出して話してみてください。

PMSの症状に悩む女性は実は潜在的にとても多く、決してあなたひとりではありません。これからも認知度が上がり、近未来に周囲の理解が得られる日はやってくるはずです。

どうぞPMSの症状は「やっかいだけど腐れ縁の友人」程度に考えてお別れする日までうまく楽しく付き合ってくださいね。

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