子宮腔以外の部分に受精卵が着床してしまう子宮外妊娠。正常の妊娠は子宮内で胎芽が育つが、子宮外妊娠の場合は受精した卵が子宮まで運ばれず卵管などで大きくなってしまうのだ。
子宮外妊娠の最も恐ろしいところは、気がつくのが遅れると卵管破裂や卵管流産を起こしてしまい、最悪の場合死に至るケースもあるという点だ。症状が出てからでは手遅れになってしまうかもしれない。子宮外妊娠の怖さと症状、早期発見の大切さについて考えていきたい。
子宮外妊娠の厄介なところは、初期症状がほとんどなく気がつきにくいことだ。
また症状があっても通常の妊娠初期に見られる症状と似ているため、自分ではなかなか気がつかないのだ。
胸が張ったり、トイレに行く回数が増えたり、生理がこないというということくらいしか感じずあまり深く考えない人もいるという。もちろん子宮外妊娠も妊娠には変わりなく妊娠検査薬を使えば陽性反応が出ているので、これらの症状は正常な妊娠によるものだと思ってしまうのだ。
しかし中には、
子宮外妊娠は、妊婦のおよそ1%にしか起こらないと言われているが決して人事と思っていてはいけない。万が一のことを考えて、子宮外妊娠を起こしやすい人の特徴を知っておくことが大切だ。子宮外妊娠を起こしやすい人は、お腹の手術をした経験があったりそこに炎症がある人だと考えられている。
その炎症の代表的なものは卵管炎だ。卵管炎とは、卵管が炎症を起こしている状態で癒着を起こしている可能性が高く受精卵がうまく子宮に運ばれないのだ。クラミジアなどの性感染症になった人は卵管炎をおこすこともあるので心あたりのある人は注意したい。
また、中絶を何度もした人や避妊リングを体に入れている人も子宮外妊娠を起こしやすいと言われていることを知っておくべきだ。
子宮外妊娠で最も大切なことは、早い段階で妊娠に気がついて妊娠検査薬で陽性が出たら、すぐに病院に行くことだ。正常な妊娠であれば、およそ妊娠6週目に子宮内に赤ちゃんが入っている袋、胎のうが見えるので妊娠の症状があるときはできるだけ早く受診すべきだ。
歌手のアンジェラアキさんは、妊娠が分かったあと忙しくてなかなか病院にいけず先延ばしにしていたら、突如激しい腹痛に襲われ倒れてしまったという。すぐ病院に行き診察してもらうと子宮外妊娠であることが発覚し即手術を受けることになったそうだ。
もしあと少し遅れていたら卵管が破裂し大量の出血により命に危険が及ぶ可能性もあったという。一命は取り留めたものの状態が悪化していたためお腹をあけ卵管摘出手術を行ったそうだ。
手術をするにしても卵管を残すか残さないかでは、その後の妊娠にも大きく関わってくるのでいかに早期発見が大切かが分かる。また早期発見ができ症状が落ち着いていれば手術ではなく待機療法や薬物療法という手段もある。
待機療法は、子宮外妊娠した胎児が流産したり体に吸収されるのを待ち経過観察を行う治療法のことで、薬物療法はMTXという抗がん剤を使い治療を行う方法だ。できることなら手術は避けたいし、手術をしても卵管を切除しない方向に進むことを願うばかりだ。
子宮外妊娠は早期に病院に行き診察してもらうことで、その後の結果が大きく変わってくる。もし生理が何日も遅れるようなことがあれば放置せずすぐに産婦人科に行くことが望ましい。
また2人目の妊娠で勝手が分かっているからと行って病院の受診を先延ばしにするのもよくない。赤ちゃんを望む妊婦に決して起こってほしくない事態だが
心にとめておいて損はないと思う。