女性は妊娠すると、体・心に沢山の変化が起こります。つわりで苦しい時でも、お腹の中の赤ちゃんに沢山の栄養を届けなくてはならないため、食事にも気を使い、栄養バランスの良い食事をしようと心がけるようになります。
妊娠したと周りに報告をすると、「妊婦さんは葉酸を摂ったほうが良いよ」とアドバイスをもらったり、妊婦向け雑誌にも“葉酸”という文字が至る所で登場します。中には産院で先生に「葉酸は積極的に摂取してください」と言われた方も沢山いることでしょう。
妊娠されている方・妊娠を望んでいる方であれば、誰もが一度は耳にする“葉酸”の存在。皆さんは積極的に葉酸を摂取しているでしょうか?
「葉酸を沢山とるべきだ」という事を知っていても、それがなぜなのか?という葉酸の必要性を知らない方もいますし、そもそも葉酸ってどうやって摂取したら良いのか?という摂取方法を知らない方も沢山います。
それもそのはず、今までの日常生活で「葉酸を摂ろう!」と意識して食事をしてきた方はあまりいないのではないでしょうか。妊娠することで、初めて“妊娠には葉酸が重要”だという事を知った方のほうが多いかと思います。
今回は、葉酸の必要性はもう知っている!という方も含めて、今一度“葉酸”についての基本的な知識と、摂取方法をお伝えしていきます。是非参考にしてみてください。
妊娠には葉酸という栄養素が非常に重要となります。しかし「とりあえず葉酸を摂っておけば大丈夫!」という甘い認識では過剰摂取をしてしまい、後に後悔をしてしまう結果を招く可能性もあります。まず葉酸について基本的な知識を身につけましょう。
雑誌やネット、産院や友人の話の中に飛び交う“葉酸”という言葉。妊娠するまで、葉酸という栄養素があるという事でさえ知らなかったという方も少なくないはずです。
“カルシウム”や“鉄分”などの栄養素名であれば、日常生活でも頻繁に出てくるので、聞きなじみがあり、イメージがつきやすいですが、“葉酸”はあまり意識的に摂取したり、聞きなじみがあると言える程の栄養素名でもないので、葉酸の存在自体知らない方は多いです。
葉酸とはビタミンの一種でもあり、様々な食品・野菜等に含まれている栄養素なので、私たちは意識をしなくても毎日、無意識に摂取をしている程の身近な栄養素です。
私たちの体を造る細胞や血液・皮膚等、体の様々な箇所に良い働きを与え、貧血の予防としても有効だとされています。妊娠の有無に関係なく、また男女の性別にも関係なく、出来るだけ毎日の生活で積極的に摂取する事が好ましい栄養素と言えるでしょう。
赤ちゃんの臓器や皮膚などの形成時にも、葉酸は良い働きをします。妊娠初期であれば細胞分裂が行われる段階から、葉酸の栄養素がサポートをしてくれます。
葉酸が沢山の食品・食材に含まれているという事が解ったので、自然と摂取方法も答えが出ます。葉酸は、“食べる”ことで摂取していくのです。
「・・・食べる事は当たり前だよね?」と不思議に思われるかもしれませんが、栄養を取り入れる方法は食べるだけでなく、肌に塗ったりすることで浸透させる方法もあります。
例えば、美容に良い栄養素などは、食べるだけでなく、肌に塗ってパックをおこなうこともあります。
最近では点滴で栄養を入れるといった方法も注目されつつありますが、妊娠に必要な葉酸は、そのような方法での取り入れ方ではなく、食事から!という基本的な摂取方法を知っておいてください。
食材に含まれる葉酸の含有量はそれぞれに異なるので、「これには、どのくらい葉酸が入っているのかな?」と疑問に感じた場合には成分表示などを見てみると解るでしょう。
野菜には成分表示がないため、ネットなどで検索をすると、その野菜が持っている様々な栄養素も合わせて知ることが出来ます。
また、野菜などではなく、サプリメントでも摂取することは可能です。サプリメントでの摂取は非常に手軽で便利なのですが、あくまで食材そのものから摂取することがベースです。
もちろん、サプリメントを利用することがダメ!という訳ではありませんし、むしろ、サプリメントを妊娠生活に取り入れる事はとても良い事です。
ですが、毎日の食事で摂りきれなかった不足分を、サプリメントで補う・・・という意識でいる事が前提で、「サプリがあるから食事は気にしなくて大丈夫」という気持ちにならないようにしましょう。
葉酸には、理想とする摂取量があります。この摂取量は非常に大切で、知らないとかえって危険な状況を招いてしまうこともあります。
上記でも述べた「とりあえず葉酸を摂っておけば大丈夫!」の甘い認識を改めるためにも、理想な摂取量をしっかりと頭に入れておきましょう。
妊娠中であれば、赤ちゃんへ沢山の血液を送る必要があるため、ママは貧血気味になってしまいがちです。
400μgと聞くと、まず思うことは「それって、どのくらい食べれば摂取出来るの?」といった疑問です。400μgと言われても、それがどのくらいの量なのか、野菜や食品をどれくらい食べたら良いのか、想像がつきませんよね。
では、葉酸が豊富だといわれている《ほうれん草》を例にあげて、400μgを説明します。
スーパーなどで販売されているほうれん草は、透明な袋に5・6茎ほど入って、1束の状態で販売されていることが殆どです。物によりますが、小柄な茎であればもう少し本数が入っているかもしれません。
