「体調悪そうだし、せっかくだから調べておけば?」と同僚に言われ、健康診断の婦人科オプションを申し込んだのは、25歳のころでした。そこで「卵巣嚢腫」と診断され、手術をすることになりました。
当時IT系のベンチャー企業で勤務していた私は、睡眠時間も1日3、4時間程度しかとれず、食事もそこそこで仕事をしていました。
仕事は楽しく、また体力にも自信があったので、「まぁ大丈夫、大丈夫」と思いながらそんな生活が始まってから数カ月、これといった症状はなかったので、疲れてるだけだろうと思ってなんとなく不調に思っていましたが、受診などはしませんでした。
会社の健康診断の申し込みをする際、同僚が「体調悪そうだし、せっかくだから調べておけば?」と声をかけてくれました。
「まだ若いし、大丈夫じゃない?」と言うと「どうせ会社が負担してくれるんだし、受けるだけ受ければいいじゃん」と。それもそうだなと思って、軽い気持ちで婦人科検診も申し込みをしました。
健康診断の日、エコーでの診察が終わった直後、検査医の先生より「お話があるので、着替え終わったらこちらにお越しください」と言われました。
その場でエコーの写真を見せながら、「今すぐにというわけではありませんが、卵巣が通常よりも大きくなっており、おそらく手術をすることになると思います。紹介状をお出しするので、なるべく早く再検査をしてください。
ただ、婦人科の病気は比較的経験のあるところでないと誤診の可能性があるので、できるだけ大きな病院で再検査をしてください」と言われました。
(不規則な生活のため、生理の周期がずれているだけだと思っていました)
なので、その時はまだ半信半疑というか、違うんじゃないかな?という思いもありました。
健康診断から数週間後、近くの赤十字病院でMRI検査を行い、やはりそこでも「左側の卵巣嚢腫」と診断されました。なんでも、正常な卵巣はうずらの卵くらいの大きさだそうですが、私の場合はそのときですでにスーパーなどで売られてる卵くらいの大きさになっているとのこと。
そして、普段から卵巣が動いてねじれたりすることはあるようですが、卵巣が大きくなるとねじれてから元の位置に戻らなくなり、どんどんねじれて(捻転)、そのうち破裂することもあるので、早めに手術をするよう勧められました。
なにぶんにも手術をするような病気を診断されたのは初めてだし、自分で調べた症状はまったくなかったので友達に話すと、セカンドオピニオンで別の病院も受診することを勧められました。
たまたま1ヶ月後くらいに手術の空きができたので、早めに手術日が決定しました。
卵巣は手術をするものとしては比較的小さい部類だったので、おなかに3箇所小さな穴を開けて行う「腹腔鏡」の手術になりました。
手術前日の午後から入院し、その日は手順の説明、血液検査、浣腸、剃毛などの処置がありました。翌日、手術室に通されてからは点滴のような麻酔ですぐに意識がなくなり、次に目を覚ました時には手術は終わっていました。
麻酔が効いているうちにカテーテルもつけられていたので、1日はベッドで寝たままでした。熱も出ていましたし、腹部も「痛い」というよりはものすごく激しい筋肉痛という感じで重たい鈍痛があり、寝返りをうつのもきびしい状態でした。
その日は点滴で、食事はありませんでした。
翌日、カテーテルが外され、「傷口が開くということはあまりないので、ムリのない範囲であれば通常通り動いても大丈夫です」ということだったので、できるだけベッドに寝たままにならないようにしていました。
食事も流動食のような重湯から徐々におかゆのようなものが出ました。おなかが痛いので普段通りというわけにはいきませんでしたが、歩いたり座ったりは問題なくできました。傷口には医療用の接着剤がつけられているので、シャワーならOKということでした。
術後の経過も問題なく、術後3日で退院となりました。5日間まともに食事をしていなかったので、少し体力が落ちていたのと、激しい筋肉痛のような状態は続いていたので、しばらくはゆっくりしか動けませんでしたが、順調に回復しました。
症状がある人はすぐにでも受診をお勧めしますが、症状がなくても検査をする機会がある方は「大丈夫」と思わずに検査されることをお勧めします。診断されるのは不安ですが、早く見つかれば最小の負担で治療が可能です。