帝王切開は怖くない!不安を解消してお産に臨みましょう

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逆子や前置胎盤、多胎妊娠など、さまざまな理由により帝王切開での出産が選択されます。実はその数は近年増加傾向にあります。

医療技術の進歩により、帝王切開の安全性が十分に確保されたことが大きな理由です。

また、逆子や多胎妊娠などでの経腟分娩はさまざまなリスクを伴います。経腟分娩の際のトラブルや事故から、訴訟に発展することを回避するため、より安全な帝王切開を進める医師が増えていることも背景にあります。

帝王切開はこの20年で倍増し、現在では日本のお産のうち、およそ5人に1人が帝王切開で出産しているそうです。

帝王切開は今や全く珍しい出産方法ではありません。それにも関わらず、日本は経腟分娩が主流と考える人が多く、帝王切開についての知識が浸透していないのも事実です。

帝王切開になってしまった!お腹を切るなんて怖い!一体どうすれば良いの?

そんな不安や疑問を解消するためのポイントをまとめてみました。

今回は「予定帝王切開」つまり、事前に帝王切開とわかっている場合の心構えと準備について述べていきたいと思います。

帝王切開の流れを把握しましょう

予定帝王切開の場合は、あらかじめ手術日を決めるため、経腟分娩とは流れが大きく異なります。流れを事前に把握しておくことで、漠然とした不安を解消しましょう。

手術日の決定

手術日は、一般的に妊娠38週から39週の間に組まれます。妊娠37週を過ぎると赤ちゃんは十分発育し、いつ産まれても無事に育っていける可能性が高くなります。これを正期産と言います。

母体や胎児に特別な理由がない限り、正期産にあたる時期に手術日を設定します。予定日が近いと、先に陣痛が来てしまう恐れがあるため、それよりも若干早い38~39週頃が選択されるというわけです。

入院から手術直前

一般的には手術の前日に入院します。前日の夜もしくは当日から絶飲食になります。出産後はなかなか思うように休めないので、リラックスして、十分休息をとるようにしましょう。

当日は手術する部分の体毛を剃ったり、点滴を入れたりします。「完全に剃ってしまうの?」という心配は無用です。おへその下あたりを数センチ剃る程度です。

いよいよお産

手術室へ向かいます。医療ドラマなどを見ていると、手術室はもっと殺伐としたイメージですが、実際はリラックスできるような音楽が流れていたり、医師やスタッフも談笑していたりします。

手術台には裸になって乗ります。横向きに寝て体を丸め、腰の辺りに麻酔を入れていきます。

予定帝王切開の場合は局所麻酔になるケースが多く、手術中は意識がはっきりしています。麻酔を入れると脚からだんだん温かくなってきて、胸以下の感覚がなくなります。麻酔が入ると仰向けに寝かされ、首より下はついたてに隠れて見えなくなります。

麻酔がしっかり効いたことを確認してから、メスが入ります。メスが入る感覚が分かる人もいれば、まったく気がつかない人もいます。メスが入ってから10分ほどで赤ちゃんが出てきます。そしてお腹の縫合をして、手術は終了です。

特に問題がなければ、1時間程度で終了します。意外と短いですね。

お産が終わったら

母体はその後集中治療室等に移動して、一晩経過を見ます。帝王切開のデメリットの一つは、出産直後に赤ちゃんに触れあう時間がなかなか取れない点です。赤ちゃんのことが気がかりですが、その後の育児のために、できるだけ眠って体力をつけるようにしましょう。

また、出産から数時間すると麻酔が切れてくるため、お腹の傷口が痛くなったり、妊娠で巨大化した子宮が元通りに小さくなろうとして痛んだりし始めます(後陣痛)。帝王切開は経腟分娩よりも、この後陣痛がひどくなる傾向にあります。

痛みは個人差が大きく、薬が特に必要ない人もいます。しかし我慢できない場合は、座薬や経口の痛み止めなどで和らげることもできるので、医師や看護師に伝えましょう。

術後3日目頃には点滴も取れて、経腟分娩のお母さんと同じような生活になります。傷口はまだ当分ずきずき痛みますが、徐々に薄れていきます。

経腟分娩の場合は入院日数は5~6日ですが、帝王切開は9~10日程度になります。また、次の妊娠までは約1年空けるように指導されます。

必要なものは準備しておきましょう

帝王切開のお産の入院の場合、経腟分娩とは異なるものが必要になります。その中でも準備必須のものや、あると便利なものをまとめます。

  • 弾性ストッキング

肺塞栓の予防のために、帝王切開の場合が多くの病院で弾性ストッキングの着用をします。安静解除になってもしばらくはむくみやすくなるので、洗い替えがあると便利です。

  • 産褥ショーツ

術後しばらくは体が動かせないため、看護師さんや悪露や下の処理をします。股の部分がマジックテープで開閉できるタイプのものを用意しましょう。

  • マタニティショーツもしくは生理用ショーツ

体が動かせるようになって自分でトイレに行けるようになっても、通常の下着だと帝王切開の傷口に擦れて痛みます。おへその上まですっぽり覆うような大きめのショーツがあると安心です。

  • 手術用の腹帯

通常の産後の骨盤ケア用のリフォームインナーでは、傷口が傷んでしまうことが多いため、手術用の腹帯がお勧めです。手術用の腹帯はマジックテープで留めて、お腹全体をふんわりカバーするので、痛みが和らぎます。

  • 生理用ナプキン

帝王切開は悪露が多めになることが多く、また入院日数が長引くため、多めに用意すると良いです。夜用の方が漏れにくいので安心です。

  • 眼鏡

普段コンタクトの人は、必ず眼鏡を持参しましょう。手術中はコンタクトや結婚指輪を含む全てのアクセサリーや装飾ははずします。誕生の瞬間だけは赤ちゃんを見えるように、眼鏡は手術室に持ちこみましょう。(事前に病院の方に相談してください)

