女性ならば、ほとんどの人が関心を持っているであろうダイエット。細く美しいモデルやタレントを見ると、「私もああなりたい!」とダイエット欲をかきたてられるのも仕方ないですよね。
正しいダイエットの知識でもって、食事制限をし運動を取り入れ適度に痩せるのなら問題はないのかもしれません。
ですが、「太るかと思うと怖くてものを食べられない」「もう十分痩せているのに、ダイエットがやめられない」というような状態になっているならそれはちょっと危険信号。ダイエット依存症かもしれません。
今回は、ダイエットに取り組む自分の姿勢に危険性を感じる女性に向け、ダイエット依存症チェックリストを提示します。ダイエット依存症を克服するきっかけになってもらえれば幸いです。
ダイエットに取り組む自分を、自分でもちょっとコワイと思い始めているあなた。まずは下のチェックリストを確認してください。ダイエットをしている人で、これらのリストが多く当てはまる人はダイエット依存症になっている可能性があります。
□最近、楽しんで食事していない。
□食べ過ぎると罪悪感がある。
□痩せたら素敵な未来が来ると思っている。
□自分に自信がない。
□完璧主義者だ。
食事することを楽しんでいますか。「体重が増えるかどうか」という単一のものさしだけで食事をとらえていても食事は楽しくありませんよね。食事はカロリーを摂取するだけのものではありません。
心を許せる人と一緒に食事をしたり、美しい盛りつけを愛でたりして、雰囲気を楽しむという要素もあいまって「食事」なのです。そもそも、ダイエットに取り組もうとする人は、もともと食べることに興味のある人なのではないでしょうか。
食べることに興味のない人は、食事制限がそれほど辛いわけではないので、さほどダイエットに苦しむことはないでしょうし、日頃から食べ物に対して淡白なので、そもそもダイエットの必要もないかもしれません。
ダイエット中で、食事を「体重が増えるかどうか」という切り口でしかとらえていないことは、楽しみだったものを切り捨ていていることであり、相当なストレスになっているはずです。
ダイエットを続けること自体が、ストレスをため込み続けることになり、やがては爆発し過食し、余計に食べることに執着する結果になりかねません。
つまりは食事を楽しめないような極端なダイエット法に頼っても、結局は失敗してリバウンドを繰り返すことになる可能性が高いのです。
ダイエット依存症のキーワードのひとつに「罪悪感」があります。ふだんストイックにダイエットをしているがゆえに、油断して少しチョコレートを間食してしまったことに罪悪感が生じるなんてこともあるかもしれません。
しかし、罪悪感は危険です。一旦罪悪感が生じてしまうと、その感情から逃げ出したくなり、現実逃避が始まるからです。普通のダイエットとダイエット依存症の人のダイエットの違いはなんでしょうか。
それは、ダイエットにおける失敗を厳しく責めるか責めないかと言うことです。ダイエット依存症に陥っている人は、ちょっとした失敗も激しく自分を責める材料とします。普通のダイエッターでも、たまに失敗して食べ過ぎてしまうことだって当然あります。
しかし普通のダイエッターは、少しの失敗を「まっいっか」と流してまた次の日からダイエットにいそしむことができます。
一方、ダイエット依存症の人は、失敗から来る罪悪感がつらくて、現実から逃れるために過食に走ってしまい、さらに自分を責めるという悪循環を繰り返すのです。
もしダイエット中、罪悪感に駆られることがしばしばあるのなら、ダイエットより先に自分をいたわるようにしましょう。
以下のような夢を思い描いてダイエットをしていませんか。
もしくは、以下のように考えがちではありませんか。
こんな風に考える傾向のある人はダイエット依存症に陥っているかもしれません。上記の考え方を要約するとこうなります。
「都合の悪いことはすべて太っていることのせいである。痩せさえすれば、不都合なことがなにもかもなくなるに違いない」。
このように考える人は、見知らぬオジサンに「邪魔だ」と怒鳴られても、「自分が太っているから怒鳴られたんだ」と考え、大学で遠くにいた友人が自分を見て笑っていても「私が太っていることを笑っている」などと思い込みます。
しかし、その考え方は本当に正しいのでしょうか。見知らぬオジサンは、ただ単に機嫌が悪かっただけかもしれません。友人が笑っていたのは、別の話題で盛り上がっていただけかもしれません。
必ずしも太っていることが原因であるかどうか確認できないことに対して「太っているからダメなんだ」と決め付けるのは危険です。もし、決め付けが間違っていたとしたら、頑張って痩せたところで、問題は解決しないからです。
