休み時間、放課後など、エアポケットのような時間に複数人でかわされる他愛ない雑談。目的がはっきりしている会話ならなんとか大丈夫でも目的がはっきりしない雑談を、コミュ障を患う人達は苦手とします。
なんなら苦手どころか、雑談を恐怖とすら感じている人もいるかもしれませんね。ここでは、そんな雑談を苦手、もしくは恐怖と感じるコミュ障女子に向けて、特に女子同士の雑談への苦手意識を克服する方法をお伝えすることにします。
コミュ障を患う人は雑談に苦手意識があります。それはなぜなのでしょうか。
雑談に苦手意識がある、もしくは怖れている人は、実際に本人が面白いとか、面白くないとかは関係なく、自分で自分のことを「話が面白くない人」と思い込んでいます。なので、雑談の場で、「面白くない自分」が他人にさらされるハメになることについて恐怖するのです。
自分で話が面白くないと思いこんでいると、話をすることに大幅にハードルがあがってしまい、しどろもどろになる。その様子を見た周りの人が「?」となり、きまずい雰囲気が発生します。
苦手意識の原因は「自分で自分を面白くないと思っている」ことです。つまり、自分で自分の首をしめています。まさに「自縄自縛」状態なのです。
あなたは雑談の場で、面白い、もしくは、意味のある、内容のある話をしようとしていませんか。では、なぜ雑談の場で面白い話や内容のある話をしなくてはならないと考えているのでしょうか。
それは「つまらない奴だと思われたくない」からです。では、なぜつまらない奴だと思われたくないのでしょうか。それは、つまらない奴だと思われたら自分が傷つくからです。
コミュ障のあなたは「相手につまらない思いをさせたらどうしよう」と一見、相手を思いやる気持ちをもっているかのようですが、実質は「自分が傷つきたくない」という気持ちで心はいっぱいです。
相手への好きという気持ち、仲良くなりたいという気持ちより、自分が傷つきたくない気持ちが上回っているのです。そんな風に「自分が傷つきたくない」ということで頭がいっぱいになっている人と会話して、相手が楽しいと感じることができると思いますか。
一旦視点を変えましょう。そもそも雑談って何なのでしょうか。もしかして雑談に意味を見出そうとしていませんか?もしくは雑談は無駄なものだと思ってないでしょうか。
雑談は無駄で意味がないのに、周りの人間が楽しそうにしている。なんだか寂しいから、自分も加わらなければならない。さらに加わるからには面白い話をしなくてはならない。でもコミュ障なのでうまくいかない、みたいなことになっていませんか。
てっとりばやく答えを言います。雑談には確かに意味はありません。でも、無駄ではないのです。
さらに女子同士の雑談に焦点をしぼります。女子同士の雑談で、意味のある、内容のある、面白い話をしようと思っているのなら、根底から間違っています。女子同士の雑談で、意味のある、内容のある、面白い話なんてしていません。
簡潔に言うと、女子同士の雑談はたいてい「つまらない」のです。では、なぜ雑談をするのか。それは、「時間を共有」するためです。会話自体にはさほど意味がありません。意味があるとするならそれは「情報収集」のためです。
コミュ障を患う人が雑談に悩んでいるポイントがいかに的外れかということをふまえておきましょう。
女子同士の雑談に鉄則があるのをご存知でしょうか。それは「オチをつけてはならない」ことです。とはいっても、リア充女子がいちいち雑談をしているときに「オチをつけないように話そう」などと生真面目に考えているわけではありません。
彼女たちはオチが到来しそうになったら、さりげなく他の話題に話を振ります。それは本能的なものなのです。
例えば女子同士でよくあるこんな会話。
「前から行きたいって言ってたカフェなんだけどさあ。」
「あー!もしかして行ってきたの?」
「そう!そうやっぱりお洒落だったよ。」
「えーいいなあ。」
「でさあ、カレと喧嘩しちゃって。」
「え~どうしたの?」
「それがかくかくしかじか。ほんとムカつくんだけど。」
「ほんとだよね。そういえば昨日のドラマ見た?」
「見た見た。○○最高だよね」
「かっこいいよね。ママもカッコいいって言ってた。あっ今日ママから超笑えるLINE来たんだけど。」
「え~なになに?見せて!」以下エンドレス…。
会話に中身や内容を求める人からすると彼女たちが何を主旨に話をしたいのか、さっぱりわからないかもしれません。カフェの話をしたいのか、彼との喧嘩の話をしたいのか。ドラマの話をしたいのか…。
なにしろ、オチがあったらダメなのです。オチが到来したらそれは会話の終了。女子の雑談の目的は会話を続けて時間を共有することなのですから会話の終了を意味するオチはタブーです。
気を付けてほしいのは、いくら雑談にオチが求められていないとしても、そこにこだわり過ぎることもないということです。オチを言わないことに気をとられすぎてぎこちなくなるのも、それはそれでよろしくないのです。
