人間は一日におよそ30mgの鉄分が必要とされています。多くの鉄分は体内で再利用されるのですが、女性は生理で毎月30mgの鉄分が失われているのです。つまり女性には、毎月60mgの鉄分が必要といえます。
生理だけではなく、汗をかくことなどでも鉄分は失われていき、通常でも一日に7~11mgの鉄分を摂ることが理想的です。 妊娠授乳期の場合は11~14mg、子宮筋腫などの病気を診断されたときには、もっとたくさんの鉄分が必要になってきます。
鉄の代謝が落ちやすい時期には、食事や睡眠などの生活習慣を改善することが大切です。
人間は肝臓や脾臓などに貯蔵鉄を持ち、少し鉄分を摂らなかったからといってすぐに体に不調をきたすことはありません。しかし、慢性的な鉄分摂取不足となった場合、以下のような症状となって表れます。
これらの症状に当てはまる場合、すでに体内の貯蔵鉄が足りていない恐れがあります。血液の主要成分である鉄分不足の影響は大きく、ありとあらゆる不調のサインとなって表われるのです。
鉄分不足を放置しておくと、動機や息切れ、頭痛などの症状が悪化する一方なので、今からお教えする6つのポイントを押さえて、早い段階で対処しましょう。
鉄分は様々な食物に含まれていますが、肉や魚に多く含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄の二つに分けられます。
肉と魚に含まれるヘム鉄は、鉄分がたんぱく質に包まれているため、体に吸収されやすいのです。効率良く鉄を摂取したいときには、肉や魚を食べましょう。一方、野菜などの非ヘム鉄は体に吸収されにくい性質なので、たんぱく質と一緒に摂って吸収率をアップさせましょう。
玄米や大豆といった穀物・豆類に含まれる「フィチン酸」は、鉄分と結合するため吸収を妨げてしまいます。また、食物繊維に鉄分が吸収されてしまうので、栄養が良いメニューでも体への吸収を悪くしてしまうケースがあります。
そのため、一度の食事で鉄分と穀物・豆類を同時に食べることは避けましょう。ただ、別々に摂ればそれぞれの栄養をバランス良く吸収できるので問題ありません。余談ですが、ごはんは一日三食きちんと食べましょう。
生理中の鉄分不足は生理開始前から始まります。子宮に血が集まることで鉄分不足となり、また一度の生理でおよそ30mgの鉄分が失われます。そのため、普段よりもたくさんの鉄分摂取が必要になります。
生理による数々の不快症状は、実はその多くが鉄分不足によるもので、日頃しっかりと貯蔵鉄を蓄えておくことで辛い症状が緩和されます。そして、追加で摂取することも心がけましょう。
鉄分は、脳の働きをコントロールする上でも欠かせない成分です。鉄分が減少すると、同時に脳内神経伝達物質も減っていきます。
また、貯蔵鉄は睡眠中に蓄えられているため、せっかく食事で鉄分を補っても、夜しっかり眠らないとムダになってしまうのです。
さらに、脳の覚醒には鉄分が必要不可欠で、朝目覚めがスッキリしない症状は、鉄分不足が引き起こしているといわれています。
妊娠中に血液量が増えるのは、鉄分が胎児に優先的に行き渡り貯蔵鉄が減るためです。自身の健康を保つためには、避妊娠時よりもより多くの鉄が必要になります。
鉄が不足するとむくみや動悸、倦怠感の原因となり、産後の回復に時間を費やしてしまうのです。そうなると体への負担も大きくなります。
また鉄分が充分に行き渡った胎児は情緒が安定し、産まれてからも夜泣きしにくい子どもになるといわれています。
新生児は胎内時に母体からしっかりと鉄分を供給されていると、貯蔵鉄を整えることができます。しかし、それが出来るのも3ヶ月程度です。体が大きくなるとともに体内の鉄分の需要も急激に増えるため、多くの鉄分が必要になります。
鉄分不足になると、知能の発達が遅れたり、起立性調節障害などを起こすこともあります。子どものときからバランスの取れた食事をしっかりとることが大切です。
いかがだったでしょうか。最後に、鉄分不足を脱却するためのポイントをおさらいしておきます。
以上です。体内の鉄分が増えることで、不調が改善されると同時に代謝の良い体になります。イキイキとした毎日を送るために、鉄分と上手に付き合っていきましょう。