また別の視点で考えてみましょう。例えば、ダイエットに成功し、めでたく彼氏ができたとします。ところが、痩せたから彼氏ができたと考えている人は、「太ったら彼氏に振られる」と考えるのではないでしょか。
つまり、痩せてめでたく彼をゲットして、幸せになったようでいて、実は「太ったらどうしよう」という不安をずっと抱え込むことになるのです。
もちろん、ダイエットは続行することになるでしょう。せっかく痩せてダイエットから解放されるかと思ったら、別の不安がやってきて結局ダイエットを続けなくてはならないというわけです。
ダイエット依存症のキーワードのもうひとつは「自分に自信がない」ということです。先程、ダイエット依存症の人は、太っていることを都合の悪いことの原因にしていると述べました。もし太っていても自分に自信のある人だったらどうでしょうか。
自分に自信のある人は、ありのままの自分を認めています。ですので、道端でオジサンに怒鳴られても、太っていることが原因かどうかわからないので、そのまま受け取ります。「機嫌の悪いおじさんに怒鳴られてしまったなあ」。
太っていることと、おじさんに怒鳴られたことは無関係のこととしてとらえることができるのです。友人が自分を見て笑っていたとしても、すぐに駆けつけて友人に話しかけます。「何か面白いことあったの?」。
自分に自信がない人は疑心暗鬼です。自分が人を嫌な気分にさせていないだろうかなどと、始終くよくよしています。
つまり、自分のものさしではなく、他人のものさしによる他人からの評価を常に気にしています。その評価のひとつとして「太っているか痩せているか」を自分で勝手に採用してがんじがらめになっているのがダイエット依存症の人なのです。
ダイエット依存症の人にはストイックな人が多い傾向があります。完璧主義とは、つまりゼロか100かの思考です。実際の世の中はゼロか100かの世界ではありません。よくもなく悪くもない、あいまいなものばかりです。
しかし、完璧主義者は実際はあいまいな世界で生きているにも関わらず必死に非現実的な100を目指します。せっかく90まで頑張れたとしても、完璧主義者は90をゼロとみなします。完璧にうまくいくダイエットなど、そうそうありませんよね。
しかしダイエット依存症の人は、少しの失敗でも厳しく自分を断罪してしまうのです。精神分析の一つの方法論に「対象関係論」というものがあるのですが、完璧主義者の思考をよくあらわしているのでご紹介しましょう。
子どもは0歳から2.3歳まで、母親のことを「よいおっぱい」「悪いおっぱい」とみなしています。
その世代の乳児は、たくさんお乳を与えられて満足できるとき母親は「よいおっぱい」であると認識し、お乳を与えてくれなかったり、しかめっつらをしている母親は「悪いおっぱい」として認識します。
もちろん母親は同一人物であるわけですが、その年頃の子どもにとっては、母親の出方によって、母親のことを「よいおっぱい」「悪いおっぱい」と、分裂した別ものであると認識するのです。
そんな子どもも、成長するに従って、おなかいっぱい乳をあたえてくれる母親も、しかめっつらをする母親も同一人物であるということが徐々に認識できるようになります。
なにが言いたいかと言うと、完璧主義者のダイエット依存症の人は、ややもすると0から2.3歳児の心象のまま留まっているかもしれないということです。
少々、うまくいかないことがあったとしても、自分のことを「ダメ人間」として断罪してしまわないようにすることがダイエットのコツです。
いくら完璧主義でストイックだとしても、食事をしないまま何日も過ごしたり、徹夜で毎日運動を続けるなんてわけにはいきませんよね。頭の中では完璧を貫きたいと思っても、体はそれを許しません。
ダイエット依存症の人は、体の限界をわかっていない人です。まるで自分は罪人であり、自分の体をいじめることで罰を受けようとしているといってもいいかもしれません。
ダイエットで、素敵な未来を目指すのもいいですが、今、ゆったりお風呂に入ったり、今、香り高いコーヒーとお気に入りのケーキをゆっくり味わったりして、自分を大事にすることを楽しんでみませんか。
おそらく、ダイエット依存を抱えたままでは、あなたの望む素敵な未来はやってきません。依存症は「今」を否定する考え方が極まって悪循環を呼ぶものです。そこから脱するには、やはり「今」を感じるようにするしかありません。
自分を責めないで、失敗する自分を受け入れて今を楽しみましょう。そんな風にゆるゆると楽しんでいるあなたの方が、ダイエットにやっきになって鬼気迫るあなたより、きっと魅力的に見えると思いますよ。
そのために、今回提示したチェックリストが、ダイエット依存症を克服するきっかけになればと思います。