皆さんは、ダイエットというと、体重を落とすことと思っていませんか。実はそうではありません。皮下脂肪や内臓脂肪を落とすことが大切なのです。その結果として体重が減るとお考えいただい方がよいでしょう。
では、どのようにすれば本来のダイエットはできるのでしょうか。ここでは内臓脂肪を減らすことに焦点を当てて説明したいと思います。
一般に、皮下脂肪というのは、皮膚の下部に存在するもので、実際に手でつかむことができます。しかし内臓脂肪というのは、内蔵の周囲や腹筋の内側などにつく脂肪のことを指します。
そして内臓脂肪は太っているから多い、やせているから少ないというものではありません。やせていても内臓脂肪の多い人もいます。内蔵脂肪は、外から見ることができないため、やせている人であっても油断をしてはいけません。
また、一般に内臓脂肪は女性よりも男性の方が多くつきやすいと言われます。しかし近年の食生活の欧米化に伴い、女性であっても内臓脂肪が多くついている人もよくみかけるようになりました。このように書くと、心配になる女性もいらっしゃることでしょう。
でも大丈夫です。内臓脂肪は必ず減らせます。皮下脂肪に比べると、内臓脂肪の方が簡単に落とせますので、ご安心下さい。
内臓脂肪が多くなると、様々な生活習慣病を引き起こしやすくなります。例えば高血圧や脂質代謝異常、高血糖などを発症する恐れが高まるのです。
また、動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞などを引き起こしやすくなるのです。これらの病気は生命にかかわりますので、見た目がやせているからといって油断は禁物です。日頃から高カロリーの食事を多く摂っていたり、運動不足であったりすると、内臓肥満になる可能性が十分にあるのです。
人は誰でも、年齢とともに内臓脂肪が増加します。それは基礎代謝が低下し、運動量も減少するためです。しかし、内臓脂肪はつきやすい反面、落としやすいという性質も持っています。運動療法によって、遊離脂肪酸として血液中に溶け出し、内臓脂肪を減らしていくのです。
放置しておけば危険な生活習慣病を引き起こす恐れのある内臓脂肪ですが、運動療法によって比較的楽に落とすことができるのです。ここで「楽に落とすことが出来る」というのは、内臓脂肪を落とすためのコツでもあるのです。
それは「ゆっくり、ゆっくり、少しずつ」ということです。苦痛に顔をゆがめながらゼーゼーハーハー頑張ってみても内臓脂肪を減らす効果はあまり期待できないのです。むしろ、誰かと話をしながら行える程度のゆっくりペースでの運動が最適なのです。
では具体的に、内臓脂肪を減らすために効果的な運動をご紹介します。それは、ウォーキング、ジョギング、自転車などです。これらの簡単な運動を、誰かと話ができるくらいのペースで、ゆっくり大きく呼吸しながら行うのです。これを有酸素運動といいます。
大きく息を吸って吐くことによって酸素を体の隅々にまで送ることができ、脂肪の燃焼に役立てるのです。また血液中に流れる脂肪が酸素と結合することで燃焼し、体脂肪となるのを防ぐなどの予防効果もあるのです。
脂肪が燃焼されるのは、有酸素運動を始めてから20分を経過したくらいからです。従って、脂肪燃焼のためには、有酸素運動を少なくとも30分、できれば40分程度は続けて欲しいものです。頻度としては、毎日でなくても結構です。週に3日ほどで構いません。
そして疲れてきたと思えば中断すればいいのです。自分が無理なく続けられるペースで行って下さい。苦痛を感じながらやっていても長期間続けていくことは難しいものです。くれぐれもできる範囲で行って下さい。
さて、有酸素運動の中でも、特別な器具等が不要で、誰にでもできるウォーキングのやり方について少し説明をします。誤解のないようにしていただきたいのは、ウォーキングと散歩は異なるということなのです。
ウォーキングをするときは、できるだけ大股で腕を大きく振って歩きましょう。そして大きく吸って大きく吐くという呼吸のリズムを維持することが大切です。もしゼーゼーハーハーするようになればペースを落としましょう。
また、肩の力を抜いて胸を張って堂々と歩いて下さい。できれば腹筋に力を入れるようにしながら行うと、腹筋をこまめに動かすことになり、内蔵脂肪がたまりにくくなるためです。
運動療法と平行して食事療法を行うと効果的に内臓脂肪を減らすことができます。ただ、食事療法というと、ついつい食べないで痩せるということを考えがちですが、これは間違いです。むしろ栄養のバランスを考えてきちんと一日三食摂るということが大切なのです。
中でも朝食をしっかり摂るように心がけることでいい循環になっていきます。なぜなら、朝食をしっかり摂ることによって、間食を減らすことができるからです。
そして、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを積極的に、かつバランス欲摂るようにするとよいでしょう。なぜなら、これらは基礎代謝を上げる働きがあるためです。
内臓脂肪を落とすために効果的な食べ方としては、できるだけゆっくりと時間をかけて食べるということです。少なくとも20分から30分は時間をかけるようにしたいものです。なぜなら、満腹中枢が働くまでにそれくらいの時間がかかるからなのです。できるだけよく?んで食べることで満腹中枢を刺激することができるのです。
このようにゆっくり食べることで満腹感を覚え、自然に食事量も減らすことができるようになるのです。ですから、料理もできるだけ、食べるのに時間のかかるものを選ぶ方がよいでしょう。
我々が日常よく飲んでいるお茶には、内臓脂肪を燃焼させるための重要な成分が含まれています。それはカテキンと呼ばれるものです。この成分が、脂肪の吸収を抑制し、中性脂肪を分解してくれるだけでなく、コレステロールも増えないように保ってくれるのです。そして成人病の予防にも効果的です。
できれば、同じお茶でも、コンビニやスーパーで購入するお茶よりも、家庭で飲むお茶の方が効果としては高いのです。日頃から家庭でお茶を飲む習慣のある方にとっては今まで通りの生活パターンでよいのです。
以上が、内臓脂肪を減らすために必要な運動療法と食事療法です。これらは車の両輪のようなものですから、一方だけを実行するというのではなく、必ず両方セットで行うようにしましょう。そして、くれぐれも無理のない範囲で行うことが大切なのです。
急激なダイエットはリバウンドによって、かえって食欲を増してしまう結果になります。ゆっくり、ゆっくり、少しずつを合い言葉に実行していきましょう。くれぐれも無理のない範囲で行うことが結果的には早道なのです。
最後に、何度も繰り返しますが、内臓脂肪は必ず減らすことができます。これを信じて実行して下さい。