経験者が語る、切迫早産での緊急入院・体験談。

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切迫早産とは、妊娠22週~37週の間に早産になりかかっている状態を言います。

具体的には子宮口が開き始めてしまって早産につながりそうな状態や、破水が起きた場合、子宮収縮(強くお腹が張る・短い間隔でお腹が張る)がみられる場合、子宮頸管が短くなった(赤ちゃんが降りてきた)時などに緊急入院となることが多いようです。

切迫早産で緊急入院となった事例(静岡県Aさん)

妊娠26週までの経過は順調で何事もなく妊婦生活を送っていました。「出産なんてまだまだ」そんな考えで出産準備もまったくしていませんでした。

そんな時に行われた30週の妊婦健診での出来事・・・30週の健診では市から配布されている補助券の内容に性病検査が含まれており、いつもの腹部エコーに加えて内診エコーを行いました。

すると、突然担当医師の表情が変わり一言・・・「子宮頸管が短くなっています。簡単に言うと、赤ちゃんが降りてきていています。つまり早産になる可能性が高いということですね。申し訳ないですが今から入院してくださいね。」

『・・・え?』私は涙が止まりませんでした。

まだ出産の準備もしていないし、入院?どうしたらいいの?頭の中はそればかりが堂々巡り・・・『いつ退院できるんですか?』と聞いても「今は答えられません」とあいまいな返事しか返ってこず、突然の出来事に頭の中はパニック状態でした。

とにかくすぐに夫へ連絡をし、すぐに病院へ向かうとのこと。

他人事のように冷静な看護師と担当医師

それから私はすぐに車いすに乗せられ、『大げさな・・・』と思いながらも病室へ運ばれ、看護師からは「臨月を迎えるまで入院となります。それまではベッドの上で絶対安静で生活を送ってもらいます。トイレ以外で歩いてはダメ、座ることもダメ。とにかくずっとベッドで寝ていてください。」との説明がありました。

頭の中が真っ白だった私は、看護師の明らかに他人事に感じる言い方に怒りさえ感じていました。さらに何の説明もなく「張り止めよ」と、腕にはウテメリンという点滴を打たれ、副作用で動機・息切れ・手の震えが起こりました。

ナースコールで看護師を呼ぶと「副作用です。そのうち慣れるから」と軽くあしらわれ、もう何が何だか・・・それから病室に夫が到着。とにかく大泣きしました。

面会時間ギリギリまで夫が付き添ってくれたおかげで私はなんとか落ち着きを取り戻し、その日は就寝時間を迎えることとなりました。

消灯時間はとても早く21時には病院中が真っ暗・・・「そんな時間に寝られるわけがない」と夫に愚痴をこぼしていたのですが、泣き疲れたからかすぐに寝付くことができたのは、本当に夫のおかげだと感謝したことを今でも覚えています。

そして翌日、医師の診察がありました。

『いつまで入院なのですか?』と聞くと「子宮頸管が現在1センチ。危険な状態だから、子宮頸管が5センチに戻るまでもしくは、臨月を迎えるまでは入院してもらいます。」と告げられました。

それから1週間は寝たきりの入院生活が苦痛で仕方がありませんでした。

諦めと前向きな気持ち

入院当初は『まだ退院できませんか?』が口癖となっていました。今思うと文句ばかりで看護師からすると本当に面倒な患者だったと思います(笑)しかし一週間がたつと、副作用もなくなりもう諦めがつきはじめました。

それと同時に夫ができない家事を一生懸命こなし、毎日休まず仕事へ出勤し、毎日仕事帰りに面会へ来てくれた。愚痴など一切こぼさず「あと少しだから頑張ろう」「入院なんて今だけなんだからあと少しだけ頑張ろう」と励ましてくれた。

そんな姿を見て『私も頑張らなければ』と思えたことが本当に心の支えでした。

退院と出産

結局私の入院生活は臨月まで続き6週間の入院となりましたが、終わってしまえばあっという間の日々でした。私の人生の中で最も充実しない毎日でした。

退院当日、相変わらず不愛想な看護師と最後に交わした言葉は「朝11時には退院していってください」でした。今でも忘れません(笑)

いつ生まれてもおかしくないとのことだったので、退院したその足でベビー用品を1日かけて買い集めました。

そしてその日の夜、陣痛が来て再び病院へ・・・看護師に『ただいま!』と言う余裕さえありました(笑)そこから陣痛は順調に進み、分娩時間は数時間と安産でした。

赤ちゃんの運命

通常赤ちゃんはおなかの中から出てくると、肺に空気が入りオギャーと泣くことをします。しかし、わが子は上手く泣くことができず呼吸困難へと陥りました。そのまま顔を見ることもできないままNICU(新生児集中治療室)へ入院となりました。

それからどうにか一命をとり止めたのですが、ようやくわが子の顔が見られたのは翌日のこと・・・保育器越しでした。鼻には酸素を送る管が通され、腕には点滴を打たれ、抱っこすることも、触れることさえも許されず、痛々しい姿に涙が止まりませんでした。

それから担当の小児科医師から説明があり「原因は切迫早産の子宮収縮で酸素不足の状態が続いていたこと」とのこと。再び涙が止まりませんでした。

しかし心配とは裏腹に、わが子は日に日に容体が回復し一週間で退院となりそこからは、本当に幸せな毎日を送っています!

今になって言えること

現在も切迫早産で入院生活を送っている方はたくさんいらっしゃるかと思います。突然の入院でパニック、大泣き・・・そんな私のような方も数えきれないほどいらっしゃるでしょう。しかし、そんな入院生活はいずれ終わりが来ます。

しかも、退院がゴール、出産してゴールではありません。退院してからが育児のスタートです。いずれ『入院生活に戻りたい』と思えるほど一人の時間が恋しくなることでしょう。

だから、今のうちに体と心を休めておきましょう。辛いときには深呼吸しましょう。お母さんが深呼吸をすることで赤ちゃんの酸素不足が防げます。お母さんが休むことで赤ちゃんが育ちます。

あと1週間、あと1日、元気に生まれてくるわが子と会えるまで・・・

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