毎月あるのが生理。1ヶ月のうちだいたい5日くらいが生理期間なので、1ヶ月30日のうち約2割の期間、出血しているわけです。
初めて生理になった小学生の頃は、友達とどんなナプキンを使っているのかとか、生理痛が辛いことなどの話をすることもありますが、大人になってからは、そう頻繁に生理の話を友達とすることはないでしょう。
「私って過多月経かしら?」と思っても、誰かと生理の量を比べることなど、あまりないと思います。
子宮筋腫に関することを書いた本や雑誌などでは、その症状に「過多月経」と書かれていますが、いったいどれくらいの量で過多月経と言うのでしょうか?
また、どのように判断すれば良いのでしょうか?
8月の生理が8月7日から8月12日までなら、この6日間の出血量が60g以上を過多月経と判断されます。
しかし、使用前のナプキンと使用後のナプキンをはかりに載せて重量を調べる人はまず、いないでしょう。
そこで、目安となる見極め方ですが、最近のナプキンは性能が良くなっていますので、一昔前と比べると少々のことでは漏れたりしません。
まず、このことを頭に置いてください。
そして、次のことをチェックしてみましょう。
これらがYESの場合は、過多月経の可能性が大きいと考えられます。
過多月経になると、何が問題なのかと言うと、2つあります。
1つは、貧血になるリスクがある事です。
よく、朝礼で立っていると気分が悪くなったり、電車の中で立っていると気分が悪くなるのを貧血だと思っている人がいますが、これらは脳貧血だと思われます。
貧血を正確に診断するには、血液中のヘモグロビン量やフェリチンの量や赤血球の数を調べる必要があります。
「最近やたらと氷を食べたくなる」と言う人は、氷食症という貧血の症状の一つかもしれません。
2つ目は、過多月経の原因で最も多いのが、子宮筋腫や子宮腺筋症などの疾患だと言うことです。
これらの疾患は、過多月経や生理痛でつらいだけではなく、不妊症や流産や早産の原因になることもあります。
また、大きくなった筋腫が腸を圧迫して、便秘となる事もあります。酷い場合は腸に内容物が通らなくなってしまい腸閉塞を起こすことすらあるのです。
また、膀胱を圧迫して頻尿になったり尿漏れがおこったりすることもありますし、逆にまったく尿路を塞いでしまって、尿が出なくなる事もあります。
加えて、子宮筋腫のある人は、子宮内膜症も併せ持っていることが多いです。
子宮内膜症もやはり、不妊症や流産、早産の原因となりますので、早期発見・早期治療が大切です。
婦人科の受診は、内科や眼科などと比べると、気軽に行ける場所ではないかもしれません。しかし、一昔前と比べると内診台も進歩しています。
20歳代前半の女性が、お母さんに自分を妊娠した時に産科での診察がどんな感じだったか聞いても、それはかなり古い診察状況の情報となります。
一昔前と比べると、ほとんどの産婦人科が羞恥心に配慮したハイテクな内診台を使っています。また、「カーテンがないほうが良い」などの希望があれば、遠慮しないで申し出ましょう。
自分の口で言うのが恥ずかしい場合は、問診表の片隅に書いておくと、配慮してもらえるはずです。
どうしても、内診が嫌だと言う人は、おなかの上からの超音波検査だけでも受けることをお勧めします。
子宮筋腫や子宮内膜症の治療は、ライフスタイルによって一人一人違ってきます。
未婚の女性であれば、妊娠・出産のことも考えて、長期的に計画を立てて治療することが重要となってきます。
婦人科を受診した患者さんたちは、異口同音にこう言います。「もっとはやく、婦人科の先生に相談すればよかった」「もっと早く来ればよかった」。