「ぽっこりお腹」、悩んでいる人は多いのではないでしょうか? 私も、出産でお腹の筋肉がゆるんだ後はなかなか元に戻らず、もう、しょうがないかな~と思っていました。普段のおしゃれは、ふわっとお腹を隠す洋服を選んでなんとか乗り切っていましたが、家族や友人と海水浴に行くときは、水着のぽっこりお腹を隠すすべはありません。「あれっ、もう一人お腹に?」なんて冗談交じりに意地悪を言う人もいて、それを何とか軽く受け流すのが精一杯でした。
それがなんと、50歳に近い頃に解消したのです!
きっかけは、転勤でした。転勤先で、会社から歩いて40分ほどのところに家を借りたのです。せっかく歩ける距離なんだし、歩いてみようかなー、と一念発起して徒歩通勤を始めました。すると、1年ほど経ってふと気がついたら、「ぽっこりお腹」がへこんでいるではありませんか!
特に何かをしたわけではありません。スポーツクラブに行ったわけでもないし、ダイエットをしたわけでもありません。ただ普通に暮らしていただけです。これまでと変わったことはたった一つ、毎日、朝夕40分ずつ歩いたことだけ。「歩くって、こんなにいいんだー」と目から鱗が落ちる思いでした。
「ただ歩いただけでは、なかなか痩せない」と言う人がいます。ダイエットの本を見ると、「ただ歩いてもダメ。正しい姿勢で歩きましょう」とか「腹筋を使って歩きましょう」とかいうことも書いてあります。でも、私の場合は、な~んにも考えずにただ歩いていました。
今思うと、たぶん会社に行くときは、時間に遅れないようにとせっせと歩いたのですね。せっせと速く歩いたのが、正しい歩き方につながったのかもしれません。
それから、靴です。毎日歩くのですから、ハイヒールを履いていると疲れます。会社へ行くのですから、スニーカーというわけにはいきませんでしたが、なるべくかかとが低く底の厚い、クッション性のある靴を選びました。そういう靴を履いていたので、歩き方も、自然にいい歩き方になったのだと思います。
そして、歩きやすい靴を履くと、歩くのが楽しくなります。行きは会社までの最短距離を歩きましたが、帰りは商店街の中を通ってお店を覗きながら歩いたり、少し遠回りして川の土手をゆっくり歩いたりしました。夕方、暮れなずむ頃に川風に吹かれながら歩くのは、本当に気持ちが良かったです。会社で多少イヤなことがあっても、川風がサラリと吹き飛ばしてくれました。帰りの歩き方は「せっせと歩く」というよりは、「楽しみながら歩く」でした。
歩くのが楽しいと、長続きします。この「長続き」が、重要なキーポイントだと思います。私の場合は、通勤ですから土日を除いて週5日、雨の日や風の強い日には電車を使いましたが、それ以外の日はほぼ休まずに歩き続けました。そして、「あれっ、お腹がすっきり」と気がついたのは、歩き始めて1年くらいしてからです。
なんにせよ、すぐに結果を求めるのは無理だと思います。「こうすれば1週間でお腹が引っ込む」とか、「10日で激痩せ」とか、世の中には情報があふれていますが、そういう無理にはリバウンドがつきものです。やはり、じっくりじっくり、歩くことを「習慣化」するのがいいのではないでしょうか。
通勤で歩くようになる前にも、「ぽっこりお腹」を解消する情報はよく耳に入り、その都度試してみてはいました。「毎日の暮らしの中のちょっとした時間、信号待ちをしているときや電車でつり革にぶら下がっているときに、腹筋を意識してお腹をぎゅっと引き締めましょう」などと聞けば、それを試してもみました。
でも、なにしろもともと腹筋が弱いので、「こんな大変なこと、できないわ」とすぐに挫折していました。それが、歩いて腹筋が強くなって「ぽっこりお腹」がへこんだら、信号待ちでお腹をぎゅっと引き締めるのも、つり革にぶら下がりながらお腹に力を入れるのも、全く辛くなくなったから、不思議です。
だから私は、まず、何でもいいからせっせと歩くこと、楽しく歩くこと、をお勧めします。そうして少しでも腹筋がついてくれば、その他のちょっとした運動も、難なくできるようになると思います。
今は会社も定年になって、もう通勤で毎日歩くことはありませんが、外出の時はなるべく歩くように心がけています。というよりも、歩くために外出する用事を作ったりしています。
散歩を日課にしている方もいらっしゃいますし、歩くお伴にと犬を飼っている方もおられます。私の場合は、犬は飼っていないし、散歩もついついおっくうになって取りやめてしまうタイプなので、なるべくたくさん、楽しい用事を作るように心がけています。
その時に大事なのは、「靴」。靴だけは、気張っていい靴を履いています!
歩いて「ぽっこりお腹」がへこんだことで、驚いたことがひとつあります。
以前は胃下垂気味で、夕飯をたくさん食べるとおへそのあたりがふくらんで、「ぽっこりお腹」が「ますますぽっこり」になったのですが、それが解消したのです。ご飯を食べると、おへその上、胃が本来あるべきところが、ちゃーんと膨らむようになりました。つまり、胃下垂が治ったのですね! 歩くことによって腹筋が強くなって、胃をしっかり支えられるようになったのだと思います。
「ぽっこりお腹は」胃のみならず、ほかの内臓が下がって起こることもあるそうです。特に出産を経験した女性に多いということです。骨盤がちょっとゆるんだりすると、そこに内臓が落ちていってしまうのだそうです。
実は私は、「内臓が下がるのは重力の仕業。何年も地球の重力に引っ張られているんだもの、仕方がないわ」と思っていたのですが、歩いて腹筋が強くなったら治ったということは、「仕方がない」わけではなかったということですね。歩くことは、たぶん骨盤の運動にもなったのだと思います。
内臓が下がりすぎて、あるべきところにないと、体調も思わしくなくなるそうです。代謝が悪くなって冷え性にもなるし、心がリラックスしにくくなって自律神経のバランスが崩れ、ストレスがたまりやすくもなるのだそうです。さらに、お腹がぽっこりしすぎると、背中や腰に負担がかかって、腰痛の原因にもなるそうです。
歩くことによって腹筋を鍛えることができて、そのようないろいろなリスクを回避できたのですから、歩くことの効果は絶大だったといえます。お腹がぽっこりしていて見た目が悪い、おしゃれができない、なんていうだけの話ではありませんでした。
今、健康に楽しく暮らせているのは、歩くことを覚えたおかげだと、心から思っています。