ひとまず茎の本数は良いとして、ほうれんそう1束で、約100gほどの重さがあると思います。もちろん生の状態での重さを指しています。
生のほうれん草2束を毎日継続的に食べ続ける・・・と例えると、葉酸の摂取がなかなか大変だという事を理解していただけるかと思います。
「それなら、茹でてしまえば良いのでは?」と思うかもしれませんが、葉酸という栄養素は熱を通すことで、激減してしまいます。
よって、茹でる・炒めるなどの調理方法をおこなう時点で、葉酸は一気に減ってしまいます。加熱調理のほうれんそう2束では到底400μgには届きません。
400μgがどれほどなのか、何となく伝わりましたでしょうか?今回はほうれん草で例を挙げましたが、ほうれん草は“葉酸が豊富”だと言われている食材です。
では、別の野菜だった場合には、一体どれだけ食べれば良い事か・・・考えただけでも「毎日は絶対無理!」と早々に音を上げてしまいそうです。
野菜が高騰傾向にある現代で、食費も厳しくなっているので、容易ではない事が解っていただけたかと思います。
葉酸の摂取時期ですが、多くの方は、妊娠中(特に初期)に摂取を開始し、出産のタイミングで葉酸摂取も意識をしなくて良いだろう、と考えているかもしれません。“妊娠~出産まで”これが、最も多い意見かと思います。
しかし、葉酸は妊娠初期の中でももっと早い段階の“受精”時期から良いサポートをしてくれる栄養素です。
葉酸を積極的に摂取している女性は、受精しやすい・子宮に着床しやすいと言われています。妊娠しない事に悩みを感じる方にも葉酸は良い効果を示すと言われているので、妊娠を望んでいる段階から葉酸摂取を開始すると良いでしょう。
また、妊娠超初期でもある受精・受精後の細胞分裂・臓器の形成・体の形成のタイミングにも葉酸のサポートが重要になります。
葉酸の摂取開始時期が、“妊娠を望んだタイミングから”という事を解っていただいた次には、意識的な摂取の終了時期がいつまでか、という事についてお伝えします。
出産を終えたら、葉酸ももう摂らなくて良いかな?と思ってしまいがちなのですが、実は産後にも葉酸のサポートが重要になってくる事を知っていますか?
葉酸はママの血液を増やす働きがあるという事はお伝えしましたが、これが産後に大きな助けとなります。出産を終えたら、休む暇なく母乳(初乳)を与えるという“育児”が始まります。赤ちゃんを産んだことでママの体はどんどん母乳を作りはじめます。
母乳の主成分は、何だかご存知でしょうか?そう、母乳の主成分は“ママの血液”です。ママの血液が体の中で母乳に変わり、赤ちゃんに沢山の栄養が含まれたお乳を飲ませてあげることが出来るのです。
この時、ママの体からは、どんどん血液が母乳として出て行くので、貧血状態に陥ってしまいます。
血液を造るためには、バランスの良い食事をすることに加え、“鉄分”などの血液を増やす・造る効果のある栄養素を多く摂取しなければなりません。ここでピンッと来た方もいるかもしれませんが、葉酸は血液を増やす効果をしてくれる栄養素です。
産後、授乳を開始し、貧血気味になるママにとって、葉酸は“貧血予防”のために必要不可欠な栄養素なのです。
さらには、上質な血液を造ってくれるので、赤ちゃんへ与えるお乳も栄養満点!質の良い母乳を与えることが出来ます。葉酸のパワーは産後にも発揮されるのです。
とても長いように感じます。ざっと考えただけでも、トータルで約2年近くの期間があるかもしれません。
長いようにも感じますが、葉酸は少し前にも伝えたように、妊娠の有無に関係なく・男女の性別に関係なく、積極的に摂取することが好ましいです。それは健康のため、良いサポートをしてくれる栄養素だからです。
ここまでの話で、葉酸については十分なほど、理解していただけたかと思います。妊娠中に葉酸がなぜ必要なのか・葉酸がどんな働きをしてくれるのか・どうやって摂取するのか・・・等、何も解らなかった状態から考えると、大きな心境の変化もあるはずです。
ここからは、葉酸摂取に関する注意点にスポットを当てて、見ていきましょう。実は、この注意点こそ、より理解していただき、より注意していただきたい事でもあります。
葉酸の理想な摂取量をお伝えした時に、過剰摂取は危険だという事を触り程度ではありますがお伝えさせていただきました。この“過剰摂取”について、より具体的に説明をしたいと思います。
それだけでなくママの体にも発熱やダルさ・嘔吐などの症状を起こしてしまうケースもあります。
絶対にそうだ!とは言い切れませんし、ママの体調や胎児の先天的異常・奇形・小児喘息が、全て葉酸を過剰摂取したためだという結びつけは出来ませんが、それらの可能性があるという事は理解しておいてください。
いかがでしたか。ここまでの内容で、葉酸の摂取方法が十分理解していただけたかと思います。
「どうやって摂取したら良いの?」という疑問が解決しただけでなく、理想的な摂取量や加熱調理で葉酸が激減してしまうこと・過剰摂取は危険だという基本的な知識も合わせてお伝え出来たかと思います。
妊娠中に葉酸が大切だという認識を持つ事は大切ですが、「葉酸!葉酸を摂らないと!」と義務的に感じたり、葉酸摂取にばかり捉われてしまっては、せっかくの妊娠生活も窮屈になってしまいます。
頭の中に葉酸の知識と、摂取の意識を入れておくだけで良いのです。少しでも穏やかな生活が送れるよう、時には自分に甘くしてあげることも忘れないでください。