晩婚化に伴い、女性の出産する年齢も高くなってきた。出産の年齢が上がると染色体の異常の可能性が高まってダウン症などの赤ちゃんが生まれてくる確率も高くなるという。
しかし、この新型出生前診断にはメリットとデメリットがあることを忘れてはいけない。血液検査だけで簡単に受けられるからといって軽い気持ちで受けるのではなくメリットとデメリットの両面を理解した上で検査を受けることが重要だ。
これから新型出生前診断を受ける女性に知っておいてもらいたいメリットとデメリットについて考えていく。
現在、晩婚化に伴って妊婦の4人に1人は35歳以上である。こうした高齢出産の波を受け、新型出生前診断が導入されてわずか1年で全国で8000人近くの妊婦が検査を受けたと言われている。
こうした新型出生前診断の最大のメリットは、わずか20ccの血液を採取するだけで診断が済むという手軽さだ。これまでは羊水検査が主流で、羊水を採取するためには胎内に針をささなければいけなかったので感染症や流産のリスクが高まると言われていた。
こうしたことからも新型出生前診断は妊婦への体の負担を大幅に軽減できるという利点があるのだ。また妊娠の10週目という早い段階から検査を受けることができ2週間ほどで結果がでるスピーディーさがある。そして妊婦への精神的負担の軽減につながることが大きいとされている。
もし障害をもった子が生まれてきたらと不安を抱えながら妊婦生活を送ることがなくなるのだ。仮にもし異常がみつかった場合でも妊娠中から子供を育てていくための心の準備や様々な勉強を始めることができるという点もメリットと考えられている。
一方、新型出生前診断のデメリットの中で最も危惧されているのが命の選別につながるのではないかということだ。現在、染色体異常が確定した場合97%の人が中絶をしているという。
また羊水検査を受けることができるのは妊娠15週目以降で現在中絶が認められているのは妊娠22週目までなので、羊水検査をしてから最終判断をしなければいけない時間が限られている点も妊婦や家族への精神的苦痛や葛藤につながり負担になるという。
さらに現在の日本では、検査の運用に法的な基準がないため妊婦や家族への検査結果の説明やカウンセリングが病院任せになっている。病院では十分なカウンセリングが整っていないのが現状で聞きたいことを聞けないまま、出産するのか中絶するのかの決断を迫られるケースが多いという。
障害のある子供を産んで育てるとしたらどんな生活になるのか、どんな支援を受けられるのか、逆に中絶したらどんな思いをするのか情報が不足しているため正しい判断がしにくくなるという。
血液検査だけで簡単に受けられるようになった新型出生前診断。しかしそこには色々な問題点が隠されている。これから受けようとしている方は、話題性に振り回されるのではなくきちんとした知識をもってメリットとデメリットを理解した上で検査を受けることが重要だと思う。