つまり、「オチを作ろうとするあまり変な気合を入れなくていい」こと。雑談に気合は不要。気合とか関係なく、どうしてもオチが言いたいのなら、言ってください。核心に触れる質問をどうしてもしたいならしてください。聞きたいなら聞けばいいのです。
雑談力を高めるのもいいですが、「私はあなたに興味があります」という態度も相手と楽しく会話する一つの要素です。
では実際に雑談にチャレンジしてみましょう。
「こんなこと話して変に思われないか」「自分の話がつまんないと思われないか」などと考えなくても大丈夫です。なぜなら女子の雑談は、ほぼつまんないですから。意見など言う必要ありません。
あなたの発する言葉は「えー?!」「うそぉ!?」「マジで?」「ありえない」「ウケるぅ」「それで?」こんなもんでOK。よっぽど雑談に悩んでいるなら、さらにこれらのコメントを発したときに瞳を輝かせる練習をおうちでしてください。
瞳がキラキラっと輝いた時、相手は「この人私の話に興味を持ってくれている」と感じます。相手はあなたの様子を見てもっと話を続けます。要は、「自分は話さず相手に話をさせる」のです。
あなたは目を輝かせて、適当に相槌を打ってればいいだけ。楽しく時間が過ごせたら、一切自分の意見を言わなくても、なぜか相手の中ではあなたと雑談したことになってます。
複数人の雑談なら、自分が話をしなくても他の人が話を続けてくれるのでなんとかセーフ。でも、1対1となると、自分の会話における責任が大きすぎてどうしたらいいのかわからないという人もいるでしょう。なかでも、1対1の雑談であなたが怖れているのは「沈黙」ではないでしょうか。
沈黙が訪れた時、無理やりにでも言葉を発していませんか。で、とってつけたような言葉を発したところで話が盛り上がるわけもなく。かえって気まずくなって「やっぱ雑談コワイ」なんてことになっていませんか。
コミュ障かつ雑談に苦手意識がある人は、「自分が傷つきたくない」心理に陥っているとお伝えしました。そこで、荒療治ですが、一度です。一度でいいので、沈黙が始まったら、そのまま沈黙を続けてみて下さい。
あなたが「絶対自分から口火をきらないぞ!」と決めて沈黙を続けたならば、いくつかのパターンが発生しそうです。
ちなみにどれが一番傷つきそうですか。もしかして、これらよりも、自分が焦って口火を切ったことにより、変な雰囲気になる方がよっぽどあとで傷ついたりするのではないですか。
あなたは「自分が」「自分が」とばかり考えているようですが、相手だって沈黙を恐れているかもしれません。相手が焦って口火を切って会話するのなら、相手も沈黙が怖いのかもしれません。
相手も沈黙してしまうのなら、あなたと同じように次の話題がみつけられないでいるのかもしれません。耐えきれずにその場を去るのも、話題が見つけられないか、あなたと同様、沈黙がコワイのかもしれません。
ここで、あなたに引き続き、観察してほしいのは、沈黙を続けたという出来事があったのち、またその相手と会ったとしても、相手との関係性はほとんど変わらないという事実です。
次にその相手と会ったとしても、あなたの方から笑顔であいさつできれば、何の問題も発生していないことを観察してください。もしかすると、相手はあなたと雑談している間に沈黙の瞬間があったことすら忘れているかもしれません。
沈黙があったことを覚えていたとしても、それはそのときたまたま沈黙になっただけで、相手が、あなたに対する評価まで下げてしまうようなことではありません。
つまり、雑談中に沈黙があったところで、あなたが、いそいそと傷つく必要など、なんらないということを理解してほしいのです。沈黙を気にしていたら雑談できません。それに沈黙は単に次の行動のきっかけのサインにすぎなかったりするだけです。
最後に、ここでは雑談に苦手意識を持つコミュ障女子に向けてお話をしてきましたが、「コミュ障」と「コミュニケーション障害」については区別してお話を進めてきたことに言及しておきたいと思います。
「コミュニケーション障害」とは、聴覚・発声器官の障害、または、精神・発達障害をともなうことにより発生する障害とし、「コミュ障」を、上記の障害がないにもかかわらず人とのコミュニケーションを苦手とする状態を指すものとしました。
雑談は恐怖するに値しないと認識することで、雑談への苦手意識、特に女子同士の雑談への苦手意識を克服する方法についてお話をしました。あなたがのりこえるべきは、「雑談」ではなく、「雑談苦手orコワイ」と感じる自分自身です。
先述のとおり、コミュ障を患う人は「自縄自縛」に陥っています。自分を縛っているのは自分であるということに気づいて、雑談の苦手意識を克服し、さらには雑談を楽しんでもらえるようになってもらえたら幸いです。