  • ペットボトル用ストロー

術後しばらくは起き上がるのも苦痛を伴うので、寝たきりで飲み物が飲めるように、ぜひ準備しましょう。

  • S字フック、ビニール袋

携帯電話やちょっとしたものを入れて、ベッドのすぐ手が届く所に引っ掛けておきましょう。

  • 洗い流さないシャンプー、デオドラントシート

帝王切開の場合、術後3日程度はシャワーすら浴びることができません。ちょっとつらいですが、市販されている衛生用品で乗り切りましょう。

  • ふりかけ

病院食が10日近くも続きますが、味のない白ご飯に退屈してしまうという声が多数です。好みのふりかけを持参しておくと良いでしょう。良い母乳のためにも、しっかり食べることが大切です。

また、帝王切開は保険適応になります。そのため、民間の医療保険に加入している場合は給付金が貰えるかもしれません。帝王切開と決まったら、保険会社に確認をし、手続きに必要な書類を送ってもらうようにしましょう。

帝王切開になると痛みや手術への不安ばかりが先行してしまいますが、ぜひ忘れないで頂きたいのが「バースプラン」です。

お産直後のカンガルーケアや授乳などの希望がある場合は、事前に助産師等に相談しましょう。病院にもよりますが、ある程度アレンジしてくれる所もあります。また、病院によっては立会い出産も可能です。

その他、手術室のBGMや、出産直後の記念撮影など、希望があれば伝えましょう。

不安はできるだけ取り除きましょう

「帝王切開」と聞くと、マイナスイメージを持つ人も少なくありません。ほとんどの人は初めての開腹手術になるでしょうし、不安が大きいと思います。帝王切開と言われた人が思い浮かぶ不安や疑問をまとめました。

痛みは?

背中から麻酔を入れる際、最初は鈍い痛みを感じることもありますが、そう長くはありません。手術自体は麻酔が効いているため痛みはありません。

術後に麻酔が切れてくると、痛みを感じはじめます。この時の痛みがひどすぎて眠れない、寝返りもうてない、呼吸をするのもつらいなど、ネットで調べると驚愕の体験談が出てきます。

しかし個人差が大きく、「確かに痛いけど、我慢できる程度」という人も少なくありません。ネットに「痛かった」情報が溢れるのは、それを伝えたい人が積極的に書くからです。痛くてどうしようもない人が圧倒的多数ではないことを覚えておきましょう。

術後は痛くても積極的に動いた方が、傷口の回復も早くなります。痛み止めを利用しながら、体を慣らしていくことが大切です。

母乳は出るようになる?

帝王切開の場合、手術後すぐに赤ちゃんに対面できないため、授乳開始が遅れて母乳育児が軌道に乗りにくいことがあります。

帝王切開でも完全母乳育児になる母親は大勢います。母乳の出る出ないは出産方法に限らず、その人の体質によります。安静解除になったら積極的に授乳をし、たくさん吸ってもらうことで母乳育児も進めていきましょう。

自然分娩でないことに対する後ろめたさ

現代でも「自然分娩」至上主義の日本は、帝王切開や無痛分娩に対する偏見が未だに根強く残っていることも事実です。「産みの痛みを知ってこそ母親」こんな辛辣な言葉をかけられることも、もしかするとあるかもしれません。

でも、外野が何を言おうとも、産むのはあなたです。周囲に言われたからといって無理に経腟分娩をして、それでもしもの事態を招いたとしても、誰も責任はとってくれません。

「産みの痛み」はほんの一瞬ですが、何十年も育てていく方がはるかに大変なのです。一瞬の痛みにとらわれるのはやめましょう。

そして、帝王切開になるのは、経腟分娩が赤ちゃんにとって何らかの負担になる理由があるからです。赤ちゃんの安全のために、あなた自身が負担を一手に引き受けたことを、誇りに思ってください。

メリットもあるんです

帝王切開はデメリットばかり先に思い浮かびますが、メリットもたくさんあります。

まず第一に、帝王切開は赤ちゃんにとっては最も負担の少ない、安全な出産です。子宮を切って直接取り出されるため、狭い産道を通って産まれる場合よりも、赤ちゃんにとってはずっと楽に産まれて来られるのです。

そして経腟分娩で出産すると、子宮脱や骨盤の緩みなどが起きやすいですが、反面帝王切開はこうした母体側のトラブルを回避できるのです。

また、入院日数が長くなりますが、その分助産師などから育児のアドバイスを貰える時間は増えます。慣れない育児、プロに聞きたいことはたくさんあるでしょう。

それに、疲れて眠りたいときは新生児室に赤ちゃんを預けることもできます。退院するとお世話に付きっきりになるので、入院が長引くことは必ずしも悪いことではありません。ゆっくり休んでおきましょう。

帝王切開の場合は保険が効いて三割負担になるため、医療費は自然分娩よりも安くなる傾向にあります。自治体や病院によっては、出産一時金で貰える金額より下回る場合もあるため、申請すればその分はキャッシュバックされます。

さらに、医療保険に加入していれば給付金もおりるため、経済的にはプラスになります。

正しく理解して、納得したお産を

帝王切開についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

まだまだ「帝王切開は特殊な出産」という認識の人も少なくありませんが、数が増えてきていることも事実です。

どんな出産方法にも、メリット、デメリットはあります。正しく理解して、赤ちゃんのため、母体のためにより良い出産方法を選択しましょう。

そして「帝王切開になってしまった」とネガティブになるのではなく、「納得したお産」を迎えられるようにしましょう。

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